免疫力をアップしよう パートⅡ
前回の続きです。
米国の栄養学の学者たちは「健康のためには日本式食生活を」と「食事ピラミッド」を提唱しています。コーネル大学やハーバード大学の栄養学の専門家たちのグループの提唱です。
食事ピラミッドの底辺を構成する食べ物は、米、米加工品、麺類、パン、キビ、アワ、トウモロコシなどの穀類をあげています。その一段上、やはり毎日食べるものとして、果物、野菜、豆類をあげています。先に示した「がん」を予防する食品なのです。
「赤身の肉は月1回にしましょう」と、あの肉好きな米国人たちが提唱しているのです。
日本大学の小沢友紀雄教授らは最近、中国北西部にあるウイグル自治区に住む2つの民族について長寿の調査をしたそうです。
ウイグル自治区には13の民族がおり、特に農耕生活が中心のウイグル族は、ロシアのコーカサス地方などと並んで長寿者が多いことが知られています。その一方で、牧畜生活中心のカザフ族は短命者が多いのです。
医療も発達していないのに、ウイグル族になぜ長寿者が多いのか、小沢教授は疑問を持ったそうです。調査の結果、長寿のウイグル族は菜食を主とし、短命のカザフ族はあまり野菜を食べず、ヤギのミルクにお茶を入れ、塩を加えて飲んでいる人が多いことがわかったのです。
ところで、「がん」は自然退縮と言う現象があることが知られています。このような自然退縮を引き起こす力を「自己治癒力」と言う言葉で表現するようになりました。
自己とは生物学的に言うと、生命個体の持っている遺伝子情報の全て、ということになります。生物は環境からいろいろな侵襲を受け、日々損傷を起こし、その修復をくりかえしています。生命は自らの遺伝子の中にあるあらゆる損傷に対抗する「治癒力の情報」を蓄積してきたのです。
植物性食品を通して、私達は「治癒力の情報」を得てきたのでしょう。
腸の病気が増えています
最近、下痢や便秘を繰り返す人が増えています。不規則な食生活やバランスの悪い食事内容から起る場合もありますが、「過敏性腸症候群」によるものが多いようです。
「過敏性腸症候群」とは、検査してもはっきりとした原因が見つからないのに、下痢や便秘を伴う腹痛を繰り返す病気の事です。詳しく言うと、下痢型、便秘型、そして下痢と便秘を繰り返す型の3つのタイプがあります。
この病気の特徴は、とくに悪い部分が見つからないこと、ストレスなどの環境因子、疲れなどの身体的因子、そして心理的因子が関与していると考えられることです。性格も関係しており、几帳面で真面目、神経質な人がなりやすく、逆にカラッとしていたり、あまりを遠慮しない性格の人には見られません。
20歳代から50歳代では10人に1人か2人がこの病気になっています。男性は「下痢型」、女性は「便秘型」が、どちらかというと多いそうです。
ところが、最近では子ども達にもこの病気が増えてきました。3ヶ月に3回以上、生活に支障があるような腹痛を訴える小中学生が、1割から2割もいるということなのです。
「授業中や通学途中おなかがゴロゴロする」「おならがくさいと友達からからかわれた」などと、訴える子ども達が増えてきているということです。
治療には薬も使いますが、それよりもまず生活習慣の見直しが大切です。十分な睡眠と休養を取り、規則正しい生活を心がけましょう。インスタント食品やファーストフードは避け、食物繊維を多く含む食品をとり、冷たいものや刺激物を控える事です。
子供の場合は、時間をかけてカウンセリングをすることも大切でしょう。
この病気とよく似た症状に「潰瘍性大腸炎」「クローン病」などがありますが、ここでは割愛します。
腸の病気の中で増えているものの中に、大腸がんがあります。
日本人の部位別がん死亡率のトップは肺がん、次いで胃がんですが、早期発見、治療のためか、胃がんは近年減少傾向にあります。しかし、大腸がんはその逆で、急激に増加しているのです。食生活が欧米化したこと、とくに食物繊維の摂取量が少なくなったことが影響しているのでしょう。
大腸がんは、脂肪摂取量が多くなると発生しやすいようです。高脂肪の食事成分が消化管に取り入れられ、その食事成分や胆汁酸などの内因性物質から色々な発がん物質が大腸内細菌により生成されて、大腸がんを発症させるのでしょう。
大腸がんにならないようにするには、高脂肪、高カロリーの食事を控えめにして、野菜、穀類など食物繊維の多い食物を摂るよう努める事です。
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