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2005年8月27日 (土)

免疫力をアップしよう パートⅡ

前回の続きです。

米国の栄養学の学者たちは「健康のためには日本式食生活を」と「食事ピラミッド」を提唱しています。コーネル大学やハーバード大学の栄養学の専門家たちのグループの提唱です。

食事ピラミッドの底辺を構成する食べ物は、米、米加工品、麺類、パン、キビ、アワ、トウモロコシなどの穀類をあげています。その一段上、やはり毎日食べるものとして、果物、野菜、豆類をあげています。先に示した「がん」を予防する食品なのです。

「赤身の肉は月1回にしましょう」と、あの肉好きな米国人たちが提唱しているのです。

日本大学の小沢友紀雄教授らは最近、中国北西部にあるウイグル自治区に住む2つの民族について長寿の調査をしたそうです。

ウイグル自治区には13の民族がおり、特に農耕生活が中心のウイグル族は、ロシアのコーカサス地方などと並んで長寿者が多いことが知られています。その一方で、牧畜生活中心のカザフ族は短命者が多いのです。

医療も発達していないのに、ウイグル族になぜ長寿者が多いのか、小沢教授は疑問を持ったそうです。調査の結果、長寿のウイグル族は菜食を主とし、短命のカザフ族はあまり野菜を食べず、ヤギのミルクにお茶を入れ、塩を加えて飲んでいる人が多いことがわかったのです。

ところで、「がん」は自然退縮と言う現象があることが知られています。このような自然退縮を引き起こす力を「自己治癒力」と言う言葉で表現するようになりました。

自己とは生物学的に言うと、生命個体の持っている遺伝子情報の全て、ということになります。生物は環境からいろいろな侵襲を受け、日々損傷を起こし、その修復をくりかえしています。生命は自らの遺伝子の中にあるあらゆる損傷に対抗する「治癒力の情報」を蓄積してきたのです。

植物性食品を通して、私達は「治癒力の情報」を得てきたのでしょう。

腸の病気が増えています

最近、下痢や便秘を繰り返す人が増えています。不規則な食生活やバランスの悪い食事内容から起る場合もありますが、「過敏性腸症候群」によるものが多いようです。

「過敏性腸症候群」とは、検査してもはっきりとした原因が見つからないのに、下痢や便秘を伴う腹痛を繰り返す病気の事です。詳しく言うと、下痢型、便秘型、そして下痢と便秘を繰り返す型の3つのタイプがあります。

この病気の特徴は、とくに悪い部分が見つからないこと、ストレスなどの環境因子、疲れなどの身体的因子、そして心理的因子が関与していると考えられることです。性格も関係しており、几帳面で真面目、神経質な人がなりやすく、逆にカラッとしていたり、あまりを遠慮しない性格の人には見られません。

20歳代から50歳代では10人に1人か2人がこの病気になっています。男性は「下痢型」、女性は「便秘型」が、どちらかというと多いそうです。

ところが、最近では子ども達にもこの病気が増えてきました。3ヶ月に3回以上、生活に支障があるような腹痛を訴える小中学生が、1割から2割もいるということなのです。

「授業中や通学途中おなかがゴロゴロする」「おならがくさいと友達からからかわれた」などと、訴える子ども達が増えてきているということです。

治療には薬も使いますが、それよりもまず生活習慣の見直しが大切です。十分な睡眠と休養を取り、規則正しい生活を心がけましょう。インスタント食品やファーストフードは避け、食物繊維を多く含む食品をとり、冷たいものや刺激物を控える事です。

子供の場合は、時間をかけてカウンセリングをすることも大切でしょう。

この病気とよく似た症状に「潰瘍性大腸炎」「クローン病」などがありますが、ここでは割愛します。

腸の病気の中で増えているものの中に、大腸がんがあります。

日本人の部位別がん死亡率のトップは肺がん、次いで胃がんですが、早期発見、治療のためか、胃がんは近年減少傾向にあります。しかし、大腸がんはその逆で、急激に増加しているのです。食生活が欧米化したこと、とくに食物繊維の摂取量が少なくなったことが影響しているのでしょう。

大腸がんは、脂肪摂取量が多くなると発生しやすいようです。高脂肪の食事成分が消化管に取り入れられ、その食事成分や胆汁酸などの内因性物質から色々な発がん物質が大腸内細菌により生成されて、大腸がんを発症させるのでしょう。

大腸がんにならないようにするには、高脂肪、高カロリーの食事を控えめにして、野菜、穀類など食物繊維の多い食物を摂るよう努める事です。

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2005年8月23日 (火)

歯のメンテナンスについて

パソコンとは無常なもので、昨日、久々の大作をこのブログで書き上げて、ちょっとメールチェックをしようとした瞬間、パソコンがフリーズしました。色々手を尽くしたのですが、ウンともスンとも言ってくれず、泣く泣く強制終了をしました。当然、保存していない文章はすべて消えてしまいました。あまりのショックから立ち直れず、昨日はそのまま家路につきました。私のパソコンは、まだウインドウズXPではなくMEで、非常に不安定でフリーズの多い駄作といわれているもので、今度こそ買い替えを決意いたしました。

気を取り直して、気持ちを新たに書きたいと思います。

日曜日(21日)に、日本歯科医師会主催、九州地区生涯研修セミナーが熊本で行なわれましたので、40歳を過ぎて固くなった脳みそに喝を入れて、朝10時から午後4時半までみっちりと勉強してきました。

今回のテーマは「メンテナンスを考える・・・」というもので、我々歯科界では著明な3名に先生方のご講演を拝聴してきました。

では、なぜ歯科にはメンテナンスが必要なのでしょうか・・・?それは、永久にもつ治療(修復物)はないからです。当医院にも掲示していますが、ある統計を見てみると、平均すると10年もっている修復物はありません。もちろん平均ですので、もっと長持ちしているものもあれば、すぐに駄目になっているものも含まれるわけです。

つまり、結論を先に言うと、一旦手をつけた歯は、一生の間には何度か治療のやり直しが発生することをまず患者様に理解していただく事から治療が始まるということです。

どんなに高価な治療であっても、治療のやり直しが発生すれば、その歯は前回治療した時よりも傷みます。場合によってはその歯を救う事ができず、抜歯になる場合もあります。ですから、予防も含めて、まずその歯を治療する年齢をできるだけ遅らせる(一生治療しないのが理想ですが)、また、一旦治療したら、その時点から個人差はあるものの悪くなっていくという前提で、なるべく初期の段階でトラブルを発見し、対処するという事が大切です。

講師の1人が車に例えておっしゃっていました。

「車を買って、全く乗らずに車庫の中に保管していれば100年でも200年でもそのままの状態を保つ事ができるでしょう。しかし、実際は機能させるわけですので、部品などの消耗もあるでしょうし、きちんと点検整備を定期的にやっているのと乗りっぱなしのとでは、当然その寿命に差が出るでしょう。また、気を付けていても不慮の事故に巻き込まれる場合もあるでしょう。ですから、形あるもの使う以上は一生もつというのは夢物語です。歯も全く同じ様に考えていただければ良いと思います・・・」

歯は皆様がイメージされている以上に、非常に苛酷な環境にさらされています。全ての臓器の中で、からだの中と外を貫いているのは、実は歯だけです。エッと思われる方もいらっしゃると思いますが、例えば胃や腸は口から肛門をつなぐ一本の管であり、胃の中や腸の中は体の外です。そこで消化吸収されて毛細血管などから吸収されたとき、初めて体の中に入ります。同じ様に肺も口から風船を体の中につないでいるようなもので、肺の中は体の外です。

ですから、歯周病などでいつも歯ぐきに炎症をおこしていると、細菌が容易に体の中に入り込みます。一過性のものならば、体の免疫作用でだいたい24時間以内に排除されると言われていますが、歯周病や虫歯などがひどくなると、常時細菌が進入していますので、それが全身にまわり、病気や過労、ストレスなどで体の免疫が落ち、それらを排除できなくなると重篤な疾患につながり、場合によっては命に係わる場合もあります。例えば、心臓の弁に菌が定着すると心内膜症を起こし、心臓発作の引き金になります。また、妊婦さんでは早産や低体重児につながります。その他、生活習慣病の悪化にも関与する事が最近判って来ました。

また、歯には再生能力がありません。体を作っている細胞のほとんどは、再生を繰り返して、常に新しい細胞に入れ替わっています。それに対して歯は再生能力が無いため、一度欠損が起ると、そこは人工的に補填してあげなければそのままか、病的欠損だと悪化していきます。

さらに、咬む力は自分の体重くらいと言いますので、食事のたびに何百回とそれらの力に耐えてるうえに、最近はストレス社会のせいか、寝ている時に歯ぎしりや食いしばりをする方が多く(自分では自覚していない方が多いのですが、かなり高い割合でされています。その自己チェックはまた今度書きます)これは、食事の何倍、何十倍も歯に負担をかけます。その結果、歯の磨耗や破折などが起ってきます。

このように、私は歯が臓器の中で最も苛酷な環境におかれているのではないかと思っております。

だから・・・といえば、少々言い訳がましくなりますが、口の中の環境は常に変化、それも残念ながら悪い方へ向かって変化していきますので、そのスピードを少しでも遅らせるためには定期的なメンテナンスがどうしても必要不可欠になってきます。

レントゲンで自覚症状はないのですが、たまたま疾患が見つかる事がよくあります。もちろん、その状況や治療方法、放置したらどうなるかなどは説明いたします。しかし、それでも主訴である歯のついでに治したりすると、「いらんことをした」とか「高くなった」などとおしかりを受ける事がありますので、ご本人の承諾がなければなくなく放置せざるを得ない場合もあります。

たしかに、我々は常に歯にかかわっており、その大切さ(口の中だけでなく体全体に及ぼす影響)をわかっておりますので、歯の価値を非常に高く感じます。しかし、自分の歯に対する価値観は当然患者様全て違います。治療を中断する方は、歯の治療よりも優先するものがいくつもあるのでしょう。必要最低限の治療を希望される方もいれば、最高の治療を希望される方もいらっしゃいます。

ですから、私はたとえ治療を中断されてもそれは何か事情があったのだろうと思い、決して非難する事はありません。もちろん、治療した時よりも歯が傷んでいたりすると残念には思いますが、今ある状況を少しでも良くする様に全力であたります。

当医院では、治療終了まで来ていただいた患者様には必ず本日で治療が終了したこと、頑張って通院していただいた事に対するお礼とねぎらい、そしてメンテナンスのため次回の検診時期をお伝えいたします。また、こちらの方からはがきでのご案内もします。

しかし、途中で中断した方や、こちらが提示した治療計画の途中で未来院となった方にはそこまでは行なっておりませんので、結果的に口の中の状況が良い方は、それを維持していただくのに対してそうでない方は。何か自覚症状が出てから来ていただきますので、歯が傷んでいる事が多く、その差はどんどん開いていきます。

レントゲンなどである疾患が見つかった時、それが進行中なのか、停止しているのか、あるいは治っている途中なのかはその時点だけでは症状がなければわかりません。必ず時間の経過と共に見比べる必要があります。

たしかに治っている過程のものを治療すれば「いらんことをした」になりますので、それを見極めるためにも定期的なメンテナンスと検査が必要になります。

ぜひ、「痛くもないのにいらん事、余分な事をされた」とおっしゃらずに、年に1回、できれば半年に1回のメンテナンスを兼ねた定期健診をおすすめいたします。人間、生まれてから死ぬまで色々な欲がありますが、最後まで残るのは食欲です。歯が丈夫だと美味しいものをしっかりかんで食事を楽しむ事ができます。また、かみ合わせがしっかりしていると、痴呆になりにくいことも立証されています。先日、総入れ歯で食事にたいへんご不自由されていた方が、インプラントをしていただいて、現在は食事と旅行を楽しんでいると言う旨のはがきをいただいて、大変嬉しい思いをいたしました。

治療を通じて皆様にこのように実感していただくのが夢です。そのためにはくどいですが、ぜひ定期健診とメンテナンスをお願いいたします。

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2005年8月11日 (木)

免疫力をアップしよう

人間には免疫力というものが備わっていて、病気などに対応している事は皆様もご存知だと思います。免疫力をアップすれば病気にかかりにくくなり、ガンなども治る場合があると言われています。しかし、現代は過度のストレスや食品添加物、電磁波、生活習慣の変化などなど免疫力を低下させる要素が溢れています。

よく、アガリスクやメシマコブ、サルノコシカケなどなどキノコ類がガンに効くと言われています。まだはっきりとその作用は解明されていませんが、一つの考え方として、キノコ類は非常に消化が悪く、長く胃腸に留まります。腸の方もそれを必死に消化しようと頑張りますので、腸の活動が非常に活発になります。腸の周りにには、免疫にかかわる組織がたくさんあり、結果的に免疫も高める事になり、それがガンなどに効くのではないかと考えられています。そのあたりは、以前も紹介いたしました、阿保徹先生の著書を読んでみてください。目からうろこが落ちる思いです。

さて、東京医科歯科大学教授の藤田紘一郎先生という方がいらっしゃいます。この方は知る人ぞ知る寄生虫の大家で、日本人から寄生虫がいなくなったことにより、アレルギーやアトピーなどの病気が増加してきたというユニークな学説を唱える方で、その著書を読むとなるほどと納得させられます。このあたりのことは、また機会を見てご紹介いたします。ちなみにこの先生は、自分のお腹の中にサナダムシ(数メートルになる寄生虫です)を長年飼って?おられます。

この先生の論文で、「植物性食品で免疫力を増強しよう」というものがありましたのでごしょうかいいたします。

米国の栄養学者は「赤身の肉を食べるのは月1回にしましょう」というキャンペーンをしています。

私たちの体は、細胞学的にも遺伝学的にも1万年前と同じである事が判ってきました。1万年前は石器時代で猛獣を捕まえるのも難しく、赤身の肉を食べれるのはせいぜい1ヶ月に1度くらいの割合に、体が出来てしまったのでしょう。

赤身の肉を食べるのは1ヶ月に1回というのは、たしかに極端に聞こえますが、1週間に2回以上赤身の肉を食べたりすると、腸内細菌のバランスを失い、ウェルシュ菌などが増え、免疫力が低下する事は確かなのです。

1万年前、私達は草や木の実など身近にあるものを食べていました。最近、穀類、野菜類、果物類などに、ガンを抑える作用があることが明らかにされてきました。

今、日本人は世界一の長寿の国になっています。それは私の親の世代の日本人の生命力が強いからです。彼らは、穀類、野菜類、豆類主体のいわゆる「粗食」を食べていました。このような食品を食べていると免疫力が増強し、ガンを抑える事ができるからです。

しかし、心配なのは日本の若い人たちです。ハンバーガーにスナックばかりを食べていると免疫力が低下するのです。

最近、下痢をするのがいやだからといって、日本人は食品にたっぷり防腐剤を入れるようになりました。水道水には消毒剤の塩素が多量に含まれていて、日本では北海道から沖縄まで、水道水にはバイキン1個も入っておらず、どこの水道水を飲んでも下痢をしなくなりました。

私達は農薬や殺虫剤で育てた「虫も食べないきれいな野菜」を食べています。いつまでも腐らない防腐剤入りの果物を食べています。

確かに、殺虫剤や防腐剤を口にしても死にはしないでしょう。しかし、私たちの免疫力が低下し、生きる力を弱めている事を忘れてはならないと思います。なぜなら、殺虫剤や防腐剤は腸内細菌の活動を弱め、結果的に免疫力を低下させているからです。私たちの体を構成している細胞も微生物との共生によってできているからなのです。

ガンを予防する食品

米国国立がん研究所は「ガンを予防する食品」として、野菜、豆類、穀類などの植物性食品をあげています。なかでも、かぼちゃ、ほうれん草、大豆、にんにく、ニラ、にんじん、セロリなどは強い予防効果を持つ事が知られています。

これらの植物性食品が腸内細菌の「餌」となり、腸内細菌の数と種類を増やし、その結果、免疫能力が活発となって「ガン」の発生を防ぐ事が明らかになったのです。

それにしても、なぜ、「ガン」を予防する食品は植物性のものばかりで、肉などの動物性食品が含まれていないのでしょうか。

宮崎大学の島田彰夫教授によると、人間の体はもともと植物を食べるようにできているとおっしゃっています。「消化酵素を調べるとヒトの食性は植物食である」「ヒトはサルから進化したが、その進化の過程を見ても、どうしてもヒトは完全な植物食ということになる」などの事実をあげて。人類はごく最近までもっぱら植物を主に食べていたのではないかということでした。

ヒトと植物はうまく「適合」して進化してきたのです。そのような過程の中で、植物がヒトの腸内細菌の餌になり、結果的にそれが免疫を増強して「ガン」を予防するようになってのではないでしょうか。 月刊保団連6月号より抜粋

まだ続きがありますので、それは次回に回します。私もたまたま他の勉強会で、やはり植物主体の食生活に変えることがいかに健康をもたらすかということを習いましたので、この論文には共感する所が多くありました。

人間、楽や贅沢を覚えたら、なかなか不便で質素な方に向かうのは難しいものですが、それが生命の根源に係る事だと知ったら皆様はどう判断されるでしょうか?

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2005年8月 5日 (金)

子供は宝物です

連日、猛暑が続いておりますが、皆様夏バテなどされていないでしょうか。私が住む熊本は、夏は暑く、冬は寒いという厳しい気候で、天気予報の予想最高気温などを見ると、よく全国一暑い予報が出ています。南国といわれる宮崎や鹿児島、沖縄などよりも高い予報に、目が点になってしまいます。他県から来た人が、口をそろえて「暑さがちがう」とおっしゃいます。

たしかに、子供の頃から夏は暑かったのですが、昔は窓を開けて、蚊帳をつるして扇風機をかけて寝ていました。暑いといっても今みたいに36℃とか37℃になることはほとんど無かったと思います。

今はクーラーがないと寝れませんし、タイマーが切れると目がさめてしまいます。天草あたりにも今までは生息していなかった珊瑚が見られるそうですので、やはり地球が温暖化してきているのでしょうか。

さて、前置きが長くなりました。子供の話に移ります。子供は家庭はもちろん国にとっても宝です。国民がどんどんいなくなれば、国が滅ぶのは自明の理です。しかし、ご存知のように我が国の出生率は年々減少の一途をたどり続け、現在は約1.3くらいだったと思います。

ちなみに政府の試算では将来出生率は上がるとの楽観的予想に基づいて、年金を始めとする色々な法案が決められているようですが、現実を見ると、ますます子育てがしにくい環境になってきています。この不況で共働きをせざるを得ない状況の中、もう少しお母さん方が子育てのしやすい環境を整えてあげないと、本当に国が滅びると思うのですが、皆様はどうお考えでしょうか?

またまた脱線してしまいました。ここに一つの数字があります。平成14年度の厚生労働省の統計資料によれば、1年間に誕生する赤ちゃんは、約116万人ですが、それに対して死産が約4万人、流産が約25万人、そして中絶が30万人という数字が挙げられています。

つまり、生まれてきた赤ちゃんのおよそ半数に匹敵する約60万人の赤ちゃんが、この世に産声をあげることなく、消えていったということなのです。

我が国の出生率が低下していると嘆かれる中、子供を生まない女性が増えていることは確かですが、別の要因として、このような生まれてこなかった赤ちゃんの数の多さというものも挙げられるでしょう。

また、異常出産も増えているようで、未熟児だったり、先天性異常児だったりしているようです。原因としては、環境ホルモンや電磁波汚染、食品添加物やタバコ、ストレス等が挙げられますが、要するに母体をめぐる環境が劣悪化しているということです。さらに、高齢出産の場合、染色体異常にともなう先天性異常の赤ちゃんが生まれる確率が高くなると言われています。(鏡玄泉著 「赤ちゃん整体」 三想出版参照) 

このような事を考えますと、いかに今いる子ども達が宝物であるかということを再認識させられます。しかし、その子ども達がどんどん壊れてきています。うつ病、不登校、アトピー、子供の成人病、引きこもり(引きこもりは日本特有の現象だそうで、他の国にはほとんど無いそうです)、キレル、無気力、腰痛肩こりなどなど挙げ出したらキリがありません。

世界でも平均すると裕福な方に入ると言われているにほんにで、なぜこのような事が起きているのでしょうか。昔と違って今の時代、ほおっておいたら子供は健全に育ちません。我々大人が現状を正しく認識し、積極的に介入していかないといけない時代になっています。その中で、我々歯科が大きな役割を果たせる事が判ってきました。ただ、その様な知識はほとんどの方が知らないか、持っていませんので、ややもすると眉唾に思われたりします。例えば、うつ病やアトピーを治すのに歯科を訪れる方は皆無でしょう。それは、知らないからです。

それを判っていただくために、このブログを始めたと言っても過言ではありません。山を登るとき、色々な道があると思います。どの道を選択するかは自由であり、最終的にちゃんと頂上に着けばよいわけです。同じく、健康になるための手段はたくさんあると思います。どの方法でも、最終的に健康な生活が営めれば良いわけです。ただ、その時に選択肢がたくさんあるほど良いでしょう。その一つに、ぜひ歯科(皆様が想像される従来の歯科とは少々違いますが)を加えていただきたいと思っております。

長くなると読みにくくなりますので、具体的には順次御紹介していきますので、ぜひ、時々はこのブログを覗いてみて下さい。

私が師事している先生の1人に川邉研次先生というカリスマ歯科医師がいます。先生の事もまた御紹介しますが、今までの歯科の概念を変えるような事をどんどん行なわれている先生です。この先生が、今、「子供きらきらプロジェクト」というものに取り組んでおられます。読んで字のごとく、子供を元気にしようと言うプロジェクトです。メールマガジンを発行されていますので、ご興味のある方は、ぜひ登録されて下さい。 webmaster@sube-sube.comに登録希望とメールされればOKだと思います。皆様が全く知らなかったような情報や、既成概念を覆されるような情報が満載です。

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2005年8月 2日 (火)

院長日記4

皆様の幸せの基準は何でしょうか?人それぞれ違うと思います。ただ、心の持ち様で、同じ状態でも幸せに感じる人もいれば、不幸と感じる人もいいるでしょう。

よく例えに使われるのが、コップの水が半分になったとき、あと半分も残っていると肯定的にとらえるのか、あと半分しか残っていないと否定的にとらえるのか、というものです。

テレビでアフリカやアマゾンなどの原住民の方々の生活をドキュメントした番組などを見ると、文明の利器というものがほとんどなく、我々の基準からすると不便な生活を余儀なくされて可哀想と思いがちですが、はたしてそうでしょうか。ストレスいっぱいの現代社会を行きぬく方が、大自然の中で自然のリズムに合わせてゆったりと生きる彼らより、はるかに過酷なのかもしれません。これも何を基準にするかの違いでしょう。

私自身は「足るを知る」ということを心がけております。もちろん有形無形にかかわらず、欲しいものはたくさんありますので、日々欲との葛藤です。ただ、人並みの生活はおくれますし、親兄弟、家族にも恵まれ、生きる事に対してはそれ程の苦労をしなくても済んでいますので、あまり多くは望むまいと思っております。

いつも購読している月刊「致知」の2004年1月号に感動的な文章が掲載されていましたので、記載させていただきます。

「忘れられない詩がある。十五歳の重度脳性麻痺の少年が、その短い生涯の中でたった一篇、命を絞るようにして書き残した詩である。

 ごめんなさいね おかあさん

 ごめんなさいね おかあさん

 ぼくが生まれて ごめんなさい

 ぼくを背負う かあさんの

 細いうなじに ぼくはいう

 ぼくさえ 生まれなかったら

 かあさんの しらがもなかったろうね

 大きくなった このぼくを

 背負って歩く 悲しさも

 「かたわな子だね」とふりかえる

 つめたい視線に 泣くことも

 ぼくさえ 生まれなかったら

 ありがとう おかあさん

 ありがとう おかあさん

 おかあさんが いるかぎり

 ぼくは生きていくのです

 脳性マヒを 生きていく

 やさしさこそが 大切で

 悲しさこそが 美しい

 そんな 人の生き方を

 教えてくれた おかあさん

 おかあさん

 あなたがそこに いるかぎり

本紙2002年9月号で向野幾世さんが紹介した詩である。作者は山田康文くん。生まれた時から全身が不自由、口も利けない。通称やっちゃん。そのやっちゃんを養護学校の先生であった向野さんが抱きしめ、彼の言葉を全身で聞く。向野さんがいう言葉がやっちゃんのいいたい言葉だったら、やっちゃんがウインクでイエスのサイン。ノーの時は舌を出す。気の遠くなるような作業を経て、この詩は生まれた。そしてその2ヵ月後、少年は無くなった。自分を生み育ててくれた母親に報いたい。その思いがこの少年の人生のテーマだったといえる。短い生涯ながら少年は見事にそのテーマを生ききり、それを一篇の詩に結晶させて、逝った。生前、一言の言葉も発し得なかった少年が、生涯を懸けてうたいあげた命の絶唱。この詩が私たちに突きつけてくるものは重い。

人は皆、一個の天真を宿してこの世に生まれてくる、という。その一個の天真を深く掘り下げ、高め、仕上げていくことこそ、各人が果たすべき人生のテーマといえるのではないか。「我業精進、忍終不悔」・・・わが行は精進して忍んで終に悔いない。「大無量壽教」の言葉である。永遠の人生のテーマがここにある。」

若くして夭折した方々が、このように素晴らしい詩を残しておられる例が多々あります。物の本によると、人間は魂の時代にすでに自分の次の人生の設計をすべて行なってから生まれてくると言います。端から見ると、一見苦しみのみ多き人生のように感じられても、きっと中身の濃い悟りの境地に達したような人生だったのでしょう。だからこそ、言葉の一つ一つが心にずっしり響いてきます。

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