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2005年9月27日 (火)

院長日記6

9月18日から連休を利用して2泊3日で医院の慰安旅行をしてきました。かなり前から掲示はしていたのですが、20日に来院された方にはご迷惑をおかけいたしました。

当医院は2年に1回、慰安旅行を行なっています。前回は秋の北海道でしたが、今回は正反対の石垣島に行ってきました。最近は慰安旅行をする医院もめっきり減ったそうです。それは、企画してもスタッフがあまり喜ばないからだそうです。確かに1人でも渋る人がいれば、なかなか話もまとまらず、そのまま立ち消えというケースも多いでしょう。また、スタッフも多くなると、一つにまとまるというのも難しくなるのでしょう。

幸い当医院は今回も全員で楽しく旅行を満喫する事ができました。年齢層もバラバラですが、それなりにまとまっています。おかげで私も日々快適に仕事をさせていただいております。感謝!感謝!

石垣島までは福岡から直行便で約2時間、丁度良い移動時間です。国内ですので当然入出国の手続きもいらず、余計な気も使わなくて済みます。飛行機の中から見える石垣の海は、エメラルドグリーンという言葉がピッタリで、機内で歓声が上がるとともに、期待に胸が膨らみます。

今回は、クラブメッドのツアーで申し込みました。空港から専用バスで約40分、カビラ湾という所にその施設はあります。GOと呼ばれる底抜けに明るくサービス精神旺盛のスタッフが出迎えてくれます。それから日常の色々な煩わしさを忘れさせてくれる夢のような3日間が始まりました。ここは基本的にその施設内でほとんどの遊びが無料で行なえるようになっており、初めて訪れる私たちにはとても全てをこなす事はできませんでした。目の前には、プールやプライベートビーチが広がり、他の客が入って来ませんのでゆっくりと泳いだり、常設のイスでくつろいだりできます。

全て自分のペースで行なう事ができ、ゆっくりしたい人も活発に動き回りたい人も楽しめると思います。ちなみに当医院のスタッフは、初日から空中ブランコをやっていました。もちろん指導員や命綱つきで、かなり楽しかったそうです。指導員の方にキャッチしてもらえるまで行かず、悔しかったそうです。あと1回チャレンジしたかったそうですが、他のメニューが盛りだくさんで、残念ながら今回は断念したようです。

施設の中にはフロントを除いたら、ほとんど時計が見当たりません。これも非日常の世界を堪能してもらうための心配りなのでしょう。また、掃除も行き届いており、ゴミがほとんど見当たりません。このあたりは、ディズニーランドに共通するものを感じます。リピーターが多いというのも共通しているようです。ふと現実に帰って見習うところが多いと感心させられました。

私が約20年程前に大学の卒業旅行でバリのクラブメッドに行って非常に良かったので今回企画したのですが、その期待を十分に満たしてくれました。何よりも食事ごとにワインが飲み放題で、明るいうちから飲めるというのは極楽でした。夜は毎日ショーもあり、全員で歌って踊って南国の夜を満喫しました。

書き出すときりがありませんのでこのくらいにしておきます。料金は普通のツアーに比べると一見割高に感じますが、現地でほとんどお金がかかリませんので、総合的にみるとお得だと思います。ぜひ機会があれば皆様も訪れてみて下さい。日本には石垣島と札幌にあります。また、その他に世界中にありますので、自分の気に入って所にぜひ行ってみて下さい。また、その感想などもお待ちしております。

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2005年9月21日 (水)

歯ぎしりの恐怖パートⅡ

連休を使って石垣島に慰安旅行で行ってきました。幸い天気にも恵まれまして、従業員ともども南の海を満喫してきました。最近は慰安旅行をする医院がかなり減っているそうです。その理由は、慰安のはずなのに従業員が喜ばない、あるいはかえって迷惑そうにしたりするからだそうです。個人主義の浸透なのでしょうか?幸い当医院は2年に1回ですが、全員で遠出をして心身をリフレッシュしております。

さて、休みボケの脳みそに喝を入れて書きます。前回の続きで歯ぎしりについてです。患者様に歯ぎしりの話をしますと、必ず「ではどうやったら歯ぎしりを止める、あるいは防ぐ事ができますか?」という質問を受けます。これに対して明確な答えが出せない事にもどかしさを感じます。というのは、確かにかみ合わせの不調和が歯ぎしりの原因の一つとなることはあります。治療を行うことによって軽減する事もあります。

しかし、それ以外にも精神的なものや、体調、ストレス、飲んでいるクスリなどなど多様な原因が考えら、一時的なものから、毎日何年も何十年もくり返すものまでその病態は多種多様であり、それらを全て突き止める事は不可能です。ということは、結果的に治ったというものはあっても、原因を突き止めて完全に無くすというのは不可能とも言えます。何か我々の敗北宣言のようですが、現実ですので仕方がありません。

最近の研究では、人間は歯ぎしりをすることによって無意識にストレスを発散しており、それはある程度生理的なもので、それを強制的に禁止すると、精神が破綻する場合もあるという報告もあります。ただ、やはり歯ぎしりが歯や歯周組織に対して破壊的なダメージを与えている事は現実です。

また、最近はだいぶん知られてきましたが、歯ぎしりが頭痛や肩こり、腰や膝の痛みに関連しています。人の顎は上と下とありますが、動くのは下あごだけです。これは筋肉によって動かされるのですが、その筋肉がこめかみや肩につながっています。また、肩の筋肉は腰に、腰の筋肉は膝にと、全身がつながっています。歯ぎしりは前回述べましたように、無意識のうちに行ないますので制御が効かず、筋肉を傷めるような無理な力や動きが加わり、その結果筋肉痛が起ります。これが頭痛(頭痛は血管が原因のものと、筋肉が原因のものとがあります。歯ぎしりによって起るのは筋肉痛を頭痛として感じるものです)肩こり、腰や膝の痛みの原因となります。

歯ぎしりを完全に止めることは不可能ですので、ではどうするかといいますと、「ナイトガード」といって、寝てる間だけはめるマウスピースのようなものがあります。これをはめると歯と歯の間にクッションが入った様になりますので、直接歯同士が当たらないため歯や歯周組織をいためません。これは保険治療でできますので約5千円(3割負担、初診再診療他は別)程度で作る事ができます。これをはめる事により、今までグラグラしていた歯がしまってきたり、長年悩まされていたヅ痛や肩こりが軽くなったりなくなったりすることもあります。

現代はストレス社会のせいか、歯ぎしりを持っている人がかなりいるように感じます。それをうまくコントロールする事により、歯や歯周組織を守る事ができます。前回歯ぎしりの特徴として口の中の見方を書いていますので、当てはまる徴候がありましたら一度かかりつけの歯科医院にご相談されてみて下さい。歯は悪くなった状態を健康な状態まで回復させる事は難しいので、ダメージが少ないうちに手をつけるのが得策です。

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2005年9月14日 (水)

歯ぎしりの恐怖パート1

従来歯科の2大疾患といえば、虫歯と歯周病でした。ところが、最近それに顎関節症を入れて3大疾患と呼ばれる場合が出てきました。少し前になりますが、熊本出身の森高千里がかかって一時期芸能活動を休んだ事で有名になりました。顎関節症につきましてはあらためて書きますが、この原因の一つが歯ぎしりだと言われています。

現代は軟食の時代で、ほとんどの料理に火を使いますし、むかしのように砂が混じったような食べ物を食べることもありませんので、食事で歯がすりへる事はほとんどありません。

にもかかわらず、歯が擦り減っている人が多数いらっしゃいます。一度鏡で自分の歯をじっくりと眺めてみてください。

まず、前歯、特に下の前歯を見てみて下さい。生えたての前歯は、一つの歯に対して小さな山が3,4つかみ合わせの面に並んでいるような形をしています。その部分がまっ平らに擦り減って、テカテカと光っていないでしょうか。上の前歯にも同じ様な徴候ありませんか。

次に前から3番目の糸切り歯、あるいはその奥の4,5番目の小臼歯を見てみて下さい。これらの歯は生えたときはその先端が一つの山のようにとがっています。そこの先端が富士山のように平らに擦り減っていないでしょうか。

次はさらに奥の6,7番目の大臼歯です。ここは一つの歯に大きな山が4つくらい集まったような形をしているのですが。ここも山の先端が擦り減ってはいませんか。あるいは、表面のエナメル質はなくなって、中の黄色い象牙質の色が見えてきてはいませんか。

以上のような徴候が認められたら本人が自覚していなくても、必ず歯ぎしりをされていると断言できます。

その他に、上あごの天井の部分や下あごの4,5番目の歯の内側に骨が出っ張っている方も(これは外骨症といって、入れ歯の邪魔にならなければ特に治療の必要はありません)歯ぎしりを持っておられます。

歯ぎしりというと、みなさんあの「ギリギリ」という音を連想されると思います。ところが、音のしない歯ぎしりもあります。

歯ぎしりは3種類に分類されます。一つはぐラインディングといって、いわゆる「ギリギリ」と音をたてるタイプ。二つ目はタッピングといって「カツカツ」とかみ合わせて音をたてるタイプ、3番目はクレンチングといって、グーっと食いしばるタイプです。これは音はしませんし、歯もあまり擦り減りませんので、前述したような徴候があまり認められない場合もあります。

日中の起きている時は、意識があるため歯や周辺組織を傷めるような必要以上の咬む力が出ないように脳神経でうまく制御されています。ところが、寝ている時は意識が無いため、その制御がうまく働かず、物を貯める時の数倍から数十倍の無理な力が歯にかかってしまいます。その結果、男性で咬む力の強い方は、虫歯も何も無い健康なご自分の歯を、自分で噛み割ってしまう場合もあります。

ためしに、歯ぎしりをして「ギリギリ」と音をたててみて下さい。多分できる方はほとんどいないのではないでしょうか。反射が働いて、必要以上の力がかからないように無意識のうちに制御されてしまうのに加えて、唾液が十分に出ていますので、摩擦力も低くなるため滑って音をさせる事は至難の業です。逆に、寝ている時は唾液の分泌が少なくなるため口の中が乾く事により摩擦が強くなり、歯に砥石をかけているような状態になってしまいます。

最近、歯が割れて抜歯になる方が増えてきました。様々な原因があるとは思いますが、その中心となるのがこの歯ぎしりではないかと私は感じています。では、なぜ歯ぎしりをするのか、それを止めるにはどうすればよいのか、歯の破折以外にどんな弊害をもたらすのかなどはまた次回書きます。

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2005年9月 9日 (金)

歯周病は歯の癌です

衝撃的なタイトルをつけてしまいました。これは歯周病が癌に進行するという訳ではなく、その病態や進行具合が非常に似ているのでこのように書きました。癌が進行すれば命を落とします。歯周病が進行すれば、最後はその歯が抜歯あるいは自然脱落してなくなります。これは、命を落とすわけではありませんが、その歯にとっては死を意味します。

ではこの二つの病態を比較してみましょう。歯周病の実態が見えてくると思います。

歯周病の初期は痛みなどの自覚症状がほとんどありません。歯磨きをするとたまに出血がある程度で、それも何日かすると止まるので、歯周病にかかっているという自覚を持っている人はあまりいません。

若い人がかかる歯肉炎と歯周病は似たような症状を呈するのですが、その大きな違いは歯を支えている骨が溶けているかいないかです。歯肉炎は単にプラークコントロールが悪いために歯ぐきが炎症を起こして腫れているだけで、骨にはまだ異常がありません。しかし、この状態で年齢を重ねて行くと骨が溶け出して歯周炎に移行していきます。

ですから、どの段階で歯肉炎から歯周炎に移行するのか線引きする事はできませんので、ある程度の年齢(30歳前後)になり、レントゲンで歯を支える歯槽骨の欠損が認められたら歯周炎という診断をくだします。

少々骨が溶け出しても、まだ歯がぐらついたり噛む時に痛みを感じたりする事はありませんので、自覚症状は前述したようにほとんどありません。この段階で治療すると、短期間に少ない回数で完治させる事ができます。もちろん費用も少なくて済みます。

癌も同じで、自覚症状がほとんど無い段階で、検診などでたまたま見つかったようなごく初期の癌は、手術などをしなくても、今は内視鏡などを使って取り除く事ができるものも増えてきました。当然完治させる事も容易ですし、予後良好です。

歯周病も中期に入ると、かなり自覚症状が出てきます。歯肉の腫れや出血に加えて歯が少し動くようになり、場所によっては歯ぐきが下がってきて歯がしみるようになります。前歯が開いてきたり、だんだん前へ出てきて出っ歯になってきたりもします。固いものも多少噛みづらくなり、食事が美味しくなくなります。時々歯ぐきが急性発作を起こして強い腫れや排膿もみられます。こうなると、歯槽骨の状態としては、元々ある量の半分くらいまで溶けています。

今の技術では、一旦溶けた骨を完全にもとの状態まで回復させる事は不可能です。材料や技術の発達で、ある程度の骨の回復はできるようになりましたが、特殊な治療のため健康保険の範囲内ではできませんし、それらを使っても元通りにはなりません。つまり、治療を行っても良くて現状維持ということになります。歯ぐきの中の方まで歯石がこびりついていますので、そのままでは痛くてとれないため、麻酔を使って場合によっては歯茎の手術や移植などが必要になる場合あります。

当然、治療回数、期間、費用もかかりますし、痛みを伴う場合も多々あります。最後まで頑張ったとしても完治させる事は大変難しく、予後があまり思わしくない場合も出てきます。

癌も同じで、大きな手術などが必要になる場合もあり、生存率もだんだん下がってきます。ある程度治癒の状態に持っていけたとしても、例えば胃や乳房、手足などを摘出したりと、その後の生活の質を下げてしまう場合もあるでしょう。完全にもとの健康な状態に戻す事は難しくなります。

歯周病も末期に入ると、完治させるというよりも、歯の延命処置が増えてきて、「もたせるだけもたせましょう」というような説明が増えてきます。当然固いものは食べられず、丸呑みに近い状態ですので、胃腸の負担も増えるでしょう。患者様が納得した段階で抜歯となります。また、自然と抜け落ちる場合もあります。常に出血、排膿、強い口臭などに悩まされます。

癌も末期になると、治すというよりは、クスリで痛みを取り除いたり、延命のための簡単な手術をしたりという程度で、その人の、残された時間をなるべく有効に使っていただこうというような対処になります。

どうでしょうか。歯周病と癌、似てると思いませんか。自覚症状も無くじわじわと進行するところなどそっくりです。ある程度の年齢になると、みなさん人間ドックや成人病の健診にいかれると思います。最近やっと、その中に歯科の健診が取り込まれてきましたが、まだまだ100%ではありません。また、その様な健診を受けだすのはだいたい40歳前後だと思いますが、歯周病の場合はその年齢だと遅い場合がありますので、できたら若いうちから健診もかねたメンテナンスに通われる事をお勧めいたします。

歯周病は細菌感染症です。つまり、細菌をうまくコントロールすれば十分に防げる病気なのです。日本には、どうもないのに定期的に歯科に通うという習慣がまだまだ確立していません。早く欧米なみの意識改革をしていただいて、最後まで自分の歯で美味しく食べられる幸せをかみしめていただきたいと切に思います。

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2005年9月 7日 (水)

歯牙の破折

昨日は台風14号の直撃で、午後から臨時休診となりました。各地で被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。熊本市内は雨風は強かったものの、さほど大きな被害はなかったようです。当医院も、1箇所雨漏りがあったものの(これはかなり前から当医院を建てた某建築会社に依頼していたものの、のらりくらりとかわされているまま今日に至っています。クレーム処理の手際でその会社の誠実度がわかりますね)大きな被害は無くホッとしております。

さて、本日は最近多い歯の破折についてです。歯を抜く原因は、少し前までは事故などを除けば虫歯か歯周病(歯槽膿漏)がひどくなってからでしたが、最近この歯の破折による抜歯が非常に増えてきました。

健康な歯には、その真ん中に神経や血管が通っています。ところが、虫歯を放置していたり、歯周病が進行して痛みが出ると、その神経を取る治療をします。痛みが取れたら神経に代わるクスリを詰めて、削ったところに銀歯などの被せ物をすると、一応元通りに噛めるようになり、機能的には回復できます。

しかし、歯の神経を取るとどうなるのでしょうか。

私はよく木に例えて話をします。生木と枯れ木を比べると、枯れ木の方がポキポキと折れやすくなります。歯も同じ様に、神経がある歯に比べて神経を治療した歯はもろく、割れやすくなります。そのため、歯全体を覆うような銀歯などでがっちり覆うように作ります。また、神経を取ると、その後新たに虫歯ができても痛みが無いため発見や治療が遅れがちで、結果的に歯を弱らせてしまいます。

歯の健康な部分がかなり残っていればそうでもないのですが、虫歯が進行したり、再治療になると、健康な歯質が少なくなりますので歯を補強する必要が出てきます。その時保険治療で使用されるのが、銀合金です。

銀の性質を皆さんはご存知でしょうか。まず挙げられるのは、金属としてはかなり軟らかい性質を持っているということです。加工は非常にしやすいのですが、その分強度が劣ります。

そのため、我々が歯を補強する場合には、ある程度の太さが必要になりますので歯牙の削除量がどうしても増えてしまいます。その結果、歯そのものの厚みが減ってしまい、歯の強度が落ちてしまいます。歯の強度を保とうとすると銀の部分の太さが細くなり、今度は補強するための銀の強度が落ちて、咬む力(自分の体重くらいの力がかかると言われています)に耐えられずに変形や脱落が起ります。

また、歯は体の組織の中で最も硬いのですが、それでも歯に咬む力が加わると微妙に変形します。ところが、歯と金属は当然変形する量が違いますので、その境目にひずみが集中して、それが歯を割るような力として作用してしまう場合があります。

さらに、銀は錆びやすい金属です。銀の食器をお持ちの方はご存知だと思いますが、新しいうちはピカピカで良いのですが、常に手入れをしておかないとすぐに表面がくもってきます。銀が錆びると黒くなるため、その色が歯や歯ぐきを通して見えることがあり、見た目が悪くなる場合があります。また、最近の研究ではその錆びが、歯の強度を低下させている事がわかってきました。

今まで述べた事は、保険で使われる材料的な問題でした。これらは保険治療にこだわらなければ、他の材料を使用することにより、その弱点をある程度カバーする事ができますが、残念ながら100%安心という材料や術式はまだありません。ご相談があれば、その時点で私が考える最善の材料や方法を提案させていただきますが、費用がかかったとしても永久ではない事をご理解いただきたいと思います。ただ、全く同じ条件ならば、保険の銀合金を使用した場合よりも歯が長持ちすると言えますし、審美的にも良好になります。

材料的な問題以外に最近気になる事は、歯ぎしりをする方が非常に多くなっているという事です。歯ぎしりの害についてはあらためて述べますが、歯ぎしりは普段の食事の数十倍から数百倍の負担を歯に強います。そのため、男性の咬む力がかなり強い方の中には、虫歯も何も無い健全な歯が割れてしまう方がいらっしゃいます。自分で自分の歯を破壊してしまうという状況です。

ビールやジュースのふたを歯であけて欠けたという話はまれに聞く事がありますが、普通の生活をしていて歯を割ってしまう大きな原因が歯ぎしりです。我々専門家がお口の中を拝見すると、歯ぎしりがあるかどうかは一目でわかります。ただ、歯ぎしりを指摘すると、多くの方が自分はしていないとおっしゃいます。寝ている時なので、他の人に指摘されなければ自分ではなかなかわかりませんし、音のしない歯ぎしりもあります。

うつの患者様がかなり増えてきている事からもわかるように、毎日の生活の中で強いストレスを受けている方が急増しているのでしょう。それらも歯ぎしりの大きな要因となります。その他、たくさんの原因がありますが、それらの説明は、また場をあらためます。

歯の環境的な問題としては、例えばその歯がブリッジの支台歯(歯を抜いた時、その両隣の歯を削ってつなげて歯を作る方法)であったり、入れ歯の鉤歯(バネをかける歯)であったりすると、余分な力がかかりますので、過超負担となり、歯がその力を支えきれなくなり、割れてしまいます。

以上述べたように、様々な要因で歯が割れていますが、最大の要因はやはり神経を取る事だと思います。もちろん、痛みなどにより必要があって治療してる訳ですので、最良の予防は虫歯を作らない、また、作ってしまったら出来るだけ早期に治療を完了し、定期健診を受けるということです。

何か当たり前のような結論になってしまいましたが、やはり当たり前のことを当たり前に粛々と行うことが最善だと思います。

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2005年9月 3日 (土)

院長日誌5 

アメリカでは巨大ハリケーンによる甚大な被害が出ているようです。亡くなった方や被害に遭われた方には謹んでお見舞い申し上げます。

ただ、一つ印象的なのは、アメリカでは今回のような大規模災害が起ると必ずと言っていいほど暴動や略奪といった無法行為が起ります。今回も例に漏れず、政府はその様な行為に対しては射殺しても良いとの命令を出し、軍隊も発動したそうです。アメリカの裏の顔を垣間見るようです。

日本では阪神淡路大震災をはじめ、似たような災害が起こった時、その様な事を聞いたことがありません。多少の、こそ泥的な行為があり、自警団で見回りをしたような話はありますが、警察が銃を構えて取り締まるような事はありません。逆に、誰を恨むでもなく、黙々と後片付けをする人や、全国からボランティアで手助けに来る人、援助をする人の姿が報道されるのを見て、日本人は素晴らしいとあらためて感じさせられました。

8月の終戦記念日前後には、先の戦争を問い直す番組や討論会などがテレビでたくさん流れていました。ややもすると、戦後、全てを「悪」とされて、日本人としてのほこりを失いがちでしたが、先に述べたように、日本人は素晴らしいという面を再認識、再評価する時期なのかもしれません。

テレビでは毎日衆議院総選挙のニュースで持ちきりです。郵政民営化を問う国民選挙的なニュアンスで報じられています。ここで個人的な賛否は申し上げませんが、他にも日本が抱えている問題は年金、社会保障、少子高齢化対策をはじめ、山積しています。新しく選ばれた方には、自分たちの生きている間だけではなく、子供、孫の代まで考えた国の政策をぜひぜひお願いしたいものです。

私は職業柄、やはり社会保障の政策に目が行きます。日本は少子高齢化の道をばく進しています。つまり、社会保障を受ける立場の人がどんどん増え、それを支える若い人が減り続けています。出生率もとうとう1.3人を割り込み、1.2人代に突入しました。今の政府の政策を見てみると、ますます子育てがしにくい世の中になりそうで、先行き不安です。

日本には健康保険制度という素晴らしい制度があります。保険証を持っていれば、日本全国どこでも安い(諸外国の医療費に比べると)費用で必要最低限度の治療を誰でも受ける事ができます。これは、我々治療をする立場からすると、例えば昨日卒業した新米医師も、経験や研修を重ねたベテラン医師も、同じ病気に対する治療費(技術料)は同じということになりますので、少々矛盾を感じる面もあるのですが、技術の客観的な評価と言うものは非常に難しく、現実的にはそれをみんなが納得できる形で例えばランク付けをしたりするのはかなり困難な作業なので、現行制度が患者様にはとりあえずはわかりやすいと思います。

ちなみに健康保険のない諸外国では、当然医師によって治療費が変わってきます。もちろん治療の予後も差があるのでしょう。患者様は自己責任において医師を選ばなければいけません。

さて、その素晴らしい日本の健康保険制度が崩壊の危機に面しています。これは、年金も含めて少子高齢化に原因があります。現在、医療費は年々確実に増加しています。そのほとんどが、老人医療費の伸びで占められています。ちなみに我々歯科の医療費はずっと横ばいですので、医療費の増加はそのほとんどを医科で占めています。

以前ならば残念ながら亡くなっていたというような状態の患者様を、今は様々な方法で生かしておくことができるようになりました。しかし、その終末医療にかかる費用は膨大です。命に値段をつけることはできませんが、その治療が患者様本人にとってどのような意味を持つのか、ややもすると

これは極端な例かもしれませんが、先日ある研修会に参加したとき、その講師の先生が国民保険のレセプトの審査委員(我々が保険診療をしたら毎月レセプトといういわば請求書みたいなものを提出し、それに誤りが無いか審査する人)をしていて、医科の方で1人のレセプトが160万点を越えていたと言う事です。レセプトの点数は1点につき10円の請求ですので、1人の方に1600万円を越える治療費が発生していると言う事です。これは我々歯科の平均的な保険収入(全ての患者様を診た)の約半年分に相当します。我々が半年間、たくさんの患者様を診ていただく報酬を1人の患者様で、まかなえると言う事です。もちろん必要な治療を積み重ねた結果なのでしょうが、皆様はこの現実にどのような感想をおもちになるでしょうか?

昔は無料だった社会保険本人や老人の医療費負担がだんだん増えてきました。現在は社会保険本人が3割、老人が1割負担となっていますが、それでも追いつかず、現行の制度を維持するためにさらなる負担増が計画されています。これは、他に(例えば消費税など)財源を求めなければある程度仕方の無い事かもしれません。

選挙の話から飛躍してしまいました。ともかく、社会保障というのはその国民が安心して生活していくためには欠くことのできない制度です。郵政だけでなく、そのあたりも各党間でしっかりと議論していただきたいものです。それを踏まえて、皆さん投票に行きましょう。日本の未来がかかる大切な一票です。

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2005年9月 1日 (木)

笑顔の効果パートⅡ

今週は、月曜日から夏休みの追い込みがかかり、子ども達が押しかけましたのでブログまで手が回りませんでした。月が変わり、またじっくりと腰を落ち着けて仕事やこのブログに取り組みたいと思っております。

さて、今、韓国のトップスター、「ヨン様」ことペ・ヨンジュン氏が何ヶ月かぶりに来日し、またまた大騒ぎになっております。とある集まりには約3万人が集まり、グッスの売上が1日で1億円とか。相変わらずすさまじい人気です。

別名「微笑みの貴公子」と呼ばれているとおり、なるほどステキな笑顔をされます。端正な顔立ちや、優しいまなざしに加えて何よりも印象的なのはあの口元です。私は職業柄、どうしても人に会うと口元に目が行くのですが、私でなくともあの真っ白できれいに並んだ歯と相手に癒しを与えるような唇の開け方に魅了される人は多いでしょう。

ステキな笑顔は持って生まれたもの(その様な人もたまにはいらっしゃいますが)ではなく、訓練して勝ち取るものです。これは「スマイルトレーニング」といって、専門の講習会があちこちで催されています。最近は、笑顔の効用が大変見直されており、どれも盛況のようです。

どちらかというと、日本人にとっては苦手な、あるいは慣れていない分野なのですが、きっとみなさんその必要性や大きな効果を感じ出しているのでしょう。

顔は表情筋と呼ばれるたくさんの筋肉が複雑につながって構成されています。筋肉ですから、当然鍛えると活性化し、さぼるとたるんできます。当医院では、「パタカラ」という口唇を鍛える器具を販売しております。これは、本来は口唇を鍛える事により、口呼吸(これによる様々な弊害は以前書いておりますので、ご参照下さい)を防止し、鼻呼吸に変える目的で開発されたのですが、副次的に口元やフェイスラインが締まってきたり、ダイエットになったりと言う効果が認められて、美容を目的に購入される方も結構いらっしゃいます。(もちろんほとんどが女性です)

最近問題となっている引きこもりやニート、鬱などの人は、他の人とほとんど交わる機会が無いので、話す事も、笑う事も、歌う事もなく、表情筋を動かす機会が少なくなります。そのため筋肉の動きは悪くなり、表情が乏しく能面のような顔になってしまいます。

ですから、ステキな笑顔を手に入れるためにはトレーニングが必要なのです。ここに簡単な方法を一つ列挙します。

まず、割り箸を用意して下さい。それを割って(そのままでも構いませんが)両側の前から数えて3番目の犬歯(大きくて尖った歯)とその奥の4番目の小臼歯の間くらいで噛んでください。すると、割り箸がだいたい上下の唇の間くらいに来ると思います。このとき、両目を結んだラインと割り箸が平行でなければかみ合わせのズレが予測されるのですが、まあ、ここではその話はよいでしょう。

割り箸に対して自分の口角(上下の唇が合わさる部分)はどの位置にあるでしょうか。多分、大多数の方は同じくらいか、やや下にあるのではないでしょうか。これを割り箸よりも上にくるようにしてみてください。すると必然的に笑顔を作らざるを得なくなります。ひごろその位置を意識していない方は、その位置を保つ事は結構きついのではないでしょうか。ですから、そこにスマイルトレーニングが必要になってくるのです。

毎日何回か行なっていると、意識せずに口角をその位置にすっと持っていけるようになります。多分ヨン様も笑った顔はいつも同じ様な口元になっていますので、影でその様なトレーニングをしているのではないかと推測されます。その上で、見えてくる歯をきれいに治療し(多分セラミックの歯が入っていると思います)それを定期的なクリーニング等で維持しているのでしょう。

誰でも今日からお金をかけず簡単に始められることです。しかもその効果は絶大だと思います。人と初めて会ったときの第一印象というのはなかなか消えません。つまり、最初にいかに相手に好印象を与える事ができるかは、その後の人間関係に大きく影響します。

もちろんお付き合いしていくうちにその人の良さがだんだんわかってきて、第一印象が覆される事も良くある事かもしれませんが、全ての方とお付き合いしていくわけではありません。一度っきりしか会えない人は、第一印象をずっと引きずっていくわけです。また、特に付き合いが無い人でも、すれ違いざまにステキな笑顔を見せられると何となく幸せな気分になり、それだけで相手を幸せにしているのです。これは素晴らしい事だと思います。決して顔立ちの良し悪しではありません。いかにステキな笑顔で相手に接することができるかです。

さあ、みんなで「ヨン様スマイル」を手に入れるべく、今日から顔の筋トレを始めましょう。

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