« 2006年1月 | トップページ | 2006年3月 »

2006年2月28日 (火)

インプラント治療の考え方その1

インプラントという言葉を皆様も一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか。少し前までは、特殊な治療でごく一部の歯科医院で行われていた治療でしたが、今は術式も確立され、使用材料もある程度淘汰されて、一般の歯科医院でもかなり行なわれるようになりました。

インプラントとは、簡単に言うと、何らかの原因で歯を抜いた後、その欠損部の骨にインプラントを殖立することによって、そこにまた新しい歯が生えた様な状態になり、かみ合わせなどの機能的な面と、見た目の審美的な面を回復することができます。「乳歯、永久歯に続く第3の歯」と呼ばれる由縁です。

欠損部を放置すると、様々な弊害が出てきますので、何らかの方法で歯を作ります。インプラント治療が選択できない場合は、ブリッジが入れ歯で作製します。

ブリッジとは文字通り「橋」の意味で、抜けた歯の前後の歯を必要な本数削って抜けた所に人工的な歯を作り、すべてを連結してセメントで歯に接着します。そのため入れ歯に比べて取り外しをして清掃などする必要がなく、なじめば自分の歯とほとんど感覚的には変わらなくなりますので噛みやすく快適です。少数歯欠損の場合はほとんどの方がこの治療法を選択されます。ただ、抜けている歯が多くなると作製できない場合もあります。また、歯が抜けた部分にかかる余分な力も前後の歯にかかってきますので、過超負担になると咬む力を支えきれずに前後の歯まで共倒れという場合もあります。特に、すき間が2本分以上あると、予後は極端に悪くなる傾向があります。それは、噛むたびにブリッジがたわむため、そのひずみが蓄積してトラブルの原因になります。

また、ブリッジの場合、前後の歯を削るという処置が必要になります。既に銀歯などが入っている場合は、それをはずせばよいのですが、虫歯も何もないきれいな歯であってもかなりの量を削らなければいけません。削った歯から悪くなるという経験をされた方も多いと思います。どんなに精密に作られた補綴物(かぶせ物)であっても、歯とのすき間をゼロにすることは不可能です。腕の悪い(?)ドクターの治療だと、素人の目でもあきらかに解るくらいのすき間が見える事もあります。虫歯の原因となる細菌からすると、余裕で入り込める大きさの隙間なので、そこで繁殖すると新たな虫歯の発生原因となります。つまり、歯はなるべく削らない方がよいということです。私の医院では、初期の虫歯は予防のご指導を行なって経過観察する場合が多いです。もちろん放置してひどくなると逆に歯を傷める事になりますので、定期的に観察させて進行していないか確認させていただくようにはしています。

また、保険診療の場合、前歯は白い歯を入れることができるのですが、前から4番目以後の臼歯部は銀歯になります。これをいやがる方も結構多くいらっしゃいます。保険診療はルールがありますので、仕方がありません。

ブリッジの平均残存年数は約10年という統計が出ています。2本以上の欠損があると、もっと短くなると思われます。つまり、10年以内には、作り変えも含めた再治療が必要となるという事です。当然、再治療の時には以前よりも残っている歯は傷んでいますので、仮に同じ様な設計で再製作ができたとしても、その寿命は前回製作した時よりも短くなるのは仕方ないでしょう。そうこうしているうちに、歯がもたなくなり抜歯となり、だんだん歯が少なくなり、最後は総入れ歯への道をまっしぐらです。しかも。このスピードは、歯が少なくなるほど残っている歯の負担が大きくなりますので、加速していきます。

では、入れ歯はどうかといいますと、入れ歯にも当然長所、短所があります。長所としましては、歯の欠損が何本になっても製作可能だということです。ブリッジで対応できるような少数歯欠損であっても、入れ歯で当然作製可能です。歯を削る事をいやがる患者様は、入れ歯にされる事もあります。入れ歯の場合は残っている歯にバネのようなもので(クラスプと言います)安定させますので、その部分を少しだけ削って形態修正をすることはありますが、ほとんど残っている歯を削らなくて良いというメリットはあります。ただ、入れ歯の最大の欠点(利点である場合もあるのですが)は、取り外しであることです。残っているはとの間にはどうしてもすき間ができるので、できれば毎食後、最低でも1日1回は口の中から取り外して、残っている歯の他に入れ歯の手入れが必要になります。これをサボると歯ぐきの炎症や口臭、残っている歯の虫歯の原因などになります。

また、入れ歯は軟らかい歯ぐきの上に乗っていますので、咬む力を歯ぐきで支えます。そのため、なるべく大きく作った方が、力を負担する面積が大きくなりますので入れ歯としては有利になります。ただ、大きくなるほど違和感が強くなりますので、妥協点を見つけなければいけません。硬いものや引っ付くものが苦手で、どんなに名人が作ったとしても、自分の歯の3分の1くらいしか噛めないと言われています。

前述したように、入れ歯は残っている歯バネでに引っ掛けますので、その周りに特に汚れが溜まりやすく、虫歯を誘発しやすくなります。また、入れ歯は噛むたびに微妙に動きますので、バネをかけた歯を揺さぶるため、その歯の骨が吸収して最後は抜けてしまうという事もおあります。いればの方は、「バネをかけた歯から悪くなる」という経験をよくされます。また、どうしても自分の歯の方が噛みやすいため、片側噛みから顎のズレなどにつながる事もあります。

これらをインプラント治療である程度解決する事ができます。長くなりましたので、インプラントについては次回触れます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月22日 (水)

世界の最先端スウェーデンの予防歯科

最近でこそ「予防」という言葉は、当たり前のように使われていますが、約30年前までは歯科医療の世界には予防という考えはありませんでした。それが一変したのは1970年代のスウェーデンからで、大規模な予防プログラムの導入により、国民の歯の健康状態が飛躍的に向上しました。

日本では、「年をとれば歯を失うのは仕方ない」と考える人が多いと思います。スウェーデンでも30年ほど前までは同じでした。ところが今、日本では80歳で残っている自分の歯は約8本、スウェーデンでは15~20本です。

また、スウェーデンの人は口腔ケアの意識が高いため、電動ハブラシの世帯普及率も、日本よりはるかに高い50%以上と言われています。だて、この違いはどこから来るのでしょう。

世界で初めて予防の重要性を打ち出したのが、スウェーデンのイエテボリ大学です。1960年代から長期にわたる膨大な調査が行なわれ、対症療法(悪くなってから治療を行う)が中心だった歯科治療を根本からくつがえしました。

その一番の意義は、虫歯や歯周病などあらゆる口腔疾患に最も有効なのは、プラークコントロール(歯垢除去)だと証明したことです。

その調査の一つで、子供達を100年ずつ二つのグループに分け、4年間、歯垢の付着や歯肉炎、虫歯の発生状況を追跡。2週間に1度、プロによるクリーニングやブラッシング指導を受けたAグループと、一般的なケアーだけのBグループとを比べた結果、全ての点でAグループが圧倒的に良い状態を示しました。4年間にできた虫歯の数は、Aグループで61箇所、Bグループで941箇所と、その差は15倍以上になりました。

さらに成人の研究では、歯周病手術後にメインテナンス(定期的に歯周状態をチェックし、適切なクリーニングとプラークコントロール指導を行なう)をしっかり受けたAグループと、メインテナンスを受けないBグループの経過を比較すると、Aグループは良好な状態を維持できたのに対して、Bグループの多くは2年後には深刻な歯肉炎、歯周炎が再発してしまいました。

当時は歯周病自体もまだ解明されていない頃でしたが、特に外科的治療を受けた後には念いりにプラークコントロールしなければ、治療前よりも歯周状態が悪化することがはっきりしました。

つまり、一度治療してから「何かあったらまた来てください」では、また患者様を危険にさらしてしまう事になります。メインテナンスを続けて再発や新たな病気を予防しなければ、本当の治療とは言えません。スウェーデンでは、その重要性を教える事も、歯科医院の大切な役割になっています。

スウェーデンの歯科医師たちは、この研究を真摯に受けとめ、いち早く政府に働きかけて予防システム作りに動きました。「すべての国民に平等に予防と治療機会」という目的で設立された公立の医療サービス機関で、すべての住民が定期的にプラークコントロールと指導および治療も受ける事ができます。20歳未満ならチェックも歯科医院での治療も無料なので、人々は子供のときから歯の健診を生活習慣として定着させられます。

両親の出産前指導から始まり、乳児でも歯が生え始める頃からチェックアップの義務があります。治療ではないので、子供にとってそこは気持ちがよくなる、楽しい事を教えてくれる場所となります。だから、スウェーデンでは歯科医が怖いという感覚は無いそうです。我々からすると、羨ましい限りです。日本では、歯医者は「怖い」「痛い」というイメージが定着しているように感じます。

また、当然個人の状態によってケアやクリーニングの方法、通う頻度も異なり、疾患のある人には専用のプログラムが組まれます。フロス(糸ようじ)、歯間ブラシなど、自分では判断がつきにくい道具の選び方もきめ細かく指導されますので、当然健康レベルは上がります。チェックアップに通う人に比べて通わない人が疾患にかかる確率は約6倍と言われてます。

このような綿密なメインテナンスを継続した結果、スウェーデンでは1979年に3歳児の虫歯保有率が80%だったのに対して6年後には4%に減少するなど大きな成果をあげています。では、予防教育の徹底ぶりを考えると毎日の歯磨きもさぞや熱心では?と思いますが、1日の歯磨きの回数を比べると、スウェーデンよりも日本の方が多いそうです。つjまり、歯磨きは大切ですが、自分のケアを時々プロの目で診てもらう事も大切だということです。

間違った方法でゴシゴシ磨き続けることで、知覚過敏になったり歯肉を傷つけてしまう事もありますので、そういう行き過ぎたケアにならないためにも歯科医院でチェックしてもらう事が大切です。

まとめると、歯科医院は決して「歯が悪くなってから仕方なく行くところ」ではなく、「治療が終われば通院は終わり」から、「治療が終わった時から歯科医院との本当のお付き合いが始まる」という意識に変える事が、健康な歯を守る第1歩だということです。

何も無いのに歯科医院に行く事を、ためらう方がいらっしゃいますが、今は「予防」という意識が浸透しておりますので、我々としては、大歓迎です。痛い治療をするのではなく、気持ちのよい口腔ケアを受けていただけるので、ぜひぜひ気軽にお越しください。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2006年2月20日 (月)

院長日記パート11(釜山・中篇)

釜山で宿泊したのは「パラダイス・ビーチ・ホテル」という所で、海雲台という釜山のリゾートビーチに面したホテルでした。なぜここに宿泊したかと言いますと、このホテルに公営のカジノがあるからです。プサンでは唯一のカジノで(もうすぐロッテホテルにできるそうですが)、ソウルに比べると規模はかなり小さいそうですが、それなりの雰囲気はさすがにありました。

私自身はパチンコ、マージャンも含めて賭け事を全くやらないので(負けると後悔する性格なので君子危うきに近寄らずです。ちょっと例えが違うかも?)もう一つ乗り気ではなかったのですが、上司の先生方に好きな方が多いようで、今回のツアーが企画されました。

ホテルに着くと、夕食までの時間はフリーでしたので、好きな先生方は早速ヒト勝負しに行かれました。私は部屋でじっとしていられない性分で、朝から日課のウオーキングもしていませんでしたので、散歩に出かけました。

ホテルの目の前がすぐビーチで、遊歩道やベンチ、公園等が整備されており、散歩するには絶好の場所でした。後から聞いたのですが、日曜日が満月にあたり、韓国ではお祝いをする日にあたるそうで、そのせいか冬にも関わらず、たくさんの人でにぎわっていました。ステージや日本のどんどやのようなやぐらが組んであり、やはり当日に燃やすそうです。ビーチは白い砂浜が広がっており、なかなか風光明媚な所でした。1時間ほど1人で気持ちよく散歩できました。

夜はお決まりの焼肉を食べに行きました。日本の感覚で、肉のほかに野菜を別に頼もうとすると、野菜はついており、なおかつキムチなどと伴に食べ放題だそうです。たれは少々甘めのような感じがしました。私はどちらかというと、韓国味噌をぬって、野菜に巻いて食べる方が美味しく感じました。ビール、韓国の焼酎をそこそこ飲んで、払いが1人1万円近くになりちょっと驚きでした。日本より高い!いくら円が弱くなったといっても、高いでしょう。ガイドさんに連れて行ってもらいましたので、日本人値段という所でしょうか。ホテルの横のお店だったので、しまったという感じでした。

食後、ホテルのまん前に免税店がありますので、そこを覗きました。ブランド物に全くうといので、多分安いのでしょうが、それがどれくらい得なのかも解らず、お店の中を遠巻きに覗くだけで、中に入って手にとって見る勇気はなかなか湧かず、結局さしたる買い物もできませんでした。今はネットなどで見ると、国内でもかなり安く買えますので、買い物目的の方は、相場を調べて行った方が良いでしょう。もちろん、ネットの場合は実物を手に取るまでは品質が解りませんので、そのあたりのトラブルは免税店では無いでしょうし、トラブルが出てもアフターはしっかりしていますので、どちらを選ぶかは好みでしょう。

食後はほとんどの方がカジノで頑張られていました。スロットマシーン、ルーレット、ブラックジャックがメインで、その他は私は解りませんでした。台ごとに賭ける最低金額が決まっており、レートの高い台の方はやはり目つきが真剣でした。今回はほとんどが日本人だったようです。私は、ばくち音痴ですので、スロットを少し触ったくらいで、後は早々に退散して部屋のNHK衛星放送でオリンピックを見てました。カジノは24時間のため、つわものの先生は朝5時までやって2時間程仮眠をとり、出発の12時までさらに頑張られていました。脱帽です。

よく日本人は欧米人の目から見ると無表情といわれますが、韓国や中国の方は、それに輪をかけて無表情のような気がします。みんながヨン様のように微笑んでいると思ったら大間違いです。日本人のようにとりあえず、にこっとする愛想笑もほとんどありませんし、口調も怒鳴っているように聞こえますので、日本人の感覚からすると、何か機嫌が悪いのかなと思ってしまいます。ガイドの方が、いくつか韓国語を教えてくれましたが、怒った様に早口でしゃべるとうまく聞こえるというのが印象に残っています。

また、韓国は日本よりもはるかに男尊女卑(日本ではもう死語かもしれません)が強く、特に長男が家を取り仕切るそうで、平均すると毎月のように行事があり、それを長男が取り仕切らなければならず、長男の嫁にはなりたくないというのが女性の本音だそうです。いずこも同じだと感じました。

タイトルに最初は「後編」と書いたのですが、終わらなかったので、又次回、後編でまとめたいと思います。長くなって申し訳ありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月17日 (金)

健康になる食事パートⅣ(常備食という助っ人)

さて、また食の話の続きです。

最近の主婦が食事を作るのが手抜き、あるいは苦手という話を時々耳にします。では、昔の主婦が三度の食事をきちんと作っていたかというと、決してそうではありません。「主婦が家で料理をしなくなったから食が乱れた」というイメージを抱いている人が多いでしょうが、そんな余裕は昔もありませんでした。確かに昔は外食が少なかったので、今よりは主婦がまめに食事の「支度」をしていたかもしれませんが、いちいち大根を煮たりあえ物を作ったりしていたわけではありません。

今の主婦は共働きで忙しいですが、昔の主婦は家事で大忙しでした。掃除機、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、などなど今では当たり前の便利な器械が無かった時代の家事は、かなりの時間や労力がかかる仕事でした。炊事にしても、炊飯器など無いので、いちいち薪を割ってご飯を炊いていました。しかも昔は今と違い子供の数も多かったので、その世話にも追われてゆっくり時間を掛けて料理を作っている暇などありませんでした。

それでも昔の日本人が家庭でまともな食事をとれたのはなぜか。それは、漬物、海苔、佃煮、梅干などの常備食をうまく利用していたからです。いちいち料理をしなくても、常備食を作りおきしておけば、手早く食事の支度ができる。ご飯を炊いて、みそ汁さえ作れば、あとは常備食を並べるだけで済んでいたわけです。

朝食に関してはこれで充分。夕食も、これに焼き魚を加えれば問題ありません。これこそ、長い歴史の中で育まれてきた賢い知恵だと言えるでしょう。

仕事が忙しくて料理のできない現代人も、この智恵に学ぶべきです。タンパク質も野菜も、常備食でまかなえないものはありません。「バランスのいい食事」とか「1日30品目」とかいう得体の知れないものよりも、こちらの方が寄り現実的で具体的です。

例えば、良質のタンパク質をとりたかったら、肉や卵、牛乳より、煮豆を食べた方がよほど体にいいでしょう。煮豆は買ってくればよく、江戸時代から煮豆やさんはありましたので、昔の人だって、いちいち自分で煮てはいなかったのです。それに、豆腐や納豆、小魚の佃煮などもあります。これらを買い置きしておいて、飽きの来ないようにうまく食卓に並べてゆけばいいのです。

野菜は味噌汁に入れられるし、それより何より一番楽なのは、漬物です。野菜炒めやドレッシング、マヨネーズまみれのサラダと違って、漬物には油が入っていません。しかも切って並べるだけですから、用意するのが簡単。「この世で最高の野菜料理はなにか」と問われたら、幕内さんは迷わず「漬物」と答えるそうです。

時間がある時には野菜のあえ物、煮物、おひたしなどを作るようにして、普段の忙しい時は漬物で充分です。ちなみに私は大分の「きっちょむ漬」が大の好物で、大分に行ったときには必ずまとめ買いしてきます。それでも家族全員(特に私と長男)がばくばく食べるので、あっという間に無くなってしまいます。

常備食は、スーパーに行けばたくさんの種類が置いておりますので、手軽に手に入ります。ただ、あまりまともではない物が売られているのも事実なので、慎重に選ばなければなりません。

まず絶対に避けたほうがいいのは、成分表示に「ソルビン酸」や「着色料」と書かれているもの。今の食品には様々な食品添加物が使われていますが、「ソルビン酸」や「着色料」はきわめて毒性が高い可能性があります。これらは「薬漬け」の食べ物だと思ってください。

それ以外では、「アミノ酸」が入っているものも可能であれば避けたいものです。パックに入っているものではなく、むき出しのまま売られているものの方が、余分な添加物が入ってなく安全でしょう。

日本人には長い間かかって培われた日本食の文化があります。戦後、欧米が全て正しいような風潮に押されて食文化も急激に欧米化してきました。その結果、日本人の体質が変わり、癌やアレルギー疾患などの、以前は非常に少なかった病気が蔓延しています。今こそ日本食を見直す時期でしょう。食は生命の根源です。その時、常備食をうまく利用して、手抜きではなく、賢い食卓作りを目指しましょう。これは主婦だけでなく、独身や単身赴任の男性も手軽に実行できる事です。大事なのは今日から始める事です。

| | コメント (1) | トラックバック (2)

2006年2月14日 (火)

院長日記10

先週の土日の連休を利用して、韓国の釜山に行ってきました。私も熊本市歯科医師会の役員をしており、その3年の任期がこの3月で終わるため、その慰労を兼ねての旅行でした。

釜山はご存知の通り、韓国の南端にあるソウルに続く第二の都市で、人工は4百万だそうです。九州は飛行機の他に船で行く事ができます。特に今回使用した高速船を使うと、博多港から釜山港まで2時間55分で行く事ができます。飛行機と違って手荷物検査などもそこまで厳しくなく、割と気軽に行けるという感触でした。

私は前の日から博多に泊って(仕事が終わってから向かいましたので、ホテルに着いたのは夜の11時前でしたが)名物の「もつ鍋」と焼酎で前夜祭で盛り上がりました。

当日は、9時出航の「コビー」という船で向かいました。実は、数日前に同じ船がクジラにぶつかって、航行不能になるという事故がありましたので、内心ひやひやでした。対馬の近くにさしかかった時、船が衝撃とともに急停止したので、「ゲッ!本当にクジラに当たった。しゃれにならん」と思ったのですが、さいわい当たる寸前で停止したようで、船内アナウンスで説明があった後、無事出発しました。時速80kmくらいで航行するので、クジラもよけきれない事があるようです。そのため5分ほど遅れましたが、なんとか釜山港に着きました。

この船は水中翼船なので、航行中は船体が海面から浮き上がっているため、ほとんど揺れないのですが、それでも船に弱い方は気分が悪くなるようでした。私は日頃魚釣りでもっと激しい波と格闘しておりますので、何ともありませんでした。ビデオで「世界の中心で愛を叫ぶ」がずっと流れていて、私はじっくり見たのが初めてだったのですが、何度も涙ウルウルになってしまい、プサンについたときは、恥ずかしながら目が腫れていました。こう見えても(見えませんが、けっこうごつい体格です)実は涙もろい方です。

簡単な入国手続きの後、晴れて釜山の地に降り立ちました。現地で使うため、円をウォンに変えなければいけません。6年程前になりますが、医院の慰安旅行で行った事があるのですが、そのときは100ウオンが10円でしたが、今回は8円で、円が少々弱くなっていました。港に銀行があり、そこで両替できるのですが、怪しげなおじさんやおばさんが寄って来て、レートのよい両替を持ちかけてきます。実際、確かに銀行よりも多少レートが良く、別にぼられる訳ではありませんので、いっしょに行った先生方も何名かは建物の影で両替されていました。

釜山はPUSANでしたが、今はBUSANに統一されたそうで、今度から「ブサン」と呼ぶのが正式です。以前来た時は、町全体が雑多な感じで、走っている車も結構ぼこぼこのものが多く、活気はあるものの日本からするとまだまだ(韓国出身の方がいらっしゃいましたらすいません。私のただの感想です)という感じでしたが、今回は道路や町も整備され、高層ビルも立ち並び、走っている車も新しいものばかりで、正直ビックリしました。

聞くところによると昨年、なんとか会議(時事に疎くてすいません)が行なわれたそうで、小泉首相、ブッシュ大統領をはじめ、各国の首脳が一堂に会したそうで、国際会議場も作られていました。日本でも、国体や大きなイベントが開催されると道路や設備が整備されますが、似たようなものでしょう。

昼食はおきまりの「ビビンバ」でした。鉄の箸はどうも重くてすべりやすく、使いにくかったです。でも味はグッド。美味しく完食しました。旅行の醍醐味は朝からお酒が飲める事で(アル中みたいですね)、行きの船から既にビールを飲んでいました。今回覚えた唯一の韓国語は「メッチュ ジュセヨ」(ビール下さい)でした。韓国はお皿を持って食べるのは、行儀が悪いそうです。隣国なのに、文化の違いを感じました。食事には必ずキムチがつきます。食べると、またがばっと追加してくれるので、さしずめキムチのわんこそば状態で、ビールがどんどん進んでしまいます。

韓国は当然ですが看板をはじめ、全てがハングル文字ですので、全く想像がつきません。中国や台湾などは、漢字ですので何とか想像がつきますが、ハングルはお手上げ状態です。前回行った時も思いましたが、運転がものすごく荒いです。割り込みガンガン、クラクション鳴らしまくりで、日本でも荒いといわれるいくつかの都市も及ばないでしょう。左ハンドル、右側通行ですので、乗っていても何となく違和感を感じます。

話はまだまだ序盤なのですが、長くなりますので続きは次回また書きます。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006年2月 7日 (火)

医療保険の功と罪

私が一週間の中で唯一欠かさず見る番組が、月曜の夜9時から始まる「たけしのTVタックル」です。国会議員、タレント、評論家、大学教授など多彩なゲストが今話題になっているテーマに対して、白熱した議論を戦わせます。それぞれの立場や年代によって、様々な考え方や価値観があるので勉強になります。

昨日のテーマが我々医療従事者に大きく関係する「国民医療保険」についてでした。郵政が一段落した小泉政権の次のターゲットは「医療」だそうです。それも、予想どうり国民にまたもや痛みを伴う改革だそうです。

日本には、「保険制度」という他の国にはなかなか無い素晴らしい制度があります。保険証があれば、日本全国どこへ行っても治療内容が同じならば、同じ料金で(しかも低額で)医療を受ける事ができます。日本人はこれを当たり前の権利だと捉えている方がほとんどだと思いますが、外国には決して無い制度です。

例えば、アメリカにはこのような国が運営する医療保険はありませんので、民間保険会社が医療保険を担っています。民間ですので、入るかどうかは自由です。また、掛け金も我々が生命保険や火災保険に入るときと同じ様に、その保障の内容に対して掛け金が変わってきます。当然、多く払っている方は多くの保障が約束され、高度な先進医療まで受けられる一方、掛け金が少ない方は、治療内容にも制限が入り、例えば歯科で言うと、「貴方の保険では今回はここまでしか治療ができませんので、またつかえる時期になったら続きをしましょう」という話になります。そのあたりの線引きは非常にシビアで、医の倫理がどうのこうのと粘っても、決して余分な(?)治療はしてもらえません。さらに、低所得者の方々は、はなっから保険にも入れません。

また、民間保険会社の場合は利益を目的としますので、当然会社としても、治療費が安くつく所、治療期間の短いところが得になります。そのため、医療機関との提携というものが出てきますので、その保険会社が指定する医療機関でしか診療が受けられないということになり、選択の幅がグッと狭まります。つまり、評判のよい医者が隣にいても、保険会社指定でなければ受診するためには自腹を割いて高額な治療費を支払わなければいけないと言う事です。

また、我々医療側とすると、保険会社に指定されるための医療費のダンピング競争が始まり、自分で自分の首をしめていきます。そのしわ寄せが、全てとは言いませんが数をこなすための治療時間の短縮、機材やクスリ、人件費の節約などにかかってきて、結果的には患者様の不利益につながる可能性が高いと思われます。

その点、日本は医療費を税金でまかなっていますので、個人に差をつけることなく医療が受けられます。これは本当に素晴らしい事だと思います。ただ、反面、いつでも割と安価に治療が受けられるため、ややもすると悪くなってから、あるいは自覚症状が出てから病院にかかればいいという風潮が無きにしも非ずで、特に我々歯科に関してはその傾向が高いように感じられます。そのため、重篤化して治療が難しくなり、また、期間も長くかかるため、結果的に医療費がかさむ事になります。それでも、一般の方は3割負担ですので、例えば1万円の治療を受けても支払いは3千円ということになり、老人は1割負担ですので千円で済む事になります。

少し前までは、老人や社会保険の本人は医療費が、ただという時代がありました。つまり、薬局でクスリを買うといくらかのお金がかかるのに、病院に行けば全て無料でクスリまでもらえるという状態でしたので、なにかあれば病院にかかるという、病院依存型の体質ができてしまった感があります。そのため、「予防」という概念が日本の場合はまだまだ希薄な感じがします。

私が何度もくり返して言っていますが、「健康は他人から与えられるものではなく、自ら努力して勝ち取るものである」ということを、皆さんもう一度よく考えてみて下さい。高血圧、糖尿病、歯周病などなど、昔成人病と呼ばれていたものは、現在は生活習慣病という呼び名に変わりました。つまり、生活習慣を見直さないと、いくらクスリを飲み続けても根本的な解決にはつながらないということです。

そこで、先ず考えなければいけないのが「食」の問題です。いま、私が一番納得して実践している幕内さんの食の話を時々とりあげています。食は命に直結する所です。食の乱れが体の不調や病気に直結する事は私があらためて説明しなくても納得できる事でしょう。

この4月に医療保険と介護保険の同時改正が行なわれます。その内容がぼちぼち聞こえてきていますが、医療費負担は財政難から当然上がってきます。また、今回「予防」というものが、いよぴよ本格的に意識され、項目に取り上げられるようです。少し遅い感もありますが、ともかく病気に対して払うお金を縮小して、予防で病気を防いだ事に対する報酬を上げていく傾向でしょう。医療費削減という観点からすると、当然の流れでしょう。

老人を対象にした調査では、歯がしっかりしている方の全ての医療費(歯科だけではありません)は、歯が悪い方の3分の1で済んでいるというしっかりしたデーターが出ています。食事を美味しく食べらるのも、歯があっての話です。我々歯科界が、国民の健康にさらに寄与できるのが21世紀ではないかと思っております。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月 3日 (金)

健康になる食事パートⅢ(OL病とダイエット)

今回も幕内さんの本から一部ご紹介いたします。

いま、若い女性から中高年に至るまでの女性に多いのは、便秘、生理不順、冷え性、貧血、肌荒れの5つです。これを「女性の5点セット」とか「5大OL病}と呼んでいます。特徴的なのは、ほとんどの方が、このうちの2つか3つを同時に抱えている事です。

これらの方々には食に関する一つの共通項があります。全員が全員とは言いませんが、多くの女性がそれを経験している。なにか?それは「間違ったダイエット」です。

世の中の女性のほとんどが体重や体型を気にしていますが、特に生理不順に悩んでいるような人の場合、それは大人になってから始まった訳ではなく、思春期に入る直前、早い人なら小学校の高学年くらいから始まっています。

初潮を迎える頃、女性の体がふっくらと丸みを帯び始めるのは当然の事で、脂肪がつかなければ女性ホルモンが正常に分泌されず、妊娠、出産など大人の女性になるための準備が整いません。ところが女の子たちの中には、この変化に戸惑い、「太った」と思い込んでダイエットに走ってしまいます。

これに関しては、ファッション誌は罪深い存在です。これらの雑誌はこれが理想とばかりに針金のように細いモデルばかり出してきますので、それを見た若い女性はなおさら「やせたい」という気持ちを強めます。ああいうモデルの中には病気の人もおおく、そうでない人は細くても病気にならないような体質(モデルになれるだけの才能ともいえるでしょう)を持っているのに、誰でも努力すればそうなれると思ってしまう。いえ、思わせられる。そこから無意味なダイエットが始まります。

特に食事の量を極端に減らしてしまうのが10代女性のダイエットの特徴です。その時真っ先に減らされるのが、「ごはん」です。主食を取らないのですから、一番しっかり食べて体を作る時期に、まともな食事をしないのですから、まともな体ができるはずがありません。年をとって30代、40代になったときに、これが尾を引かないわけがありません。

意志が強いタイプはその生活を貫いた結果、場合によっては拒食症や過食症などの摂食障害を起こすケースがよくあります。逆に、意志の弱いタイプはお腹がすいて、まんじゅうやケーキに走ってしまいます。これは生き物としての本能で、ごはんを食べていなければ他のエネルギー源を求めてしまいます。それでもお菓子を食べるのはまだマシな方で、なかには「お菓子は太る」というので、清涼飲料水でカロリーを補給してしまう人もいます。ビジネスマンの缶コーヒーがそうでしょう。ご飯を減らす事により、かえって糖分だらけになってしまいます。

一方、中高年のダイエットのい特徴は、食品至上主義で、どこかで聞きかじった一品を、「これさえ食べていればやせられる」と追い掛け回します。それに、この世代ゆえの健康志向が加わり、拍車がかかります。これは極めて危険です。「バナナでやせた!」という記事を見ればバナナを食べ、「赤ワインがいい!」とテレビで言われれば赤ワインをひたすら飲む。それで、健康にやせられるかというと、決してそんなことはありません。「みのもんた症候群」とでも名づけましょうか。

以上述べたように、特に女性はダイエットの名のもとに、若いときから年を重ねるまで、絶えず自ら危機に飛び込んでいるような状態です。

5大OL病は、体からのいわば「黄色信号」のようなものです。たしかに本人は苦しいでしょうが、ただちに生死に関わるような病気ではありません。しかし黄色信号のまま放っておけば、やがて取り返しのつかないがんのような「赤信号」になることもあります。

おかしなダイエット信仰を捨てて、黄色信号のうちに手をうって、ごはん中心の食生活に改めましょう。そろそろ体に無理をかけて、痛めつけることをやめませんか。

主食であるごはんの大切さは、また次の機会に書きます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年1月 | トップページ | 2006年3月 »