この国の行く末は・・・
ここの所、連日青少年が引き起こす凶悪犯罪がテレビや新聞などをにぎわしています。犯罪の内容がアメリカ的になったとも言えるでしょう。アメリカのように銃の携帯が許可されれば、犯罪の面で言えば、まさに第二のアメリカが出来上がるでしょう。
最近の傾向として、犯罪を犯した人の周りの評判を聞くと「普通の人」「いい人」というパターンが圧倒的に多いということです。ここに、怖さが隠れています。極端に言えば目の前にいる普通の人が、ある日突然凶悪な犯罪を犯す可能性があり、それを予測する事が非常に難しいからです。
ニュースなどの解説を見ていると、教育の問題や家庭の問題、社会の問題などが盛んに論じられています。確かに環境が人間に与える影響は非常に大きいものがあると思います。しかし、私の目から見ると、そこに大切な問題が抜け落ちているように感じられます。それは「体」の問題です。
私は歯科医師ですので、どうしても口の中に目が行きます。私が今、テーマとして扱っている「かみ合わせと全身健康の関連」という点に、ぜひとも注目していただきたいと思います。
子供さんがおられる方は、ぜひ柱などの地面に垂直になる線の前に立たせてみて下さい。(今流行の?欠陥住宅で床が傾いている方は、ひもに何でもいいですのでおもり代わりにつるしてその前に立ってみて下さい。この方がより正確です)もちろんご自分も姿が写る大き目の鏡の前に立って自分を客観的に眺めてみて下さい。
一番わかりやすいのは、頭の傾き、肩のラインの傾き、両手の指先の位置などです。驚くほど体が歪んでいないでしょうか?私が見る限り、今の子供たちは言い方は悪いですがぐにゃぐにゃの状態です。これが、かみ合わせの不調和から来る事が多いということを、どのくらいの方が認識されているでしょうか?お医者さんもよく認識されていないというのが現実です。
このような姿勢だと当然背骨などが曲がってくるのは当たり前です。これに病名をつけると「脊柱側湾症」ということになるのでしょう。一時期、これを治すために矯正器具のようなものを装着する治療があったそうです。さしずめ、マンガの巨人の星に出てくる「大リーグボール養成ギブス」の様なもので、強制的にゆがみをとるというものです。これは想像するに、かなりの苦痛を患者様に与えるものでしょう。
背骨は1本の硬い骨ではなく、小さい骨が連なってできていますので、割と簡単に矯正できるかもしれません。しかし、装具をはずせばたぶん短い期間に元の状態に戻ると思います。それは、背骨が歪んだのは、そうしないと今の状況に適応できないから必然的にそうならざるを得なかった結果であり、決して背骨だけの問題ではないからです。
以前も書きましたが、下顎は体のバランスを保つのに非常に大切な役割をしている事は意外と知られていません。耳の三半規管は有名ですので、目まいがすると耳鼻科に行かれる方が大半だと思いますが、実は下顎もその様な働きを持っています。
試しに立って目を閉じて、体を十分リラックスさせた上で下顎を前とか横とかに大きく動かしてみて下さい。姿勢が微妙に変化する事を体感されるでしょう。下顎のズレ、つまり体に対するかみ合わせのズレ(この場合、上顎と下顎のズレではありません。見かけ上、歯並びが良さそうに見えても体に対しては大きくずれている方はたくさんいらっしゃいます)が姿勢のずれにつながる事がご理解いただけたでしょうか。
顎がずれると姿勢が変わります。そのままだと体が倒れてしまいますので、まず頭を傾けてバランスをとります。その傾きを今度は肩をずらして補正します。その肩のズレを腰でまた補正します。そのズレをひざ、それを足の裏と体全体で補正しますので、体が前述したようにぐにゃぐにゃになってしまいます。
首の痛み、肩こり、腰痛、ひざの痛み、足の痛みなどがかみ合わせの不調和からくる事が解られるでしょう。また、頭痛も顎の筋肉が頭につながっていますので、その筋痛を頭痛として感じる事がよくあります。この様な症状で歯科を訪れる方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、実はかなりの部分を占めているのではないかと感じます。検査しても特に悪くないのにすっきりしないという方は、かみ合わせのチェックをお勧めします。
話がずれました。今の子ども達の口の中を診ると、軟食による咬む力のトレーニング不足により、顎の成長に際して適切な刺激が加わらないため成長不足になります。すると歯がうまく並びきれずに歯並びが、がたがたになり、結果かみ合わせのズレや、下顎のズレを引き起こします。それが姿勢のゆがみにつながっていきます。その他に生活習慣も大きく作用するのですが、ここでは省きます。
体のゆがみの中で、特に注意しなければいけないのが首のゆがみです。首の骨の中には、脳に栄養を送る大切な血管が通っています。首が歪むとその血管を圧迫する事になり、脳に行く血流が減少し、脳が慢性的な虚血状態に陥ります。脳は全てをコントロールする中枢ですので、その影響が体のあちこちに波及していきます。
例えば免疫系に影響すると、免疫力の低下を及ぼし、アレルギー疾患の増加につながります。今の子ども達の花粉症やアレルギー疾患の数は、一昔前に比べると驚異的な増加をしています。もちろん大人も似たような傾向です。
精神的な部分に影響すると、うつ、引きこもり、ニート、パニック症候群など、昔はあまりお目にかかることのなかった症状を引き起こします。小学生から既にうつ患者がいるこの現実を皆様はどう感じられるでしょうか?私はもうすぐ42になりますが、私が小学生の頃を思い起こしてみると、毎日友人とクラブ活動をしたり、遊びまわったりして、うつ状態に陥るなど考えられませんでした。まわりを見ても、おとなしい子は確かにいましたが、うつとは少々違ったと思います。
つまり、結論を申しますと、突然きれたりする子供は、環境の影響もありますが、実は体の方がそうならざるを得ない所まで追い込まれていたのではないかと私は思います。脳が虚血状態で、いつもすっきりせず何かもやもや、イライラしていて、何かのはずみでそれが爆発するのでしょう。今の子ども達のかみ合わせや姿勢を見ていると、その予備軍が無限にいるような気がしてぞっとしてしまいます。
少年犯罪を犯した人のかみ合わせ、姿勢の状態などを綿密に調査したら何らかの結論が得られるような気がしてなりません。もちろんそれは今のところ、不可能でしょう。まさかかみ合わせと姿勢、犯罪心理が関係しているなどと認識している方はほとんどいないでしょうから。
体の問題で、犯罪につながってしまったとすると、多少ですが同情の余地があるのかもしれません。また、その予備軍を適切に治療する事によって、犯罪の発生を未然に防ぐ事もできるのかもしれません。
もう一つ、犯罪と食の関係も書きたかったのですが、また次の機会にゆずります。
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