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2006年5月31日 (水)

インプラントは予防治療パートⅡ

前回、話がインプラントからそれてしまいましたが、本題を話す前に是非必要な知識でした。

歯科医師の私が言うのも何ですが、歯は極力削らないに越した事はありません。「ではお前は毎日何をやっているんだ」と言われそうですが、もちろん必要があって削っている訳で、私自身は極力削らないように、また、削る時期をなるべく先延ばしにするように心がけています。

不幸にして歯をなくした時、皆さんはその部分をどうされるでしょうか?何らかの方法で欠損を補おうと考えられるでしょう。たまに放置される方もいらっしゃいます。他の歯がある程度そろっていれば、人間は適応力がありますので、食べることに関しては、さほど苦労はしません。だからといって、放置していると、気付かないうちに大変な事が起って来ます。

抜いたところを放置していると、その両隣の歯がゆるんで、抜いた部分に倒れてきます。すると、歯のすき間がゆるくなり、物が詰まりやすくなってそこからむし歯が発生します。また、歯が倒れてくると、反対側の歯と斜めに噛むようになります。歯は真上からの力には強いのですが、斜めとか横とかの力が加わると、ゆるんできます。

つまり、噛むたびに斜めの力がかかるようになり、その歯を支えている骨が破壊され、ますます倒れ方が強くなり、最後は歯がだめになるという悪循環に入っていきます。

また、歯は噛んでいるのでその場所にじっとしていますが、歯が抜けてかみ合う相手がいなくなると、どんどん伸びてきます。その結果、そこのすき間がゆるくなり、むし歯の原因になったり、かみ合わせがおかしくなって、顎や関節が痛くなったり、頭痛、首や肩の凝り、腰の痛み、精神状態にまで影響してきます。つまり、放置する事は最悪です。

では、欠損部を何らかの方法で回復するためにはどのような方法があるのでしょうか?保険治療に限定されると、「ブリッジ」と「入れ歯」の二通りの選択しかできません。

ブリッジは1,2本の少数欠損に適応されます。ブリッジつまり日本語訳すると「橋」ということです。読んで字のごとく、欠損部の両端の歯を削って、橋をかけるように連結してセメントで着けてしまう物です。欠損の数が多くなると、できない場合が出てきます。

入れ歯は残っている歯にバネのようなもので(クラスプといいます)引っ掛けて停めておくもので、1本欠損から総入れ歯まで、どのような状態でも基本的に作る事ができます。取り外し式になりますので、毎日はずして清掃作業が必要となります。また、歯ぐきに乗っている状態ですので、咬む力は弱くなります。俗説ですが、どんな名人が作っても、自分の歯の3分の1噛めれば良い方だと言われています。

これらの治療をすれば欠損部は補われますので、放置するよりはもちろん良いと思います。しかし、それぞれ問題を含んでいます。

ある統計を見ると、ブリッジの平均対応年数は8年前後となっています。つまり、8年後には何らかのトラブルを抱えてやりかえという事態が生じます。何故悪くなるかは、また機会を見て書きますが、ともかくやりかえるたびに歯は傷んで行きますので、そのうち歯がもたなくなって抜歯という事になり、欠損が拡大していきます。

入れ歯の場合は対応年数はもっと短くなります。バネをかけますので、その歯の負担が大きくなり、また、汚れも溜まりやすく、むし歯や歯周病に罹患しやすくなります。よく、「バネをかけた歯から悪くなる」と言われますが、ある程度入れ歯の宿命的な所もあります。また、取り外しの面倒さや、違和感からせっかく作ったにもかかわらず、使っていただけない場合もあります。また、どうしても自分の歯の方がかみやすいので、そこに力が集中して新たな問題を生じる事も多々あります。

つまり、ブリッジや入れ歯は、欠損を放置するよりはもちろん有効ですが、お口の中の崩壊を防ぐ事は残念ながらできず、そのスピードを弱める効果に留まるような気がします。

歯がなくなっていく事を「老化」と捉える方もいらっしゃいますが、私はれっきとした病気であると認識しています。

そこで、インプラントという選択肢が出てきます。インプラントについては詳しく述べませんが、歯が欠損した所にインプラント治療を行うことによって、そこに自分の歯が新しく生えてきたような状態になります。インプラントが「第3の歯」と呼ばれる由縁です。そのため、ブリッジや入れ歯を使う必要がなく、余分な力が他の歯にかかりませんし、他の歯を削る必要がありませんので、お口の中が安定した状態を保つ事ができます。

骨にしっかり着いたインプラントは、その咬む力に耐える能力は自分の歯を超えるとも言われています。

私自身が不幸にして歯を失ったら、迷うことなくインプラント治療を選択します。よく、「もっと悪くなってから考える」という方がいらっしゃいますが、その時は、他の残っている歯も今以上にダメージを受けており、かみ合わせのズレなども生じ、必要なインプラントの数も増えて手術も大変になります。また、歯を抜いた所の骨は萎縮していきますので、いざインプラントをしようと決心しても、必要な骨が無ければできないという事態も生じます。

以上のような観点から、インプラントはお口の中の崩壊を防ぐ予防処置といえます。保険は効きませんが、長い目で見て判断してみて下さい。

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2006年5月26日 (金)

インプラントは予防治療パートⅠ

インプラントと言う言葉がかなり一般化してきました。昔はごく少数の歯科医院で行なわれていた特殊な治療でしたが、材料や器具、術式の進歩と数々の研究の結果、私も含めまして今は一般の歯科医院でも行なうところが非常に増えてきました。これは、治療の選択肢が広がる事になりますので、患者様にとっては福音だと思います。

中には、その言葉は知っていてもまわりから否定的な情報を数多く聞いた結果、治療に対して非常に否定的なイメージをもたれている方も多々いらっしゃいます。確かに少し前まではインプラントの形態や材料など様々なものが世に出て、知らない間に消えてしまったものもたくさんあります。その裏には多数の失敗があったのでしょう。

そのような世間の淘汰を受けて、現在もたくさんの種類のインプラントが存在しますが、基本的な所はある程度統一されて来ましたので、現在販売されているものは、どれを使用してもきちんと基本的な注意事項を守れば予後良好です。否定的なイメージをお持ちの方は、かかりつけの先生にもう一度じっくりお話を聞かれたら良いと思います。(ご自分がインプラント治療をしなくて、否定的な先生もまだ結構いらっしゃいますが・・・)

さて、話を本題に戻します。インプラント治療といいますと、手術が必要であったり、歯を作ったりする操作を伴いますので、外科や補綴(ほてつ)治療であるといったイメージが強いと思います。実際、大学病院などでもインプラント治療を手がけているのは、ほとんどが口腔外科と補綴科ですので、そう捉えるのが妥当なのでしょう。

しかし、私はそれに加えてインプラント治療を「予防処置」と言う面でも捉えています。

一昔前までは、歯科治療は「早期発見、早期治療」と盛んに言われていました。確かに早期に治療すれば、治療そのものが簡単、短時間、無痛あるいはそれに近い状態で行なえますので、治療する側とされる側どちらにとってもメリットが大きいと思われていました。結果、まだ10代前半だと言うのに、奥歯の溝に全て詰め物がしてあるような子供を見かけます。

そのような努力の結果、むし歯は減ったかというと、統計を取ってみると残念ながら減りませんでした。それはなぜなのでしょうか。

数年前から歯科の世界では、MI(ミニマルインターベーション)と言う事が盛んに言われ始めました。これは何かと言いますと、簡単にいえば「必要最小限の治療で済ます」と言う事です。もちろん、今までも余分な治療を行ってきた訳ではありませんので、別に新しい概念ではないと思われがちですが、実は大きな違いがあります。

早期発見、早期治療の時代には、むし歯は自然治癒しないのでなるべく早期に治療すると言う考えのもとに治療が行なわれていましたが、今は「早期のむし歯は治る」と言う考えに変わり、虫歯の進行具合をレーザーで計測できる機械も発明されましたので、客観的に目の前のむし歯が治療するべきか、それともしばらく見守るべきかを判断できるようになりました。歯の溝に色が着いていて、一見むし歯のように見えても計ってみると全く問題ない場合も多々あります。少し前までは、何のためらいも無く削って詰め物をされていた歯ですが、今は治療せずに様子を見ましょうと言う場合が多くなりました。

初期のむし歯が治る事を「再石灰化」と言います。最近はテレビのCMなどでもよく使われていますので、耳にされた事もあると思います。ちなみに、その反対でむし歯が進行して行く事を「脱灰」と呼びます。

人間の歯に表面は、実は常にこの「脱灰」と「再石灰化」をくり返しています。脱灰は、口の中に存在するミュータンス菌が砂糖などを取り込んで出す「酸」によって行なわれます。「再石灰化」は唾液の中に含まれるリンやカルシウムイオンによって行なわれます。このバランス関係によってむし歯ができるかどうか、また、初期のむし歯が進行するか治って行くかが決まります。

アメなど常に口の中に甘いものが存在すると、脱灰がどんどん進んで再石灰化する時間がなくなるので、当然むし歯は急速に進行します。幼稚園や小学校低学年の子供でむし歯がたくさんある子供本人や親に聞いてみると、たいがい「アメが大好き」と答えられます。お口の中から生活習慣が読めます。

大人の場合は、糖分の入った缶コーヒ、ジュース、スポーツ飲料などの常用が疑われます。それと、最近はみなさん様々なクスリを常用されていますが、その副作用として唾液の出が悪くなったり、その質が粘っこくなったりして、その結果唾液による再石灰化作用が落ちるためにいっぺんにむし歯ができる事があります。当医院で定期健診をされていて、半年前まではどうも無かったのにむし歯が急発した方に聞いてみると、この半年間に何らかのクスリを常用しだした場合が多いです。

特に、最近問題に感じるのは、安定剤、睡眠剤、抗うつ剤などの精神に作用する薬が若い方から年配の方まで非常に多く処方されている事です。これらの薬は唾液の分泌を抑制する作用が特に強いようです。もちろん急性期にはクスリの処方も大切でしょうが、漫然と飲み続ける事は避けた方がよい気がします。

以前も書きましたが、例えば初期のむし歯は「レジン」という合成樹脂の詰め物をします。これの平均耐用年数が5年前後という統計が出ています。ちなみに、その他の詰め物や被せ物など、どれをとっても平均耐用年数は10年を越えるものはありません。つまり、レジンの詰め物は5年前後で何らかの理由で再治療が必要になってくるという事です。

再治療を行う時、前の詰め物をはずしてやりかえるだけならまだよいのですが、大抵はまたむし歯ができたり、欠けたりしてやりかえになりますので、さらに歯を削って再治療となります。歯は脳と並んで体の中で再生がきかない組織です。再治療をくり返すたびに、よくて現状維持、ほとんどがさらに歯を削って治療が行われますので、これをくり返すうちに歯はなくなってしまいます。

とすれば、最初に歯科医師が治療介入する時期をなるべく遅らせる事で、その歯の寿命を延ばすことができるということです。ですから、初期のむし歯は削って詰めるのではなく、再石灰化を促す事により自然治癒させる方がよいという事です。

ただ、ここで誤解を招かないようにいくつか補足しておきます。

実質欠損、つまり、もう穴があいてしまったようなむし歯は、いくら再石灰化を促してもそれが自然治癒する事はありません。必ず歯科医師による治療が必要です。穴が空いていなくても、機械で測って明らかに治療に必要な数値が出れば、やはり治療しなければいけません。歯は一番外側がエナメル質といって一番固く、その中は象牙質といって少し軟くなりますので、むし歯は外の穴が小さくても中で大きく広がります。

また、初期のむし歯でも、それが現在進行中なのか、治っている途中なのかは時間の経過を追って見ていかなければわかりません。進行中のむし歯をいくら初期だからといって、長くほおっておくと、どんどん進行して手遅れになる場合もあります。ですから、様子を見る場合も当医院では必ず3ヵ月後の健診を指示します。そこでもう一度検査して、治って来ているようでしたら引き続きブラッシングやフッ素の使用を励行し、様子を見ます。逆に、進行しているようでしたら積極的に治療します。3ヶ月だと仮に多少むし歯が進行したとしても簡単な処置で終わります。仮に前回治療したとしてもほとんど変わらない治療になります。

むし歯は生活習慣病ですから、初期のむし歯ができたということはそれなりの生活習慣の見直しが必要だということです。今までと同じでは再石灰化が追いつきません。甘いものを控えたり、歯磨きの正しいやり方を覚えたり、フッ素を使用する習慣をつけたりすることが大前提です。当医院でも3ヵ月後の検診応じてもらえず、1年後くらいには大きな穴になってしまい、これなら初期の段階で治療しておけばよかったと後悔することもあります。患者様の生活習慣(ブラッシングの状態、食生活、特に甘いものの摂取など)をしっかり問診して把握し、総合的に判断する事が必要です。

このように、初期のむし歯を治療せず、観察していく事は諸刃の刃です。うまく管理できれば進行を止めて再石灰化を促す事ができますが、管理できないと余計に悪くなる可能性もあります。そこの理解を十分にしていただくことが大切です。

話がインプラントから少々ずれてしまいました。しかし、インプラントが予防であるという考えのベースを理解していただくために必要な説明でした。本題はまた次回に書きます。

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2006年5月19日 (金)

入れば安定剤について

このブログを読んでいただいている方々は、基本的にパソコンやネットを使われる方々ですので、入れ歯とはまだ無縁の方が多いと思います。しかし、あえて少数派の方々のために書いてみたいと思います。

テレビを見ていると、宣伝で何種類もの入れば安定剤が紹介されています。入れ歯に安定剤を敷くと、りんごの丸かじりができるような宣伝は、実際に入れ歯をご使用の方には衝撃的に映るでしょう。こればかりは、歯を失って、入れてみた人にしかその苦労はわかりません。

実際、どんなに名人が作った入れ歯でも、良くて自分の歯の3分の1くらい噛めれば良いと言われています。まして、私の様なやぶ医者が作ると、もっと噛みにくいでしょう。それが、安定剤を敷くだけで、今まで食べれなかったものが食べれるようになれば素晴らしい事でしょう。

入れ歯安定剤の市場はかなり大きなものがあります。それだけ売れているということです。歯科医院では普通は販売しません。それは、我々からすると、きちんと入れ歯を作れば安定剤は必要ないという考えだからです。しかし、私は患者様が使われる事を否定はしません。

安定剤を一番必要とするのは、総入れ歯、あるいはそれに近い部分入れ歯でしょう。部部入れ歯は残っている歯にバネをかけますので、まだ何とか安定するのですが、総入れ歯になると引っ掛ける歯がなくなりますので、歯ぐきの上に乗っている状態です。当然不安定になりますので、噛みづらい、あるいは入れ歯が落ちて来るといった状態になります。

その時に安定剤を使用すると、その粘着性や弾力性で入ればの不都合な部分を補ってくれます。ゆるくなった入れ歯は、歯科医院に来ていただければ作り変えなくても、補修する事で適合を回復する事ができるのですが、金銭的な理由や通院回数の事、あるいは歯科に行くのが面倒くさいと言う理由で安定剤を使い続けている方も多くいらっしゃるようです。

安定剤を使っていらっしゃる方の入れ歯を見ると、大概あちこちが欠けています。それはなぜでしょう?

お口の中は非常に敏感な部分です。歯のかみ合わせは、例えば髪の毛1本はさまってもその太さを感じるくらい繊細なものです。入れ歯も当然それだけの精度で調整されています。では、そこにかみ合わせを狂わすことなく入れば全体に均一に安定剤を敷く事が出切れでしょうか?それは不可能です。必ずあたりが強いところと弱いところが出てしまいます。入れ歯は人工的なものですので、自分の歯に比べると、やはりその感度は落ちます。加えて安定剤の弾力性で狂いがぼやかされて、使っている人にはさほど支障が出ません。結果、あたりの強いところは欠けたり飛んだりしてしまいます。

しかも、安定剤は永久的なものではありませんので、定期的にやりかえが必要です。しなおすたびに、かみ合わせは微妙にずれますので、その都度当たりの強い部分がまた欠けていきますので、結局全体がボロボロになっていきます。安定剤を使われている方は、ぜひ自分の入れ歯をじっくり観察してみて下さい。結構欠けている部分があるのではないでしょうか。

では、我々歯科医師が完璧な入れ歯を作ればいいではないかと言う批判が当然起こると思います。今は、インプラントや磁石などを利用して、非常に安定が良くて咬む力も大きい入れ歯を作る事ができます。しかし、保険診療の枠内でと言われると、使用できる材料も決まっていますので、患者様の要望に十分答えられない場合も出てきます。また、何か全身疾患があったり金銭の問題からやりたくても保険の治療しかできないという方もいらっしゃいます。そのような場合、安定剤の使用も止むを得ないかと思います。

安定剤には色々な種類があります。テレビの宣伝によく出てくる弾力性のあるものは、あまりおすすめしません。先程も書きましたように、粘りがある分厚みが出るので均一に敷く事ができず、入れ歯を傷めやすくなります。ペースト状のものや、粉状のものがありますので、そちらの方が薄く使用できる分、入れ歯を傷める割合が減るでしょう。しかし、入れ歯にべったり付いてしまいますので、交換がしにくいという欠点があります。

私も歯科医師ですので、いつも安定剤に頼らなくてもよい入れ歯を作るように心がけています。しかし、入れ歯は銀歯などと違って患者様が自由に取り外しできます。どうしても人工物ですので、慣れるまでにはそれなりの時間と努力が必要になります。例えば義足を作ってその日からすいすい歩ける方はいないでしょう。入れ歯もそれと同じです。やはり、リハビリの期間が必要です。しかし、人によっては努力する前に入れ歯を拒否してしまう方もいらっしゃいます。そうなると、我々はどうする事もできません。

野生の動物は、歯が無くなったらそれは死を意味します。人間は、入れ歯という人工物で不足した機能を何とか取り戻す事ができました。しかし、前述したように、色々な事情で入れ歯が使えない時に、その一部の方でも安定剤によって機能回復ができれば、それは素晴らしい事でしょう。立場上、安定剤を推奨するわけではありませんが、うまく利用する事は賢い選択でしょう。繰り返しますが、私は安定剤なしでもいいように、日々診療で努力をしております。

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2006年5月18日 (木)

食の安全について

我々が日頃口に入れている食品の中には、様々な薬品や化学物資が入っていることは皆様もうすうす感じられていると思います。前回、食品添加物の表示のからくりを書きました。包装の裏に表示してあるのが決して全てではありませんので、だまされない様にしてください。

先日、あるブログで見て驚愕した数字がありました。日本人が年間に体内に入る農薬の量はどれくらいだと思われますか?なんと、4kgだそうです。400gではなく、4kgです。まさに、我々は薬漬けと言っても過言ではないでしょう。しかも、これらは普通のお店に並んでいる物から体に入るものですので、当然国の基準は満たしており、合法的なものです。

しかも、通常毒物は肝臓で処理されますが、農薬は処理する事ができず、皮脂に蓄積されます。排泄器官としての役割もある皮膚は、この有害物質を外に出そうと試みます。
農薬以外にも、合成着色剤や、漂白のために使用されるリン酸イオン、次亜塩素、ワックス、保存料などのように、体内で爆薬となるものが食べ物についています。こんなものが毎日少しづつ、体内に蓄積されているんです。

そして皮膚は悲鳴をあげ、肌荒れの原因となったり、アトピーをはじめとするアレルギーの原因にもなったりします。

皆さん、野菜などを料理される前には水洗いは必ずされると思います。しかし、農薬は結構頑固にこびりついていますので、普通の台所用洗剤や水洗いくらいでは、なかなか落とす事ができません。

農薬などを落とすには、ある特殊な水を野菜にかけるとよいです。具体的な商品名を書くと、宣伝になりますので、ここでは避けますが、かけて数分置いておくと、何やら黄色のドロドロした液体が流れ落ちます。農薬!?ワックス!?家庭菜園で作る野菜からは、黄色い液体は出ません。何か得体のわからない物が野菜についているのは間違いないです。スーパーで販売されている野菜のほとんどから、上記のような液体が剥離されます。

これから梅雨時にかけて野菜に農薬がたくさん使用されます。セロリ、パセリ、しそなどは、本当に信じられないくらいの農薬が噴霧されます。

農薬や雑菌を落とす秘密はマイナスイオン。特殊製法で作られた超電解マイナスイオン水だから、汚れ分子のプラスイオンをどんどん吸着してくれます。水道水の電位は600~700。これを飲み続けると体が酸化体質になると言われています。数値は低ければ低いほど酸化体質を防ぎます。
200以下ならば還元力をもちますが、この水の電位はなんとマイナス数値。野菜をバリバリ食べて、どんどん健康になりましょう!
もちろん、もとはお水なので安全・安心です。


この水なら99.99%以上の農薬を5~10秒で落とせます。その後は軽く水洗い。不思議なことに味も美味しくなります。
味に敏感な子どもの反応が多いようです。

この水の事は、私が師事しているある先生から教えていただきました。その先生は、50歳を越えていますが、非常お元気でこちらが圧倒されるようです。自らこの水の効果を体現されているようです。本人を目の前にすると、説得力があります。

今の日本で農薬や食品添加物を全く含んでいない食事をする事は非常に困難な事だと思います。無理しても長続きしませんので、現状で工夫していく事が大切です。

ポイントは、体に入る薬品や添加物を極力減らす事と、入ったものを効率的に排出する事です。

体に入る部分は、加工食品ならば必ず包装の裏に書いてある表示を見るクセをつけることです。以前も書きましたが、山ほどある添加物の中でも、その毒性や危険度には程度の差がありますので、食べるならば極力体に優しいと言われるものを食べるようにしましょう。また、野菜や果物類はそのような表示がありませんので、先に述べた還元水やその他にも農薬などを落とす力があるもので、極力洗って落として体内に入る量を減らしましょう。

また、体から排出する部分は、また次に機会に書きます。農家の方に聞くと、農薬を減らして虫食いなどができると、いくら安全をうたってもなかなか売れないそうです。我々消費者側にも大きな責任がありそうです。

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2006年5月12日 (金)

正しい食事についてパートⅡ

前回に引き続き、食について幕内さんの本から抜粋します。

Q1:ご飯を減らしても肥満気味                            小学4年生の息子は赤ちゃんの頃から肥満気味で、ご飯はお茶碗半分までとし、野菜は何でも食べられる子に育てました。それでも肥満傾向は変わりません。体質なので仕方ないと思うのですが、他にどんなことに気をつければいいでしょうか?

A:野菜と言うのは基本的に熱量が少ないので、いくら食べても、どこかで熱量をとらなければならない。

つまり、ご飯を減らしたのはいいのですが、結局他のものを食べることになります。その結果どういうことになるかというと、ご飯を減らした分を、油や砂糖で摂る事になっているはずです。ご飯を食べさせないで、逆に油や砂糖で肥満にしているのです。ですから、むしろご飯をしっかり食べさせることが大事だと言う事ですね。

かつて日本人がどんぶり飯を食べていて、おかずも少なかった頃、肥満や糖尿や高脂血症などの病気はなかった。それがご飯を食べなくなり、いろんなものを食べ始めた。その時、勘違いしてはいけないことは、ご飯の代わりにほうれん草や小松菜が増えたわけではない。それではお腹が一杯にならないわけだから、結局、増えたのは油と砂糖。

大事な事は、子どもにはご飯をしかり食べさせる事。ご飯は食べすぎには絶対にならないということです。小学4年生くらいでも、子どもはお腹が一杯になったらご飯は一口でも残す。おかわりをしても、お腹が一杯になれば一口しか食べない。大人のようにお茶碗に胃袋をあわせない。だから子どものご飯の食べすぎはない。

結局、このお子さんの場合もご飯以外のもので太っているのであって、野菜ではお腹が一杯にならないから、お菓子や甘い飲み物を食べているんじゃないかな。それこそが肥満の原因であって、ご飯だけで太るくらいだったら昔の人はみんな太っているということになる。でも、そんなことは無い。ということですね。だから、まずご飯をしっかり食べさせる事。考え方が逆なんです。間食を減らすためにも、むしろご飯を食べさせるべきなんです。

ご飯を食べないから間食を欲しがるようになる。ご飯を半分に減らしたら、よけい甘いものやお菓子を欲しがるのは子どもの当然の権利、生理的欲求なんです。

ご飯のように味の無いものはそう簡単に食べすぎにはならない。ところが甘いものや油ものというのは、際限なく入ってしまう。ご飯のように口に入れて味がはっきりしないものは、お腹が一杯になるとそうは入らない。ところが、お腹が一杯でも味がはっきり分かるものは入ってしまう。

例えばご飯を山ほど食べた後、もちを食べようとしても入らない。ところがケーキやまんじゅうのような甘いものだと入ってしまう。それと一緒です。実際に肥満な子どもを見てきて、ご飯を4杯も5杯も6杯も食べて太りましたなんて子どもには会った事がない。聞いてみたら、みんな飲み物とお菓子なんです。

Q2:スポーツ飲料は水代わりでいい?                  5年生の息子はサッカーチームに入っていて、練習の時には必ずスポーツ飲料を飲んでいます。ミネラル豊富とコーチに進められたそうなのですが、水代わりに飲んでもいいのですか?

A:だめ。飲料水の甘いものは論外です。

お楽しみで、たまには甘いお菓子もいいだろう。しかし、甘い飲料水は、お楽しみでもすすめられません。

特に子どもは汗をたくさんかく。代謝が激しい。子どもは水分欲求が強い。何かといえば水。水を飲みながらご飯を食べるようなのが、子どもの状態。だからそこを間違えると大変。特に気をつけなければいけないのが、スポーツドリンク。体にいいと勘違いして、水代わりに飲ませる親がいるからです。

やはり子どもの飲み物は普通、水です。水を飲ませれば、練習が終わって家に帰ってきた時、しっかりご飯が食べられる。練習が終わってのどが渇いているから水なのに、そこで甘い飲料水でカロリーまで取ってしまう。そうしたら、家でご飯が入らない。

スポーツ選手の中には、秋口になると、もういっつも成績の落ちる選手がいる。それは夏場の水分を水にしておけばいいのに、甘い飲料水を飲んで、家に帰った時にご飯が入らない。そういった悪循環になっている選手に多い。

それをやっていると、体力不足になる。つまり、液体でもカロリーはとれるのですが、液体でカロリーをとっても、それは点滴と同じで蓄えにはなりにくいんです。マラソン選手が走りながらパーソナルドリンクを飲みますが。あれは点滴だからいいんです。

要するに、点滴ではその場のエネルギーや緊急避難にはなるけれど、やはり咀嚼して固形物を食べないと、エネルギーとして十分に蓄えることができないんです。ですから、子どもがサッカーの練習でへなへなして倒れそうだったら、飲み物は水にして、家でしっかりとご飯を食べさせることです。

それから、砂糖というのは極めて特殊な、化学薬品的なものであるということも自覚していただきたい。

食べ物というのは、いろんな栄養そが絡んで一つの食べ物として成り立っている。例えば芋一つといっても、水分が6割、7割、でん粉が2割で、ビタミンCや、カルシウムや、マグネシウムや、カリウムなんていう栄養素が複合状態で入っている。それが食品本来の姿。

ところが砂糖は炭水化物100%。そんな食品は、他には油しかない。それはクスリと一緒で、こういったものを飲んでいると、子どもは疲れやすくなる。持続力がなくなる。夏バテする。そのまま大きくなりストレスとかが加わってきたら、糖尿病になる確率が非常に高くなる。40代50代の糖尿病ではなくて、10代20代の糖尿病ということになる。

このままジュースやスポーツドリンクなどを小さい時からバカバカ飲んでいたら、糖尿病になる年代は、どんどん下がっていくのはほぼ間違いないと思います。

Q3:子どものダイエットが心配。                         5年生の娘がぽっちゃりめの体型を気にしだし、ダイエットすると言って、ご飯を一口二口しか食べずに生野菜やこんにゃく、ワカメなど低カロリーのものばかり要求してきます。何かの本でそういうのを見たようです。健康面も心配ですし、家族も付き合いきれません。いい方法があったら教えて下さい。

A:成長期のがんがん食べなければいけない時期にダイエットだなんて、一生尾を引く危険性がある。そういう冗談はやめさせるべきです。

小学5年生というのは、女性らしい体つきになってくる時期。それでぽっちゃりしてくるんであって、別に太ってきたわけではない。

この時期に単純にご飯を減らすダイエットをやってしまうと、後遺症、障害が残る可能性があると思った方がいい。30代、40代の人がダイエットするのとは、全く訳が違う。

かつてどんぶり飯を食べていた日本に、肥満や糖尿病なんてなかった。ましてや子どもの肥満なんてありえなかった。ですからむしろ、ご飯をしかり食べている子どもの方が、肥満にならないと言えるわけです。もし同年代で太っている女の子がいるのなら、それはお菓子や飲み物が原因、だからやめるのはお菓子であって、ご飯ではない。

日本人は何百年とご飯を中心とした生活を続けて来ました。日本人の体がその食生活に適応していると考えるのが普通でしょう。実際、欧米の人に比べて腸の長さが長いそうです。これは、消化しにくい植物を消化するために必然的にそうなったのでしょう。

それが、戦後のほんの数十年の間に生活の欧米化に伴って、食も洋食が占める割合がどんどん上がってきました。まして、最近はファーストフードの進出で、その中身がますます変化しつつあります。あまりの急激な食文化の変化に体が対応できず、悲鳴をあげているのでしょう。

しかも、今の40歳、50歳以上の人たちは、和食で育って途中からそのような変化の影響を受けてきましたが、今の30以下くらいの人たちは、極端に言えば生まれた時からずっとその影響を受け続けている訳です。今の様々な社会問題、犯罪の低年齢化、陰湿化、病気など、食の乱れが必ず関与していると私は考えます。

子どもは国の宝です。食が溢れている現代、大事なのは「何を食べるか」ではなく「何を食べないか」です。それができるのは、周りにいる大人だけです。

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2006年5月10日 (水)

正しい食事についてパートⅠ

久しぶりに食についてまた書いて行きたいと思います。以前もご紹介いたしましたが、私は色々勉強した中で、「幕内秀夫」さんの理論を参考にしております。それは非常にオーソドックスかつシンプルで、無理な注文や特殊な食材を使わず、非常に実践的だからです。食は毎日3度3度のの事ですので、継続できなければ意味が無いからです。

今回は子供の食事を中心に書きます。大人でも基本は同じです。Q&A方式でいきます。

Q1:ご飯ばっかり食べるので心配                                      小学1年生と幼稚園(年少)の子がいます。2人ともご飯が大好きで、茶碗に3,4杯とおかわりして食べます。おかずよりもふりかけや納豆ご飯を好みます。ご飯の食べ過ぎと、炭水化物以外の栄養不足が心配です。

A:全く心配要りません                                            子どもが赤ちゃんの時を思い出してください。おっぱいが終わって離乳食になった時に、重湯を食べさせ、それからおかゆになり、柔らかいご飯になって、その後、おかずを食べさせてはず。おっぱいの頃はもちろん、重湯の頃もおかずは与えていなかったはずです。

つまり、小学1年生になるまで、子供はおっぱいから重湯になって、おかゆになって、ご飯になっている。そして、徐々におかずを増やしていったはず。おっぱいという液体から始まって、だんだん固形物を増やしながら成長してきている。

食べる最大の目的は、エネルギーを補給する事。ビタミンだ、食物繊維だ、ミネラルだと言っても、先ずはエネルギーを補給してからの話。そして、エネルギーになるものには炭水化物、脂質、タンパク質、この3つがある。

その中で一番きれいなエネルギー源が、炭水化物。それを子供は分かっているから、ご飯ばかり食べて、おかずを欲しがらない、そういう理由なのです。だから何の心配もいらないということです。

小学1年生なら、ご飯(炭水化物)の比重が多いのはあたりまえで、大人よりおかずが少なくてもおかしくない。それで実際にお子さんを見ても、何の病気もなく元気な訳ですから、それでいいんだということです。

子供の好き嫌いというのは、おかずにはあっても主食には少ない。幼稚園や保育園へ行くと「うちの子供は野菜を食べない」「うちの子供は魚を食べない」という質問がよくある。家庭の食生活の質問でも「うちの子はご飯は食べるのですが野菜は食べない」「ご飯は食べるのですが魚は食べない」という。

しかし考えてみればこれは、要するに主食をちゃんと食べていると言う事ですね。主食の後に副食が必要になる、ちゃんと順番がある。それを子供は分かっているから、どちらかと言うとご飯ばかり食べて、副食に好き嫌いがある。これは別にまたもなんだということですね。

Q2:パンの朝食はなぜダメ?                                        勤めに出ているので時間がなく朝食はパンにハムエッグ、そして野菜、果物の100%ジュースを飲むようにしています。栄養のバランスはいいし問題ないと思うのですが、朝はご飯に味噌汁がいいと聞きました。何故なのでしょうか。

A:パンの常食はすすめられません。                                   なぜかと言うと、市販のパンの中には、食品添加物が数十種類も入っているものがあるからです。パンの袋を見ても、そんな事はどこにも書いてありませんが、そこの落とし穴があるのです。

そこでキャリーオーバーという言葉をぜひ覚えていただきたい。それはどういうことかというと。パン屋さんが添加物の入った油を使ったとする。でも油に添加物を入れたのは油屋さんであって、パン屋さんはその油を使っただけ。このような時、日本の法律では、使った油に入っている添加物の表示を、パン屋さんはしなくてもいいことになっている。

パン屋さんが入れた添加物は表示する必要があるけれども、パンに使ったマーガリン、パンに使った油、パンに使った砂糖など、パンに使った何かに添加物が入っていても、それを入れたのはパン屋さんではない訳だから、パン屋さんはそれを表示する必要はない。

ですから、パン屋さんが表示するのは数種類の添加物だけということになる。そのようなわけで、市販のパンの中には、表示されていない食品添加物が数十種類も入っているものがあると思うべきでしょう。それから、輸入小麦には、ポストハーベストで使われる強い農薬の問題もあります。また、砂糖と油の固まりのようなパンもあります。そういったものを毎食食べることは、すすめられません。

Q3:朝、ご飯だとおかずが大変。                                      朝食にはご飯がいいと聞きますが、忙しい時間におかずを作るのは大変なのでパンにしています。何かいい方法はありませんか。

A:むしろ朝は料理を作るなと、言いたいですね。                         かつて日本には子どもが7人も10人もいる時代があった。電気炊飯器も洗濯機も掃除機もなかった時代、お母さんは、朝から洗濯、おしめを何枚も何枚も洗っている時代があった。それでも朝ごはんを食べていた。

ここで間違えてはいけないことは、昔のお母さん方、朝から料理はしていない。していないからこそできたのです。ではどうしていたのかというと、要するに常備食を上手に使っていた。ご飯に味噌汁、後は海苔と納豆、漬物を切るだけ。そうやって朝食をやってきたのです。

夕飯のおかずと朝食のおかずは違う。朝から里芋の煮付けや、さんまの干物でも焼かなければと思うから大変なのであって、そこは常備食を上手に使えば朝ご飯は簡単なのです。

時間が無いからパンということになって、料理を作れば、サラダにドレッシングやマヨネーズ、目玉焼きにハムエッグと油だらけになるだけ。それなら、ご飯に海苔と納豆と、子供にはふりかけと漬物、それで充分。

現実にお母さんが朝ご飯で悩んでいるのは、和食だからと思っているからで、夕食と勘違いしているのです。大事な事は、昔から朝、里芋なんか煮ていない。さんまなんか焼いていないと言う事です。常備食を上手に使えば簡単だと言う事なんです。忙しい時代だからこそ、今まさに昔の人の智恵を生かすべきだと思いますね。

そして、朝どうしても海草を食べさせたいのなら、焼き海苔でいいじゃないですか。豆も煮豆なんて言わないで納豆でいいじゃないですか。野菜は漬物、味噌汁にも十分入っている。魚は佃煮でいいじゃないですか。小魚はふりかけでいいじゃないですか。それ以上、子供も欲しがらないし、それが朝食なのです。

旅館の朝食なら温泉卵や、なんだかんだがつく。下手をするとお刺身までつく。でもそれは特別な日の朝食であって、日常の朝食とは違う。それを情報にあおられてごっちゃになって、ご飯のおかずが大変だというようになってしまった。ですから、本t来の姿を思い出せばそんなに大変ではないということです。

子供はなおさら朝からおかずなんて欲しがらない。ごはんにふりかけで終わり!みたいなものです。

以上、幕内秀夫氏の「ああ、かんちがい!子どもの食事Q&A]という本から抜粋しました。まだまだご紹介したい記事がたくさんありますので、また次の機会をご期待ください。

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2006年5月 6日 (土)

タバコをやめよう

ゴールデンウィークの真っ只中、皆様いかがおすごしでしょうか。当医院は暦通りの診療で、本日は午後7時までです。周りの声を聞いてみると、ほとんどの歯科が私の予想に反して休診せずに診療されています。歯科界の厳しさを垣間見た感じです。

さて、今日はタバコの話です。タバコの害はあえて私が言うまでもなく、事あるごとに取り上げられていますので、皆様も良くご存知の事と思います。最近は禁煙、分煙が進み、愛煙家の方は喫煙場所を限定されてなかなか大変そうです。ちなみに私自身はお酒は結構飲みますが、タバコは一切吸ったことがありません。

私は歯科医師ですので、口の中との関係を中心に書いてみたいと思います。結論から申しますと、「タバコは万病の元」と言えるでしょう。

WHO(世界保健機関)の調べによると、タバコに関連した病気で死亡する人は1999年に400万人でしたが、2003年には70万人増え、470万人になっています。そしてこのままの状態が推移すれば、21世紀のはじめの20年間に1億5000万人の命がタバコによって失われ、そのうち約70%を発展途上国の人々が占めるだろうと、予測しています。

現在、先進国ではタバコを吸う人が次第に少なくなっています。日本でも長期的に見ると、喫煙総人口はゆるやかに減少しています。しかし成人の喫煙率は、男性で45.9%、女性で9.9%と、先進国の中では非常に高い率を示しています。特に女性の喫煙率は、40歳以下は増加傾向にあり、20歳代ではこの10年余りで倍増となているのは憂うべきことです。

タバコと肺がんの関係は有名ですが、実は全てのがんのリスクが上がると言われています。特に口の中は煙が直接影響する部分ですので、その危険度は大きいでしょう。

ガンの他にタバコが危険因子となる病気としては、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管障害(脳卒中、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、動脈硬化、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、歯周病、呼吸器系の病気(慢性気管支炎、気管支嘆息)、消化器系の病気(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)などがあげられます。

口腔内について詳しく述べていきますと、まず、口腔、咽頭がんの発生率が3倍になる他、歯周病にかかる率も高まり、しかも重症に進行する率が5~7倍になるというデーターもあります。さらに、口臭の原因になったり、歯を汚したり、味を感じるらいを刺激して食べ物の味わいを妨げる原因になったりします。

特に歯周病は日本人の成人の7割以上が罹患していると言われていますが(一説には9割とも言われています)、歯周病の危険因子の中でも、タバコが最大の危険因子であること、喫煙者は喫煙未経験者の4倍の確率で歯周病にかかりやすいことが、アメリカの研究者らによって明らかにされました。ヘビースモーカーほど歯周組織の崩壊が急速に進みます。

では、なぜタバコが歯周病の悪化につながるのでしょうか。最大の悪玉はニコチンです。ニコチンには血管を収縮させる作用があるので、歯肉が炎症を起こしても出血が抑えられるので、気付かないうちに病状が進行してしまいます。また、歯根面のセメント質とよく結びつくために、スケーリングやルートプレーニングなどの歯周治療の効果を台無しにしてしまいます。さらに、免疫機能を低下させ、歯周病への抵抗力が下がるため、悪化しやすくなります。

タバコの煙には、4000種類以上の化学物質が含まれていて、40種類以上の発がん物質や発癌促進物質があります。その代表が、ニコチン、タール、一酸化炭素です。

また、タバコの問題は、喫煙している本人のみならず、周りの人にもその影響を及ぼす事です。自分は吸わないのに周囲の人が吸うために煙を吸わされることを受動喫煙あるいは間接喫煙と言います。たばこは喫煙者が吸い込む主流煙と、火がついている部分から立ち上る副流煙に分けられますが、この副流煙の方が有害物質を多く含んでいます。つまり、周りにいる人にも多大な影響を与えてしまうということです。

たとえば、夫が多量にタバコを吸う場合、奥さんは自分が少量喫煙したのと同じ程度の肺がんの危険性があるという結果が出ています。

また、親がタバコを吸う場合、およそ80%の子供の歯肉に黒ずみが見られるようになります。

妊婦は自分がタバコを吸わなくても、死産や早産、流産の危険が増し、さらに低体重児や奇形児が生まれる可能性が高くなります。

喫煙者の誰でもが、一度は禁煙にチャレンジされた事があるでしょう。ここであえて禁煙方法には触れませんが、やはりできる事ならばたばこはやめた方が良いと思います。

「そこに存在を感じる所が悪いところ」とよくいわれます。普段は症状もなく、その存在を忘れていても、例えば歯やお腹などが悪くなるといつもその存在を意識せざるを得なくなります。健康な時は、ついつい自分の事を過信しがちです。歯周病もその症状を自覚した時は、かなり進行しています。健康な時こそ、その有難さを自覚して、それを維持できるように努力しなければなりません。失ってからその大切さを身にしみるのは人間の常ではありますが・・・。

健康を害すれば、自分だけでなく家族や周りの人のに負担をかけることになります。決して自分だけの問題では済まされません。そこの所を良く考えて、喫煙の習慣を持っている方は、あらためて禁煙にチャレンジしてみたらいかがでしょうか。

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2006年5月 1日 (月)

食と犯罪

相変わらず青少年による犯罪が続いております。前回は犯罪と歯科との関わりについて私見を述べました。今回もそれに引き続き、犯罪と食とのかかわりについて考えてみたいと思います。

犯罪と食との関係は色々な場面で取り上げられていますので、皆様も目にされた事があるかと思います。荒れている子ども達の食事の状況を調べてみると、かなり偏食があったり不規則であったり、ファーストフードやジャンクフードと呼ばれるものを日常的に食べている傾向があります。

以前も書きましたが、食品添加物の問題は無視できない状況です。先日、ある高校の文化祭にお邪魔した時、この問題に関するレポートが出してありました。その中で一つ実験してあったのが、コンビニで売ってあるおにぎりと、自宅で作ったおにぎりを10日ほどそのまま放置すると、自宅で作ったおにぎりは当然のようにカビだらけになったのに対して、コンビニの方はほとんど変化がありませんでした。この結果を皆様はどう受け止められるでしょうか。

今のコンビには賞味期限がくると廃棄されますので、厳密に管理されていて一見良さそうに見えるのですが、実態は前述した様な感じです。私の子供はそれ以来、コンビニの弁当を食べようとしません。

今の若い男性の精子の数が一昔前に比べて約3分の1に減少しているそうです。色々な原因が考えられる中で、食、特に食品添加物の問題はかなり重要な影響を及ぼしているのではないでしょうか。当然女性の体にも何らかの影響が出ている事は容易に想像できます。

食品添加物やパッケージに使用されているラップやトレーなどから微量に出てくる物質の中で、人体に対して環境ホルモンとして作用するものがあることがわかっています。脳の指令を体全体に伝達するのは神経とホルモンの仕事です。ホルモンは、ほんの微量で作用しますので、仮に食物の中に微量でも含まれていると、それは意外と無視できない量なのかもしれません。

もし食品添加物でホルモン系が狂わされるとなると、それが精神の部分に作用して、それが場合によっては犯罪につながる事も、納得できるのではないでしょうか。

ただ、今の世の中で全く食品添加物を摂らない食事を続ける事は不可能です。野菜やお肉などを製造栽培する過程で既に色々な化学薬品やクスリを使用されていますので、それを取り除く事は不可能です。ならば、せめて調理加工する段階でのさらなる使用はなるべく避けたいものです。

家庭で調理される場合はさほど使用することはないと思いますので、問題はスーパーやコンビになどで加工された食品を買ってくる場合です。ぜひ、買う前にその食品の成分表示を見るクセをつけて下さい。食品添加物の種類は非常に多く、その毒性も様々です。以前も一度書きましたが、また機会をみてこれに関しては書きたいと思います。そのような目であらためて売ってある食品を眺めてみると、いかに食品添加物が我々の食の隅々まで浸透しているかがわかります。

食品添加物を摂取しないというのは今の時代、不可能ですので、いかに体に入る量を減らすか、また、体に入ったものを効率的に排出するかです。これらについても私見ではありますが、また機会をみて書きたいと思います。

もう一つ、食の西洋化に伴う肉食、動物性タンパク摂取の問題を取り上げたいのですが、これもまた次回のテーマとさせていただきます。肉食動物と草食動物の違いを人間に当てはめて考えるとわかりやすいと思います。

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