« 開業記念日でした | トップページ | ただ今休日夜間当番中です »

2006年7月19日 (水)

「とりあえず」という治療

先週はサーバーのメンテナンスが数日続いたため、更新できませんでした。大変失礼致しました。

毎日診療を行なっていますと、必ず患者様の方から「とりあえず○○しておいて」という要望があります。よくあるのが、銀歯などの詰め物がはずれたり、入れ歯などが壊れた時です。歯に穴があいて、物が詰まる時なども時々希望されます。

「とりあえず」という事は、患者様ご自身も我々も、あくまで暫間的な応急処置である事を承知の上での治療だと思うのですが、その後時間がとれた時にきちんとした処置を受けに来られる方は残念ながら多くはありません。

逆に、「とりあえず」で付け直した銀歯などが再度はずれると、また「とりあえず付けておいて」の繰り返しになる場合が結構あります。そうこうするうちに、歯がダメになってしまって、複雑で回数や金額のかかる治療や、抜歯に至るケースを何度も見て来ました。

歯は骨や皮膚、筋肉などと違い再生能力がありません。そのため、自然治癒する事はありませんので、何らかの原因で歯に欠損が生じたら、なるべく早く人工物でそれを補ってあげる必要があります。そうしないと、歯はどんどん傷んでいきます。

銀歯がはずれるという事は、そこに何らかの原因があって、その結果です。例えば歯と銀歯のすき間に新たな虫歯ができてゆるんできたり、咬む力で(自分の体重くらいの力がかかると言われています。瞬間的にはその数倍になります)銀歯か微妙に変形したり、歯が擦り減って来て銀歯との段差ができたりした場合です。

我々も微調整程度で現状復帰できる場合は、患者様の無駄な出費を避けるためにも極力付け直すようにしています。しかし、専門的に見て再治療が必要だと判断した場合はその旨お伝えするようにしています。それでも患者様の方から「とりあえずつけておいて」と言われれば、それに従うしかありません。

穴があいている場合も、ほとんどが虫歯になっていますので、虫歯は当然進行していきます。痛みやしみは、虫歯の状態を把握する参考にしかなりません。痛くなくても当然進行していきます。特に気をつけないといけないのが神経の治療をしてある歯です。虫歯になっても痛みは基本的に出ませんので、どうしても歯科医院に行くのが遅れがちになります。そうこうしているうちに、ある日突然ぼろっと歯ごと欠けた時には、保存不能となっており、止む無く抜歯しないといけなくなる事が結構あります。もちろんその場合は、患者様の方から「とりあえずつけて」と言われても、無理とお断りするしかありません。

歯科は回数や時間、費用がかかりすぎるという批判をよく受ける事があります。我々からすると、闇雲に回数や期間を延ばしている訳ではないのですが、そこには微妙な意識の食い違いがあるようです。そのために、忙しい方(まれに歯医者嫌いの方も)は「とりあえず・・・」と言う治療をご希望される方が多いようです。

先に述べましたように、歯は再製する事の無い器官ですので、時間の経過とともに悪くなる事はあっても、よくなることはありません。それを前提に、一生という長い時間の中で今、何をするのがベストなのかをご自身で判断していただきたいと思います。

健康観は一人一人違います。よく、「人は認識の程度に病み、認識の程度に健康になる」と言われます。自分がどこまで健康になるかは、自分の健康観に大きく係わっていると言う事です。

超高齢社会にばく進中の日本です。何度も書いてきましたが、歯がしっかりそろっている方の総医療費(医科も含む)は、そうでない方の3分の1弱で済んでいるという統計が、たくさん出ています。

世界1位の長寿国であっても、寝たきりばかりではしかたがありません。ちなみにスウェーデンには寝たきり老人というのはほとんどいないそうです。健康で長生きをするための第1歩は、今トラブルを起こしている歯をしっかり治すところから始まるのかもしれません。

|

« 開業記念日でした | トップページ | ただ今休日夜間当番中です »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「とりあえず」という治療:

« 開業記念日でした | トップページ | ただ今休日夜間当番中です »