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2006年10月24日 (火)

口臭を防ぐには・・

前回、口臭には生理的口臭と、病的口臭があるとお話いたしました。生理的口臭は誰にでもあるもので、ちょっと気をつければかなり防ぐ事ができるのに対して、病的口臭は、基本的に原因をきちんと治療しないといけません。

よく、胃が悪いと口が臭いと言われますが、実はこれは迷信です。普通は、胃と食道の間は食べ物や飲み物が逆流しないようにピッタリと閉じています。そのため、胃から臭いの原因となる物質があがって来ることはありません。よっぽど特殊な場合、例えば胃がんの末期、進行した食道の病気などがない限りは臭いの原因とはなりえません。

ただ、肝臓病とかいくつかの病気が原因にあることはあります。ただ、口臭が強くなるような場合は、体の調子も悪くなるのですぐにわかるでしょう。

欧米はキスで挨拶をする習慣がありますので、口臭があると人間関係に支障をきたしますので、元々お口への関心が非常に高いわけです。「歯の健康は、すなわち体の健康だ」という意識が国民全体に行き渡っていますので、歯科医院での定期健診とクリーニングは、今では全身健康管理のために欠かせない要素として、生活の一部になっています。

歯科医院で半年に1度歯石を取り、PTC(プロフェッショナル・トゥースクリーニング)を受ければ口臭の心配はまずしなくて良いとみんな知っています。自分の健康管理のためにそれくらいの努力ができない人は、知性が低い、意志の弱い人だと国民がしっているのです。

歯磨き剤やうがい薬は実は口臭予防にはほとんど効果はありません。お口の中がミントでスウッとして気持ちが良くなるだけで、口臭自体は減っていません。

口臭予防には、回数を多くブラッシングする事です。それにフロスも併用します。

これよりもっと効果があるのは実は食事です。朝昼版、飲んで終わりの簡便な総合栄養食ではなく、固形物を良くかんで食べることです。食塊が舌や粘膜を掃除してくれますので、食前に比べて口臭が8割も減ります。

意外と見落としがちなのが、舌の清掃です。舌の表面には、舌苔というものが着いています。この中には口臭を作り出す細菌がたくさんいますので、これを減らす事は口臭を減らす事に非常に効果的です。舌の掃除で口臭が6割減り、効果がしばらく持続します。

自分の口臭は慣れがありますので、わかりません。やはり人に臭ってもらわないと本当の口臭の有無はわかりませんので、かといって身近な人でも口臭をチェックしてもらうのは何となく気が引けます。ぜひ歯科衛生士と仲良くなって、定期健診のたびに、こそっと口臭の有無を確認してもらってください。

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2006年10月20日 (金)

口臭の正体は猛毒ガス!

口臭は自分ではなかなか気付かないものですが、他人には非常に不快感を与えるものです。親しい間柄でも、なかなか指摘しにくいので、ついつい見過ごしている場合がよくあります。

口臭の原因のほとんどは、お口の中の疾患、特に歯周病(歯槽膿漏)です。日本人成人の85%に何らかの歯周病の症状があります。つまり、ほとんどの成人は歯周病とそれに連動する口臭に気をつける必要があります。

口臭には、「生理的口臭」と「病的口臭」の2種類があります。

生理的口臭はほとんどの人に認められるもので、朝起きてすぐの時などに認められます。その成分は主に「硫化水素」つまりイオウの温泉と同じ物質による臭いです。ですから、少し鼻の良い人なら50センチくらい離れて話していると、軽く感じる程度の臭いです。これは我慢できないほどの臭いではありません。

病的口臭の成分は「メチルメルカプタン」というもので、非常に重たく攻撃的な臭いです。例えると、卵や玉ねぎが腐ったような臭いで、我慢するのが苦痛なほど強い臭いです。

このメチルメルカプタンというのが、実は青酸ガスの次に強い猛毒のガスなのです。口臭ほどの微量ならばもちろん致死量ではありませんが、少量吸っただけで呼吸が停止するほどの猛毒ガスです。また、硫化水素も中毒を起こすガスで、たまに火山や温泉地などで、ガスにまかれて人が亡くなったりするのはこのせいです。

つまり、どちらのガスにしても、体に悪影響を及ぼすものであるということです。

また、さらに驚く事は、メチルメルカプタンのような毒ガスは、DNAを損傷させます。つまり、発がん性があるということです。病的口臭のある人は、発がん性のある毒ガスを、四六時中口の中で製造し、それを吸っている事になります。それらは血液の中に入って全身をめぐります。

また、日本人は、欧米に比べて口臭のある人が多いという調査結果が出ています。特に、病的口臭のある人が多いことが問題です。これらは、欧米に比べて日本人は、歯科医院で定期的に歯石取りや歯のクリーニングが習慣になっていな事が原因と考えられます。

ライオン株式会社が調べたデータによると、東京の大手町のビジネスマンとニューヨークのマンハッタンのビジネスマンを調査した結果、歯科の定期健診を受けている割合が、大手町の38%に比べてマンハッタンでは92%という大きな違いがありました。対人関係に非常に気を使うビジネスマンにとって、口臭が大きなマイナスになる事は自明の理でしょう。

ではその対策は・・・?歯科医院に定期的に行くのがもちろんベストですが、その他に自分でできる事を次回また書きます。

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2006年10月11日 (水)

歯ぎしりで歯がしみる?

冷たいものや熱いもの、甘いものなどが染み出すと、多分ほとんどの方が「虫歯ができた」と思われると思います。虫歯の初期症状は、自覚症状としては歯のしみか、穴が空いたり物がつまり出したというものがほとんどです。

そのような明らかに虫歯が認められる場合は、もちろんすぐに虫歯の処置に入ります。しかし、見た目やレントゲンでも虫歯が認められないのに歯がしみると言う方の来院が増えて来ました。さて、その原因は何なのでしょうか?

一つは歯周病があります。ここでは歯周病については詳しく述べませんが、歯周病の初期症状として、出血や排膿、歯のぐらつき、物がつまる、などに加えて歯のしみがあげられます。

もう一つが、今日タイトルでも取り上げています、歯ぎしりやくいしばりから来るしみです。これは意外と歯科医師の中でも認識されていない事があり、見落とすと、悪くもない歯を削ったり詰めたり、場合によっては神経をとったりして(神経を取れば当然しみはなくなりますが、歯が弱ります)余分な治療が発生する場合もあります。しかも、原因が違うと治療したにもかかわらず、症状がとれないといった事もあります。

では、なぜ歯ぎしりや、くいしばりで虫歯もない歯がしみるのでしょうか?

これらはいつするかというと、基本的には夜寝ている時です。稀に起きていても何かに集中している時など、歯をくいしばっている場合もありますが、それは意識すると改善する事ができます。また、意識がありますのである程度の痛みの出ない強さの範囲内で行われます。

それに対して、眠っている時は意識がない分、力のコントロールがあまり効きません。また、寝ているときは唾液の分泌が低下しますので、歯の表面が乾いてきます。、まして口呼吸をする人はカラカラです。朝起きて、口が乾いていたり、粘ついたり、口の中や喉の粘膜が痛い人は、ほぼ100%口呼吸をしています。

歯が乾燥していると、歯同士が当たった時に、非常に摩擦が大きくなりますので、歯ぎしりやくいしばりをすると、歯に過剰な力がかかったり磨耗を促進したりします。一説によると、一晩の歯ぎしりは、数か月分の食事に匹敵するくらいの歯の負担を強いるとも言われています。

歯に過剰な力がかかると、神経が過敏になって一時的な知覚過敏を起こします。すると、今までしみなかった歯がある日突然しみるようになります。場合によっては左右上下、何本もいっぺんにしみが出る事があります。

また、歯は歯冠(口の中歯ぐきから出ている部分)と歯根(歯茎の中の骨に埋まっているぶぶん)に分けられますが、歯が揺さぶられるとその境目に力が集中します。ここが丁度歯ぐきのラインの付近なのですが、その影響で、歯の表面は少しずつ剥がれてきます。すると、中の敏感な部分が表に露出するので、染みが出ます。歯の付け根が全体的に削れている方は、必ず歯ぎしりやくいしばりを持っています。

稀にですが、男性で噛む力が強い方は、自分の歯を噛み割ってしまう事もあります。そこまで行かなくても、歯にひびが入っている方は、結構いらっしゃいます。それも染みの原因になります。

歯ぎしりやくいしばりは、体調に連動して出たり出なかったりしますので、疲れた時や病気した時、寝不足やストレスが強くかかった時などに出やすく、それに伴って染みが強くなる方もたくさんいらっしゃいます。

この様な方々には、私は原因を説明し、十分納得していただいた上でかみ合わせの調整をします。そのまま来られなくなる方がたくさんいらっしゃいますので、多分良くなっているのでしょう。もちろん続けてこられる方には次回確認しますが、全員とは言いませんが、症状が軽快する方がたくさんいます。

歯は極力削らないというのが私の方針です。かみ合わせの調整と言っても、歯の角をほんの少し(1ミリの何十分の1程度)調整するだけです。それで症状がとれて、余分な削合を避ける事ができれば、患者様が受ける恩恵は大きなものであると確信します。ただ、何本調整しても私の治療費はほんの微々たるもので、全く儲からないどころか、時間と材料代を考えると、大赤字の治療ですが・・・。

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2006年10月 6日 (金)

「食育」について

最近「食育」という言葉をよく聞くようになりました。私も何度か取り上げていますが、今の日本の「食」は便利になったものの、世界的に見ても非常に特殊(悪い意味で)な状況になっております。語弊を恐れずに言えば、まともな食が取れないという事です。

その上、食生活が乱れていますので、二重、三重の弊害が危惧されます。最近の凶悪事件や、子供がキレたり、集団行動ができないのも食に要因の一つがあると言われています。

昨年の7月に食育基本法が指定されました。その理念は

①国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成

②食に関する感謝の念と理念

③食育推進運動の展開

④子供の食育における保護者、教育関係者等の役割

⑤食に関する体験活動と食育推進活動の実践

⑥伝統的な食文化の育成と食料需給率の向上への貢献

⑦食品の安全性の確保

などがあります。小泉元首相は「食生活、運動、休養が健康の三原則」とし、国民運動として推進したいと述べていました。

服部学園の服部幸應氏が編集長を努める「笑う食卓」という雑誌があり、そのコンセプトは「選食力、食事作法、地球の食」の三つのキーワードを柱に、食育を推進しようというものです。ご興味のある方はぜひ読んでみて下さい。

食育こそ我々歯科医師の出番です。しかし、大学教育の中で、栄養学は多少講義があるものの、食に関しては習っていないのが実情です。(私が卒業したのは20年近く前ですので、ひょっとしたら現在はカリキュラムの中にはいているかもしれません)

私も卒業して、この分野に興味を持って独学で本などを読みあさって自分なりの理論を確立してきました。(まだまだ途上ですが)

食べ物は必ず口に入って、咀嚼されて体内に入っていきます。噛むことの大切さ、咀嚼とは何か、自分の健康な歯を残す素晴らしさ、それらに加えて食そのものの大切さを語る事ができれば、皆様の健康増進にもっともっと寄与できると確信します。

日本の食材は正直かなり厳しい状況です。見かけは良くても栄養価の低い野菜、農薬や食品添加物の問題、砂糖や脂肪分のとり過ぎなど、課題はたくさんあります。しかし、日本で暮らす以上それらを食べる以外選択肢がありませんので、ではどううまく摂っていくかなどもこれからご提案できればと思います。

食は命の源です。

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2006年10月 4日 (水)

割りばしをくわえて歯力アップ

私は本屋さんによく行きますが、その時は必ず健康雑誌に目を通して歯に関係する記事が出ている時は、必ず購入して待合室に置くようにしています。

中にはちょっと首をかしげるような方法やクスリが載っている事もありますが、それでも多分治っている方がいるようですので、最も自分に合った方法を見つける選択肢の一つに加えても良いだろうと思っております。

信じるものは救われるではありませんが、自分の体にとって何が良いかは試してみないとわかりません。それが副作用が大きかったり、駄目な時に元に戻せないようでしたら困りますが、そうでなければチャレンジ精神でやってみるのもよいでしょう。

前置きが長くなりました。今日は健康365という雑誌の11月号に載っていた「割りばしくわえ」法をご紹介します。

私もよく患者様に説明するのですが、我々は普段、口を閉じていますが(最近は口がぽかんと空いている人をよく見かけます。これは口呼吸をしている証拠で、それが元で様々なトラブルを引き起こすのですが、ここではその話は省きます)歯は当たってはいません。もし歯も当たっている方は、くいしばりが出ていますので、勉めて歯が当たらないように意識しておいてください。歯がどんどん悪くなります。

ただ、眠っている時の歯ぎしりやくいしばりは、意識がないのでコントロールできませんので、ナイトガードという専門の装置を使用して歯を守ります。

割りばしくわえは、簡単に言うと口の周りをリラックスさせる方法です。やり方は

1、あお向けになり、割りばしを上下の唇の間にはさみ、軽く口を閉            じます。

2、腕の力を抜いて体の両脇に置きます。

3、毎日1回以上、10~30分行います。

この時、割りばしは上下の唇の間にはさむのであって、決して噛まないようにします。咬むと緊張が起こります。

口の周りの緊張が取れると、それが原因で起こっていた様々な症状が改善する場合が多いそうです。具体的には、かみしめによる筋の緊張から起こる頭痛、肩こり、首のこり、それらに伴って、高血圧、目の疲れ、不眠、冷え、体のバランスの乱れ、皮膚の状態の悪化、歯の磨耗、虫歯、歯周病、喉の免疫器官の機能低下などなどです。

割りばしくわえによって改善した体験談がいくつか載っていましたので、タイトルだけご紹介いたします。

・3年来の歯周病による頭痛が割りばしくわえで10日後に軽快し        1ヵ月半で治った。

・差し歯が原因の顎関節症が割りばしくわえで3日後に痛みが治まり噛むのも楽に

・歯周病予防に割りばしくわえをしたら、頭痛、肩こりが翌日おさまり血圧も下降

この方法は、私も理論的に考えて、簡単にできる妥当な方法だと思います。お金もかからないし、歯を削ったりする不可逆的な治療もしません。ぜひ、実行されてみてください。そして、効果があったら私にもぜひ教えて下さい。

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