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2006年11月22日 (水)

口の中に電気が流れる・・・?

ちょっと刺激的なタイトルでしたが、実はこの現象は多くの方の口の中で日常的に起こっております。

もちろん何十ボルトという様な、大きな電気ではなく、ほとんど感じないようなごく微小の電気が口の中に流れています。ではその原因何なのでしょうか?

皆様は「ガルバニー電流」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?多分中学か高校の理科に時間に習った事があるのではないかと思います。

ネットで検索してみると、次のような説明がありました。

ガルバニー電流(Galvanic Current)

異種金属が同一口腔内に存在するとき、唾液や歯の内部の組織液が電解質となり電位差の発生が起電力が生じ、電流が流れることがあることです。この電流が、疼痛・違和感・金属の味を生む事があります。アルミホイルを噛んだり、時々スプーンやフォークが歯に当たった時、嫌な感じや変な味がするのはこの為です。

また、先日、テレビ番組に「トリビアの泉」でも、とり上げられていましたので、ご紹介します。

No.419 アルミホイルを噛んでビリッとする時発生しているのは「ガルバニー電流」(番組評価 59/100へえ)

これは、異種金属間に起こる微小電流のことで、様々な場面で自然に起こっているのですが、ほとんどは微弱なために体が感知していません。また、体の中で金属が存在するのは、そのほとんどが口の中ですので、当然口腔内が最も発生頻度が多くなります。

理科の時間にイオン化傾向というものを習った事があると思いますが、その差が大きいほど発生する電流が大きくなります。口の中で言うと、以前よく使われていたアマルガムという詰め物と金が入っていると、一番依影響があるようです。それが、上下の噛む面にあると、噛んだ時に触れた瞬間「ピリッ」とします。

もちろん、個人差がありますので、不快感を感じる方もいれば、何も感じない方もいらっしゃいます。また、神経を治療してある歯は当然何も感じません。

また、電流が流れるという事は、その時微量の金属イオンが溶け出しますので、金属アレルギーの原因になったり、詰め物の劣化につながる事もあります。また、以前も書きましたが、リンパ系の働きを弱めるとも言われています。

金属はもともと微量な元素を除けば人間の体には存在しない異物ですので、理想的にはないほうがよいと考えます。しかし、今の保険制度では、保険診療内で行う限りは全く金属を使わずに全ての方を治療するのは残念ながら不可能です。

健康のために、少しお金を出してもノンメタルの治療を行う意義は大変大きいと思うのですが、皆様はいかがでしょうか?

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2006年11月14日 (火)

歯を予防する恩恵

最近は、どこの歯医者さんでも「予防」を勧められると思います。皆様も予防が大切だと言うことは、重々承知されていると思いますが、しかし特に悪くもないのに歯科医院に行く事に抵抗がある方がほとんどではないでしょうか。

では、予防を続けると、具体的には皆様にどのような恩恵があるのかを、列挙してみたいと思います。

・全身の健康                                                                                                        身体は人生の資本。その身体を支えるのは歯である                     よく噛めることが消化を助け、全身の健康につながる

・アンチエイジング                                      肌のハリが保てる                                        鼻の下がしわになりにくい                               老人ホームの中でも若く見られる                                   よく噛める事で脳に刺激が加わり、老化を防げる          

・食べる                                           家族と一緒にレストランで食事ができる                       食べられないものを気にしないで好きなものが食べられる                      何でも美味しく食べられる                                 ステーキ店で高級なステーキが食べられる            

・話す、歌う                                          人前で自信を持って話ができる                             よい発音で話ができる                                    大きく口を開けて大きな声で歌える                            カラオケが楽しめる

・力を入れる                                           踏ん張って重いものが持てる                           親の介護ができる(移動する時に力が必要)                     孫をだっこできる                                

・運動                                          歯をくいしばれるのでスポーツができる                     ゴルフのスコアを維持できる

・優越感                                           同世代の中で歯が残っている事に優越感を感じることができる      優越感が自信と誇りになる                                デンタルIQを誇れる

・笑顔                                           自信を持って大きな口をあけて笑える                        笑った時にきれいに見える                                結婚式などで最高の笑顔で写真がとれる                    

・印象、コミュニケーション                              セックスアピールにつながる                            就職時の面接で好印象を与えられる                       孫に嫌われない(口臭があると言われない)                  きれいな前歯があることで恋人ができる                  

・次世代への継承                                    子供に財産は残してあげられなくても、健康な歯を残してあげられる 歯の大切さを身をもって次世代に伝えられる        

・その他                                           より歯を白くしたり、きれいにするという楽しみができる            セルフケアグッズを選ぶ選択肢と楽しみが広がる

・快適さ                                         義歯を入れて痛い思いをしなくて済む                     何も気にせず旅行にいける                                              

・時間                                        入れ歯の掃除などにわずらわされない                         維持するためにメリハリや生きがいのある生活を送れる

・費用                                            高額な治療費を払ったり、痛い思いをしなくて済む

などなど、具体例を列挙してみましたが、どうでしょう。相対的に見て、歯が残っている方は元気です。そろそろ予防に通ってみませんか?

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2006年11月 8日 (水)

12月に講演会の講師をします。

12月に母校の九州歯科大学の同窓会熊本支部で講演会の講師をさせていただく事になりました。内容はいつもこのブログで書いている事です。抄録をご紹介いたします。

「臨床生理咬合に基づいた日常臨床」                           城南歯科医院 院長 宮本格尚

「あごのずれが不定愁訴の原因」

「咀嚼の重要性」

今日は二つのテーマについてお話させていただきます。一つは「かみ合わせを治す事によって全身の健康が得られる」ということ、もう一つは「今の歯科治療にはもっとも重要な咀嚼というものが欠落しているのではないか」ということです。

・かみ合わせを治す事によって全身の健康が得られる

近年、頭痛、首筋のこり、肩こり、背中の痛み、四十肩、五十肩、腰痛、目のかすみ、アトピー、花粉症、手足の冷えやしびれ、便秘、下痢、生理痛、生理不順、さらにはうつなどのいろいろな不定愁訴に悩まされている方々が急増しています。

従来、この様な症状を持つ患者様は整形外科、神経科、耳鼻科、眼科、内科、心療内科、一般歯科や、さらには、整体師、カイロプラクティック、柔道整復師、鍼灸師などを訪れてこられましたが、治療効果が得られない場合も多く、異常はないとか原因がわからないとか、あるいは更年期障害、自律神経失調症などとして放置されてきています。

大阪大学名誉教授の丸山剛郎は、教授時代から多くの研究と臨床を通じて、これらの原因がかみ合わせ(咬合)の異常であると考え、その理論、診査診断、治療法を確立してきました。現在も北は北海道から南は九州まで全国を飛びまわって多くの患者様を診察し、患者様は苦痛と悩みから解放され、健康を取り戻し、微笑といっそうの美しさとを得ております。さらに、スポーツ能力の向上にも大きな効果を上げております。

また、丸山を会長とする日本咬合学会の会員を中心に、全国で治療が行われています。私もその中の1人です。昨年、世界的な脳科学者である北海道大学医学部の澤口俊之教授(現人間性脳科学研究所)と北海道大学医学部において、ファンクショナルMRIを用いて基礎研究を行い、かみ合わせを修正すると次のような結果が得られました

1、 前頭連合野の能力の改善

ちなみに、前頭連合野の機能、能力(人間性知性・超知性)は次のようなものがあげられます。

ⅰ、将来に向けた展望・夢(未来志向性)、計画性

ⅱ、高度な思考力、問題解決能力、一般知能(IQg)

ⅲ、理性(感情の抑制)、自己制御、心の推測

ⅳ、主体性、独創性、創造性

ⅴ、好奇心、探究心、意志力、集中力

2、 脳老化の改善(脳の若返り)

3、 免疫系の改善

4、 子供の心・知能の健全な育成

これらの事からも、かみ合わせを正しくすると、全身によいを影響が与えることが科学的に立証されつつあります。前述した様々な不定愁訴を持つ人は、国民の3分の1はいると言われています。21世紀は、歯科が患者様の全身健康、美、アンチエイジングに大きく貢献できる時代であると確信しております。

・正しい咀嚼運動に基づいた歯科治療を行う

咀嚼の回復は、歯科医師にしかできない大切な仕事の一つだと思います。患者様は歯科医院では、当然よくかめる補綴物を入れてもらえると思っています。では、我々は正しい咀嚼運動を理解し、それに基づいた充填や補綴を日常行っているでしょうか?患者様から「何となく違和感がある」「高くはないのだけどよくかめない」などという訴えがあった時、咬合紙をかませても高くなく、ギリギリと歯ぎしりをさせても特に異常は見られないので「そのうち慣れますよ」といって終わっていないでしょうか?

咀嚼運動を再現していない充填をしたり、補綴物を製作、装着したりしていると、多くの問題を生じます。例えば、食べ物がきちんと咀嚼されていないため胃腸障害を生んだり、かめないので、すぐに飲み込んでしまうために食欲中枢が満足させられず、過食になり結果的に肥満につながったります。

歯科的な問題になると、義歯により粘膜や歯肉が痛い、インプラントや義歯を入れたのにしっかりかめない、補綴物が破損する、歯周組織の破壊が起こる、顎関節症、精神的な問題を持つようになるなどです。

これらは機能運動(咬む運動、話す運動)を調べる(審査する、診断する)事によって、その病気の実態(病態)があきらかとなり、その原因や治療が容易に可能となります。

従来の歯科医療では、限界運動のみをとり上げ、診査、診断を行っていたため、これらの口腔に生じている問題と咬合とは関係があまりないなどという誤った考え方が多く見られました。我々は、もっと「かむ」(咀嚼)という人間の生命存続に最も重要な働きを審査、診断しなければなりません。それが歯科医師の本来の姿だと言えるでしょう。

今回、限られた時間の中で二つの大きなテーマにそって話をさせていただきますので、あまり詳しく掘り下げた話はできませんが、日々の臨床に照らし合わせながら、皆様と御一緒に考えていきたいと思っております。

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2006年11月 1日 (水)

日本咬合学会弘前大会に参加してきました

10月27日、28日、29日と、私が所属している日本咬合学会の学術大会が青森県の弘前市で行われましたので、それに参加してきました。

行く前から、寒いぞ、寒いぞとさんざん脅されていましたので、重装備で行きましたが、コートまでは要らない位の気候でした。しかし、熊本ではまだ日中はTシャツですごせる様な陽気ですので、それに比べると気温の差を感じました。

山沿いは紅葉真っ盛りで、少し時間がある時に弘前城まで足を伸ばしてみましたが、木々の紅葉の鮮やかさが鮮明で、感動しました。九州ではなかなかあそこまでキレイに色着かないので、思わず写真を撮りまくってしまいました。

また、青森県はリンゴの産地で有名ですが、正確にはそのほとんどは弘前市で採れるそうで、確かに青森空港から弘前市に向かう時、市の境を越えたあたりから、周りにリンゴの木がどんどん増えてきました。真っ赤で大粒のリンゴが鈴なりになっている様子は、見慣れていない九州育ちの私には非常に新鮮で、感動的でした。また、町の中のいたるところにもリンゴの木があり、それにもたわわに実っている光景は、さすが青森だと感じました。

さて、学会の方は28日が朝11時~午後7時まで、昼食時間15分以外はほとんどぶっ続けの講演というかなりハードなものでした。2日目も朝8時半~午後3時半まで同じ様な感じで行われました。2日目は最後まで聞くと九州に帰れなくなりますので、残念ながら最後までは聞くことができませんでした。

普通、歯科の学会というと演題が「インプラント・・・」「審美歯科・・・」などがたくさん出て来るのですが、日本咬合学会はそれらはもちろんの事、「全身の健康」を視野に入れております。そのため、今回の発表の演題を少し列挙してみると

・姿勢とかみ合わせについて

・あきらめていた20年来の不眠症が即日治った!さらに腕、膝の痛       みも消え、健康長寿、はつらつ人生

・脳との関わり合いからみた頚部の構造

・姿勢と脳、かみ合わせとの関連性、運動時の脳内分子機構からの考察

・全身健康顎位診断において誤りを生じやすい問題点

・何故あごは右にずれやすいのか

・咀嚼運動が脳に及ぼす影響

・脳とかみ合わせ、そのエビデンス

・かみ合わせと頭痛

などなどです。講師の中には歯科医師はもちろん、医者、柔道整体師、運動生理学者など多方面の方が加わっていました。

詳しい内容は、また後日、順次ご紹介して行きますが、ともかく、かみ合わせを治す事によって全身の健康を取り戻し、人生を2倍も3倍もエンジョイしている方が全国にたくさんいらっしゃいます。

この療法は、ややもすると「あやしい」「眉唾だ」といった批判を受けてしまいます。事実、私自身も数年前までは、どちらかというとそちらのグループに属していたのかもしれません。しかし、勉強や研修を続けるにつれ、国民の健康増進にもっともっと寄与する事ができる事を確信してきました。また、歯科医療というものに、自信とほこりを持つこともできました。

ただ、この療法はまだまだ認知されていない部分が多く、私も少しでも多くの方に知っていただけるようにこのブログやホームページを開設しました。これからも頑張って、有益な情報を発信し続けていきたいと思います。

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