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2007年1月19日 (金)

歯科医院で本当に噛めるは作っていない

・貴方は患者様の咀嚼を検査していますか?

・貴方は咀嚼運動を理解していますか?

・貴方は咀嚼と咬合の関係をご存知ですか?

・貴方は咀嚼の異常がもたらす問題を理解しているでしょうか?

・歯科医は患者様をだましているのではないでしょうか

・患者様は歯科医がかめる義歯、インプラントやブリッジを作製して      いると思っていますよ

・歯科医が咀嚼を考えないならば歯科医失格ではないでしょうか

           第11回日本咬合学会学術大会抄録より抜粋

歯科医師である私が自分の首を締めるような文章をのっけから書いてしまいました。これは、昨年行われました、私が所属する日本咬合学会弘前大会の抄録に丸山大阪大学名誉教授が書かれた文章からの抜粋です。

皆様が歯科医院に行って、詰め物や銀歯、入れ歯などの治療を行う際に、必ず赤い紙をカチカチ噛んで高さを調整されたと思います。

あれは咬合紙というもので、我々が日常、かみ合わせをチェックしたり調整したりする時に必ず使うものです。当たっている所が赤く印が付きますので、そこを必要に応じて調整します。また、カチカチの他に、ギリギリ歯ぎしりをしてくださいと言われる事もあると思います。これは、歯ぎしりをした時に、引っかからないように調整するためです。

では、ここで一つ考えていただきたいのですが、今日、朝起きてから今までに、何回歯をギリギリと動かすような運動をしたでしょうか?多分、ほとんどの方は0回だと思います。そう、つまり、調整する時のあのギリギリと動かす運動は、実は普段はほとんど行わないものなのです。

物を食べるときの運動は咀嚼運動と言いますが、実は前述した動きとは全く異なる動き方をします。しかも、これは意識的に行う事はできず、口の中に食べ物が入って初めて行われる反射運動なのです。ということは、歯科医院で咬合紙を用いて行う調整では咀嚼運動に調和した調整は不可能だということです。

カチカチ噛んでも別に高くはないのだけれど、物を咬むと何となく噛みにくいという経験をしたかたはたくさんいらっしゃると思います。歯科医師から「そのうち慣れますよ」と言われて、そうかなと思いながら月日が経つと、人間は慣れる能力を持っていますので、何となくおさまってしまう場合も多いと思います。

これは、咀嚼運動に調和した調整を行なっていないから生じた結果です。

医科にかかると、まずは様々な検査を行って、原因を突き止めていき、治療を行うと思います(検査のし過ぎという批判はありますが)。歯科でも、歯周病は歯周検査を行って、現状や進行具合などを診断して治療計画を作り、実際に治療を行います。虫歯も今はレーザーを使った検査方法があり、その虫歯がもう少し様子を見ていいのか、積極的に治療を行なった方がよいのかを客観的に診断して治療します。

では、歯科で最も大切なかみ合わせはどうでしょうか?小さな修復は現状のかみ合わせに調和するように調整します。では、もともとのかみ合わせにずれがある場合は、それでよいのでしょうか?

私が見たところ、かなりの方が生活習慣や歯列不正、歯周病、欠損の放置などで、元のかみ合わせがずれているようです。その結果、頭痛、肩や首のこり、腰や膝の痛み、冷え性、生理痛や生理不順、便秘、うつなどの精神症状など、様々な不定愁訴を持っておられます。

大きな修復は、歯科医師が経験と勘で行っています。そこに客観的な基準はありませんので、技術の差が大きく出てくると思います。また、実は咀嚼運動をしっかり理解している歯科医師はかなり少数だと言うのが実情です。私も実は恥ずかしながら4,5年前までは従来の方法で治療を行っていましたので、咀嚼運動を無視した治療でした。「そのうち慣れますよ」と何度も言ってきました。しかし、咀嚼運動を勉強しだしてから、今まで何となくすっきりしなかった所がよくわかるようになりました。

では、本当によく噛める治療はどのようにしたらよいのでしょうか?そのあたりをまた次回に書きたいと思います。

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2007年1月10日 (水)

親しらずの話

親知らずは抜いた方が良いのですかという質問をよく受けます。答えはほとんどの方がYESです。

親知らずは正確に言うと第3大臼歯というもので、俗に親が子供の口の中など覗かなくなる二十歳前後から生え出すので、そのように呼ばれています。

もちろんれっきとした歯ですので、しっかり生えれば大切な歯なのですが、現代では、しっかり生えてくる人はまれで、場合によっては退化して親知らずがない若者も増えてきました。

きちんと生えない最大の原因は、あごの劣成長です。歯の大きさに比べて顎の骨が小さいため、歯がスペース不足でキレイに並ばず、でこぼこになります。さらに最後に生えてくる親知らずは、ほとんど放出するスペースがなくなるため、斜めに生えたり、真横を向いて生えたり、骨の中に完全に埋まりこんでしまいます。軟食化の弊害でしょう。

完全に埋まってくれていれば、ほとんど悪さをすることはないのですが、ちょこっと頭の一部を出しているような生え方が、最悪です。一番奥で、歯ブラシが最も届きにくい場所ですので、よっぽど気を付けて磨かないと磨き残しが溜まってしまい、それが歯と歯ぐきの境目にこびりついてしまいます。そこには常に細菌が存在しますので、病気をしたり疲れたり、ストレスがかかった時など、体の免疫が落ちるため、細菌の方が強くなって腫れたり痛みが出たりします。

一番大変なのは、下顎の水平埋伏歯と言って、親知らずが真横に生えているものです。どうしても手前の歯とのすき間に物が入り込みますし、歯ブラシも中のほうまでは届きませんので、慢性的に炎症が起こり、それが急性化すると、おたふくのように腫れたり、口が開かなくなったり、痛み止めも効かないような激しい痛みが出たりします。

また、歯のすき間から虫歯も発生します。その際、親知らずは抜けば済むのですが、手前の歯にも虫歯がうつるときちんとした治療が非常にしにくい部分ですので予後不良が多く、また、仮に治療できたとしてもその後のブラッシングも届きにくい部分ですので、新たなm虫歯が発生したりして、結局寿命を縮めてしまいます。最悪の場合は、2本まとめて抜歯という場合もあります。

どうせ抜かなければいけないのならば、手前の大事な歯が傷む前に、なおかつ若い時の方が骨の回復もよいので、時期を見て頑張って抜かれた方がよいと思います。

親知らずを抜いて、痛かったり腫れたりするのは、ほとんどが下顎です。上顎と下顎は骨の質が違うので、その様な差が出てしまいます。なおかつ、前述した水平埋伏歯になると、歯の方向には抜けませんので、歯を分割したり、周りの骨を削除したりする必要がありますので、その分腫れや痛みが出やすくなります。外国では、この処置は立派な手術としてあつかわれます。費用も数十万円かかる国もあります。ちなみに日本は健康保険で1万1千円、皆様が払われるのはその3割ですのでクスリや初診、再診料などを入れても5千円未満くらいで治まります。これは、破格の安さです。

また、例えば上の親知らずだけきれいに生えていても、下が埋まっていたりすると、歯は反対の歯に咬むまでどんどん伸びてきますので、それが原因でかみ合わせが狂ったり、それから様々な体調不良を引き起こす事もありますので、やはり抜歯の対象になってしまいます。

私も残せるものは最大限残す努力をしますが、残念ながらその様なケースは多くないと申し上げておきます。

さて、ご自分の親知らずの状況はいかがでしょうか?不安な時は、いちどかかりつけの先生に相談されてみて下さい。

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2007年1月 6日 (土)

年頭のご挨拶

遅くなりましたが、あらためまして、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

年末は何かと慌しくて、12月の更新が2回しかできなかった事を反省しております。

今年は正月早々発熱で2日程寝込みまして、布団の中で今年1年の構想を熱でややぼーっとした頭で考えておりました。いい案が浮かぶと手帳に書き留めて、見てみると10項目くらいはありました。

その大前提として、トップが変らなければ組織は変らないという大前提の元、まずは自己改革から始めたいと思います。

寝込みはしましたが、例年になくワクワクする年の初めでした。えとの猪のごとく、目標に向かって猛進していきたいと思います。

このブログも、写真などを取り入れて、もう少し色気を出していきたいと思いますので、時々はチェックしてみて下さい。また、私のホームページもイブニングスター様のご協力で、だんだん充実してきましたので、そちらもぜひご覧下さい。城南歯科医院で検索すれば出てきます。

ともかく、皆様と共に良い1年にしていきましょう。改めまして、本年もよろしく御願いいたします。

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