歯科医院で本当に噛めるは作っていない
・貴方は患者様の咀嚼を検査していますか?
・貴方は咀嚼運動を理解していますか?
・貴方は咀嚼と咬合の関係をご存知ですか?
・貴方は咀嚼の異常がもたらす問題を理解しているでしょうか?
・歯科医は患者様をだましているのではないでしょうか
・患者様は歯科医がかめる義歯、インプラントやブリッジを作製して いると思っていますよ
・歯科医が咀嚼を考えないならば歯科医失格ではないでしょうか
第11回日本咬合学会学術大会抄録より抜粋
歯科医師である私が自分の首を締めるような文章をのっけから書いてしまいました。これは、昨年行われました、私が所属する日本咬合学会弘前大会の抄録に丸山大阪大学名誉教授が書かれた文章からの抜粋です。
皆様が歯科医院に行って、詰め物や銀歯、入れ歯などの治療を行う際に、必ず赤い紙をカチカチ噛んで高さを調整されたと思います。
あれは咬合紙というもので、我々が日常、かみ合わせをチェックしたり調整したりする時に必ず使うものです。当たっている所が赤く印が付きますので、そこを必要に応じて調整します。また、カチカチの他に、ギリギリ歯ぎしりをしてくださいと言われる事もあると思います。これは、歯ぎしりをした時に、引っかからないように調整するためです。
では、ここで一つ考えていただきたいのですが、今日、朝起きてから今までに、何回歯をギリギリと動かすような運動をしたでしょうか?多分、ほとんどの方は0回だと思います。そう、つまり、調整する時のあのギリギリと動かす運動は、実は普段はほとんど行わないものなのです。
物を食べるときの運動は咀嚼運動と言いますが、実は前述した動きとは全く異なる動き方をします。しかも、これは意識的に行う事はできず、口の中に食べ物が入って初めて行われる反射運動なのです。ということは、歯科医院で咬合紙を用いて行う調整では咀嚼運動に調和した調整は不可能だということです。
カチカチ噛んでも別に高くはないのだけれど、物を咬むと何となく噛みにくいという経験をしたかたはたくさんいらっしゃると思います。歯科医師から「そのうち慣れますよ」と言われて、そうかなと思いながら月日が経つと、人間は慣れる能力を持っていますので、何となくおさまってしまう場合も多いと思います。
これは、咀嚼運動に調和した調整を行なっていないから生じた結果です。
医科にかかると、まずは様々な検査を行って、原因を突き止めていき、治療を行うと思います(検査のし過ぎという批判はありますが)。歯科でも、歯周病は歯周検査を行って、現状や進行具合などを診断して治療計画を作り、実際に治療を行います。虫歯も今はレーザーを使った検査方法があり、その虫歯がもう少し様子を見ていいのか、積極的に治療を行なった方がよいのかを客観的に診断して治療します。
では、歯科で最も大切なかみ合わせはどうでしょうか?小さな修復は現状のかみ合わせに調和するように調整します。では、もともとのかみ合わせにずれがある場合は、それでよいのでしょうか?
私が見たところ、かなりの方が生活習慣や歯列不正、歯周病、欠損の放置などで、元のかみ合わせがずれているようです。その結果、頭痛、肩や首のこり、腰や膝の痛み、冷え性、生理痛や生理不順、便秘、うつなどの精神症状など、様々な不定愁訴を持っておられます。
大きな修復は、歯科医師が経験と勘で行っています。そこに客観的な基準はありませんので、技術の差が大きく出てくると思います。また、実は咀嚼運動をしっかり理解している歯科医師はかなり少数だと言うのが実情です。私も実は恥ずかしながら4,5年前までは従来の方法で治療を行っていましたので、咀嚼運動を無視した治療でした。「そのうち慣れますよ」と何度も言ってきました。しかし、咀嚼運動を勉強しだしてから、今まで何となくすっきりしなかった所がよくわかるようになりました。
では、本当によく噛める治療はどのようにしたらよいのでしょうか?そのあたりをまた次回に書きたいと思います。
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