« 2007年2月 | トップページ | 2007年4月 »

2007年3月27日 (火)

牛乳は身体に悪い?

身体のために無理にでも牛乳を飲んでいる方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?成長期に毎日1リットル以上飲んだと言うスポーツ選手の話もよく聞きます。

では、牛乳は本当に身体に良いのでしょうか?

現代人は牛乳を、ヨーグルト、チーズなどの乳製品に対する過剰な「信仰」があると、内視鏡の世界的権威である新谷弘実先生はおっしゃっています。

牛乳の一番の問題は、絞りたての牛乳を攪拌する過程で脂肪分が酸化するという点だそうです。これは、脂肪分を均等化させる事が目的ですが、さびた脂肪(過酸化脂質)は酸化が過剰になった脂肪ですので、体に良いはずがありません。

さらに、市販の牛乳の多くは高温殺菌されます。この過程で熱に弱い酵素はほとんど死滅してしまいます。最近では、脂肪分を均等化しない、低温殺菌の牛乳も売られていますが、牛乳に含まれているタンパク質は、摂取してもその大部分が胃の中の酸で固まってしまいますので、消化に良くないという点は変らないので、健康のためにはあまりお勧めできないという事です。

ヨーグルトについても、一般的には「乳酸菌が豊富で腸にいい」と信じられていますが、新谷先生が内視鏡で約35万人の腸を見てきた臨床経験では、ヨーグルトを常食している人にキレイな腸の人はいないそうです。そのため、先生のクリニックに来院される潰瘍性大腸炎やアレルギーに悩む患者さんには乳製品を全てカットするように指示するそうです。実際、こうした食生活を改善するだけで、症状が劇的に改善するケースがかなりあるそうです。

考えてみると、日本人の食生活の中で、牛乳や乳製品を摂るようになったのは、つい最近、もっと言うと戦後60年くらいではないでしょうか?

戦後の食糧難で、栄養不足の時ならいざ知らず、飽食の現代では栄養不足はありえませんので、多分、栄養の偏りを補正するためにあえて牛乳を飲んでいる方もいるのではないでしょうか?

牛乳を飲むとお腹がゴロゴロ言ったり、下痢をする人もいます。これは、牛乳を消化する酵素を元々持ち合わせていないために起こると考えられます。つまり、ブルガリア人のように、昔からヨーグルトや乳製品を常食してきた民族の習慣を、いきなり取り入れようとしても、適応できない人がいるという事です。それは、日本人が昔から乳製品を常用していなかったから、身体もその様に出来上がってきているからです。

また、牛乳は当然ですが牛の乳ですので、母乳と比較すると成分が違います。この異種タンパクがアレルゲンとなって、アレルギーを引き起こす事も考えられます。

事実、私の子供もよく牛乳を飲んでいたのですが、娘の方が冬場になると、肌に湿疹がでて、痛みやかゆみに苦しんでいました。ところが、私も食育を勉強する中で、数年前からいくつかの乳製品を否定する文献を読んで共感し、娘に牛乳を止めさせたところ、それらの症状がキレイに治ってしまい、その後も再発していません。もちろん牛乳は一切飲んでいません。たまにヨーグルトやチーズなどを口にする程度です。

この現実を見て、私も自信を持って言えるようになりました。私自身は元々牛乳があまり好きな方ではありませんでしたので、ほとんど飲んでいなかったのですが、今は当然、全く飲みません。ですが、栄養不足に陥る事もなく、いたって元気です。

さて、皆様は私の文章を読まれてどのような感想を持たれたでしょうか?歴史の中では、ある時代に正しいと思われていた知識が、後に検証されて否定される事がしばしばあります。この先、「牛乳は身体によい」という定説がどのようになっていくか見守りたいと思います。とりあえず、今後も私は牛乳を飲みません。

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2007年3月15日 (木)

歯の構成と食べ物の関係

新谷弘実先生という方がいらしゃいます。現在、アメリカのアルバートアインシュタイン医科大学外科教授で内視鏡のパイオニアとして世界的に有名な先生です。たまにテレビ等にも出演されますし、「病気にならない生き方」と言う著書がベストセラーになっています。日米で今までに約35万人の胃腸を内視鏡で見てきた経験から、「腸相」という事をおっしゃられています。その中から、独自の健康法を提案されていらっしゃいます。

私も食の勉強を続けている中で、かなり共感できる部分があります。そのあたりに関しては、また機会を見てご紹介します。

今回は歯に関してです。

新谷先生いわく、人間の歯は親知らずを含めると上下合わせて32本あります。その構成を見ると、門歯(前歯)8本、犬歯4本、臼歯20本という構成です。

新谷先生は、犬歯は肉を噛みちぎるための歯であり、その他は食物を食べるために必要な歯であると位置付けられています。それを元に考えると、肉食対植物食の割合は1対7となりますので、その様な構成の食事を心がける事が、自然の摂理にかなっていると言う事です。

歯科医師の立場とすると門歯(前歯)を肉食用ととるか植物食用ととるかは見解の分かれるところだと思いますが、仮に肉食用ととったとしても、臼歯の方が多くなりますので、人間は植物食を中心とする生き物なのでしょう。

特に日本人は元々農耕民族ですので、欧米人の狩猟民族に比べると腸の長さが長いと言われています。しかし、食の欧米化に伴い特に若い世代は腸の様子も変ってきていると考えられます。歯科でも、親知らずがきれいに生える方がほとんどいなくなりました。9割以上は抜歯適応になっています。これも、植物食をよく噛まなくなった弊害かもしれません。

食は命の源です。そこをおろそかにすると、体や心に様々な弊害が現れると言う事は誰でも容易に想像がつく所でしょう。その気になれば、誰でも今日から改善できる事ですので、後は個々のやる気次第です。ぜひ、今日から取り組んで行きましょう。

食事の内容等につきましては、また折に触れてご紹介いたします。

世は健康ブームです。様々な健康法が提唱されていますが、私が考えるのは、何か特殊で高価なものを使用したりするものは、例え一時的に効果があったとしても、決して長続きしません。身近に手に入るもので、やる気と根気さえあれば誰でも行えるようなものが、真の健康法ではないかと個人的には考えますし、その様なものをご紹介していきたいと考えております。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2007年3月14日 (水)

鼻がつまると歯が痛くなる?

この季節、風邪、インフルエンザ、花粉症などで鼻詰まりに悩んでいる方が多いと思います。私の近くの耳鼻科はいつ見ても駐車場から車があふれかえっています。

この季節、我々歯科のほうでも歯が浮いたり、噛むと痛かったり、冷たいものや熱いものがしみたり、走ったりすると歯の奥がジンジンしたりという訴えをされる患者様が多くいらっしゃいます。しかも、レントゲン等を撮ってみても特に虫歯ができているような感じでもありません。

では、なぜこの様な症状が発生するのでしょうか?

実は、鼻の炎症と密接に関連してきます。

人間は誰でも鼻の横の骨の中に「上顎洞」という空洞を持っています。そこに慢性的に炎症があって膿がたまるのが、いわゆる「蓄膿症」と呼ばれるものです。鼻水もここに炎症が起こって分泌物が多くなって出てくるものです。

この上顎洞に奥歯の根っこの先が接していたり、食い込んでいる方が結構いらっしゃいます。すると、様々な原因で上顎洞が炎症を起こすと、それが歯の方に伝わってきて、歯そのものは悪くないのに歯の不快症状が発現します。患者様は当然歯が悪くなったのだろうと思われて歯科を受診するわけです。

この様な場合、当然鼻の炎症が治まれば歯の症状も消える可能性が高いわけですので、飲み薬等で炎症を抑える処置を行います。歯が浮いて噛めない場合は、最低限のかみ合わせの処置を行って、後はしばらく観察していきます。

まれに、歯にひびが入っているような場合もありますので、しばらく様子を見てもどうしても症状が治まらない場合は詳しく検査をしていきます。

上顎洞に原因がある場合は、炎症を抑えるくすりを数日飲めば、ほとんどが治まるか、軽くなります。当医院では、だいたい3日分処方しますが、そのまま来られなくなる方がほとんどですので、多分治まっているのでしょう。

我々歯科医師は、患者様から痛みを訴えられると、どうしても早急に痛みをとってあげたいと思います。すると、「痛い」=「原因はわからないが歯の神経が傷んでいる」という発想に陥ってしまい、場合によっては神経をとるような治療につながってしまいます。神経をとるとどうしても歯は弱って来ますので、これは悲劇です。

診断力は当然ドクターによって違いますし、それを客観的にデーターとして示す事は不可能です。ですから、どの歯科医院にかかるのかは、無責任のようですが、患者様の自己責任になってきます。それによって同じ症状でも歯の運命はずいぶん変わってきます。

最近は環境の悪化や生活習慣の変化からか、特に若い方はこの上顎洞が非常に大きい方が多いような気がします。すると、当然歯と接する割合も多くなりますので、鼻に症状が歯に来る割合も高くなっていると思われます。

鼻の症状に伴って、歯も痛くなった場合、特に特定の歯ではなく数本まとめて痛くなったような場合は、上顎洞の影響が考えられますので、耳鼻科と連携しながら慎重に診断していく必要性があります。

もちろん、歯に穴が空いていて、たまたま風邪を引いたのと同時に歯も痛くなった場合は、虫歯が原因ですので、早く歯科医院を受診して下さい。歯は自然には治りませんのでご用心。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007年3月 6日 (火)

歯医者で花粉症を治す

花粉症の季節になりました。私自身は花粉症ではないので特別苦労はしていませんが、回りのスタッフや取引業者の方など、マスクをしたり涙目になってりで大変そうです。

花粉症は言うまでも無くアレルギー性疾患です。ですから、花粉症になって歯医者に行こうと思う方はいないと思います。では、タイトルにも書きましたが、なぜ歯医者で花粉症が治るのでしょうか?

花粉症を含めたアレルギー疾患を歯医者で治す、あるいは症状を軽減するためには、私は二つの事を考えます。

一つ目は、事あるごとに書いている、かみ合わせのズレとの関連です。

かみ合わせ、正確に言えば下顎にズレがあると、頚椎(首の骨)のゆがみを生じます。首が常に凝っている方は要注意です。頚椎の中には脳に血液を送る大切な血管が通っています。頚椎にゆがみが生じると、その血管を圧迫します。すると、脳に送られる血液が制限されて、慢性的な酸素や栄養不足に陥ります。

脳は体の臓器の中でも特に酸素や栄養を必要とする臓器ですので、血流が少し落ちるだけでも様々な影響を及ぼします。その影響が免疫系に及ぶと、アレルギー疾患が発症しやすくなります。

もちろん、アレルギーの原因としては、環境汚染の問題や食品添加物、クスリ、前回書きました過剰な抗菌の普及などなど、様々な要因が考えられますので、全ての疾患を治せるなどと言うような大それた事は言いません。私は歯科医師ですので、実は私が花粉症を治すと言えば、医師法違反で処罰されます。

私が治すのは、あくまでかみ合わせや顎のズレです。その結果、首の骨のズレが回復し、脳へ血液を送る血管の圧迫がとれ、血流が回復する事によって脳が元気になり、免疫系が活性化することによってアレルギーが治まってくるという構図です。

私がかみ合わせ治療を習っている大阪大学名誉教授の丸山剛郎先生は、全国でこのかみ合わせ治療を行われていますが、花粉症やアトピーなどが驚くほどよくなっているそうです。

もう一つの原因として考えられるのが、口腔内の金属の問題です。以前も書きましたが、現在保険治療で歯科治療に認められている金属は、金銀パラジウム合金というものです。これは戦後の物資不足の折、開発された代用合金で、日本以外ではほとんど使われる事の無い特殊なものです。

口腔内は常に唾液にさらされており、その影響で微量の金属イオンが溶け出します。口腔内は粘膜に覆われており、そこから容易に吸収されて体内に入ります。ちなみに体の表面は角質層に覆われていますので、そう簡単には進入を許しません。よく、狭心症の方が発作が起こったときにニトログリセリンをべろの下に含みますが、これは粘膜から薬剤が速やかに吸収されるからです。

金属イオンは体の免疫を弱めると言われています。私自身も、ある講習会で経絡の流れを計ってもらった時、免疫系が少し弱っているので口腔内の金属を撤去した方がいいよとアドバイスを受けました。実は私自身、高校までは非常に歯が悪く、口腔内にはたくさんの金属が入っています。もし、歯医者になっていなかったら、今ごろはボロボロだったかもしれません。

金属を使わない治療や、金属として安定している金を使った治療などは残念ながらほとんどが保険が効かない治療となてしまいます。

金属アレルギーがひどくなると、手足の皮がボロボロにむけてしまう事もあります。それも、治療をしてから数十年経って発症する事も珍しくありません。その様な方が口腔内の金属を撤去すると、嘘のように完治してしまう事があります。そのため、最近は皮膚科の先生も口腔内の金属にかなり注目されているようです。

そこまでひどくなくても、まだ症状としては出ていないが免疫系にかなりダメージを受けている方はかなりの数に上るのではないかと思います。私自身、日々診療をしながら保険治療では代用合金を使わざるを得ない所にジレンマを感じます。

以上述べてきた様な事から、歯医者でも花粉症を含めたアレルギー疾患が治る、あるいは軽快する事は充分にありえる事ですし、実績も出ています。このような考え方は今までほとんどありませんでしたので、まだまだ知られていないと言うのが実情です。

花粉症はシーズンが過ぎれば無くなりますので、その期間はクスリで抑えればいいのではと言う意見もあると思います。しかし、当事者の方はその期間、かなりの苦痛を味わいますし、学業や仕事にも差し障りが出る事もあるでしょう。また、クスリの副作用もバカにはなりません。特に抗ヒスタミン剤はかなりの眠気を誘引すると聞きます。

色々な治療がある中に、歯科治療も入れていただければ幸いです。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

« 2007年2月 | トップページ | 2007年4月 »