よく噛んでメタボリック症候群を予防
メタボリックシンドローム(症候群)という言葉を良く聞くようになりました。少し前の「生活習慣病」「成人病」に該当するものです。
色々と定義がありますが、詳しい事は省略します。その中で、最も大切な項目が、「肥満を防ごう」という事です。これは、何も成人だけではなく、子供にもその予備軍がたくさんいます。飽食と運動不足から来るものでしょう。
よく噛む事が、肥満を防ぎ、ダイエットにつながる事をご存知でしょうか?次に書く事は、実話です。
百年程前に、フレッチャーさんという時計屋さんがいました。彼は、事業を成功させ、毎日運動もせず、グルメ三昧の生活を送っていました。そのせいで、体重も100キロを越えてしまい、極度の肥満に陥りました。医者からは、様々な病気の予兆を指摘され、ダイエットの必要に迫られました。
色々と試して見ましたがなかなかうまくいきませんでした。そんなある日、彼が痩せて健康を取り戻す事を思案しながら散歩していた時、ある家の食事風景が目に入ってきました。その家庭は、貧しそうではあるがとても楽しそうな風景でした。その時、彼は突然ひらめきました。それは「自然の食べ物を、楽しく、ゆったり、よく噛んで食べること」でした。
それを実行するにつれてだんだん体重が減り、5ヶ月で30キロも減量する事ができました。運動する意欲もわき、自転車競技でも優勝しました。彼の噛む健康法は、栄養学の権威者にも証明され、「フレッチャイズム」と名づけられました。
試しに、食事の時に自分が何回くらい噛んでいるかを数えてみてください。よく我々は「一口30回を目標に」と患者様にご指導しますが、30回噛もうとすると、結構な重労働に感じる方もいます。日頃、たくさん噛む週間のない方は、食事の途中で顎がだるくなって、場合によっては休憩を余儀なくされる場合もあります。
よく噛むためには、食事の中身も大切です。極端に言うと、豆腐を30回噛もうとしても、すぐにどろどろになってしまいますので、難しいと思います。現代の食事、特に若い世代の食事が軟食化していますので、献立の中身を少し噛み応えのあるものに変える必要があるでしょう。
また、食事の時に、水やお茶、場合によっては牛乳などの飲み物を一緒にとる子供(大人も)をよく見かけます。これだと、胃の中に流し込んでいるだけですので、噛む回数が増えるはずがありません。よく噛めば、唾液の分泌が盛んになりますので、水分を補給しなくても、ちゃんと飲み込めるはずです。
ちなみに、私は食事の時に一切水分をとりません。(カレーの時のお水は例外です)それで何の問題もありません。食後の水やお茶も無くても構いません。水分を取りながら食事をする習慣がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。
よく噛むと、唾液がたくさん分泌されます。唾液の中には、たくさんの体に良い物質が含まれています。その中の一つである「パロチン」という物質は身体の老化を防止するといわれています。つまり、不老長寿の特効薬は、実は自分の体の中にあったという事です。
また、満腹感を感じる満腹中枢は、食事を摂って少し時間をおいて刺激されます。あまり噛まずに早食いをしてしまうと、満腹感を感じる前に過食になってしまいます。逆に良く噛んで時間をかけると、小食でも満腹感を感じます。よく、コース料理などを食べると、前菜から始まって、ゆっくりゆっくり料理が出てきますので、そんなに食べていなくても、おなかいっぱいになった経験が誰でもあると思います。
ある番組で、長寿の方の食事風景が出ていたのですが、その方はひとくち食事を口に入れると、お箸を置いて、そのまましっかり噛んで飲み込んで、お口の中から完全になくなるまでお箸には手をつけませんでした。
私はなるほどと、感心しました。
よく噛む事は、今日から誰でもできる事ですし、特別な道具やくすりなどもいらず、最も安上がりなダイエット方法だと思います。後は、やり続ける根気だけです。ぜひ、今日から実行してみて下さい。
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