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2007年5月23日 (水)

私が注目する健康の達人3人衆

私が健康に関して、その言動や書籍等を注目している人が何人かいます。その中で次の3名のドクターは、特に注目している方々で、このブログでも時々引用させていただいております。

3人とは「安保徹」「石原結實」「新谷弘実」の3名です。

安保徹(あぼとおる)先生は、新潟大学大学院歯学総合研究科教授で、白血球の自律神経支配のメカニズムを初めて解明されて、国際的な場で活躍されている世界的な免疫学者です。

私も学生の時に免疫を勉強しましたが、複雑でややこしく、もう一つ理解し切れていないところがありました。しかし、数年前に安保先生の「免疫革命」という本を読んでから、非常に頭の中が整理された思い出があります。

安保先生は、現代人の偏った生活が、自律神経のバランスを壊してそれが癌やアレルギーをはじめ、様々な病気につながっているとおっしゃっています。ここでそれ以上詳しくは述べませんが、食事、運動、仕事などなど、具体的に今の生活習慣をどう変えると健康につながるかをわかりやすく解説されています。

それらは、その気になれば誰でも今日から簡単に実践できるものです。一般向けの書籍が書店にたくさん出ていますので、ぜひ1,2刷購入して、じっくり読んでみて下さい。必ず役にたちます。

石原結實(いしはらゆうみ)先生は現在イシハラクリニックの院長として勤務されている傍ら、伊豆に「ニンジン、リンゴジュース断食」を実践する保養所を解説されています。

長崎の江戸時代からの漢方医の家系に生まれられており、漢方を中心とした東洋医学に基づく治療を実践されています。東洋医学的に考えると、「陰」と「陽」があり、陰性の体質、陽性の体質にそれぞれ傾く事により、それに応じた病気にかかりやすくなります。

まずは自分がどちらの体質なのかをよく見極めて、それに対して生活の仕方や食事、運動などに付いてどうしたらよいか具体的に細かく書いてあります。

冷えの弊害も強調されており、体を温めて(内外から)血液をキレイにし、気・水・血の滞りを作らないようにすると病気は治り、健康を維持できるとおっしゃっています。私も患者様によく質問しますが、今は平熱が35度代という方が結構いらっしゃいます。石原先生は、これは由々しき問題だとおっしゃっています。

先生が提案されているしょうが紅茶を私も愛飲しております。飲むと体の芯から温まってくるのがわかります。漢方薬の8割くらいはしょうがの仲間だそうです。飲みつけると結構クセになります。

石原先生の書籍も書店にたくさん出ていますので、ぜひ購入されてみて下さい。

新谷弘実(しんやひろみ)先生は米国アルバートアインシュタイン医科大学外科教授をはじめ、様々な役職を兼任されており、内視鏡のパイオニアとして日米両国で30万人以上の胃腸内視鏡検査と10万例以上のポリープ切除手術を行ってこられました。

「腸相」という考え方の元、患者の生活習慣と腸相との関連性を研究されて、やはり生活習慣の改善を提案されています。体の中の反応は全て酵素で行われており、体に無理をかるとその酵素を無駄使いしてしまい、また、処理しきれないと体が傷つき、それが病気につながるそうです。コーヒーやお酒もよくないそうなので、ちょっと耳が痛いところです。また、果物には酵素が豊富に含まれているので、たくさん採った方がよいとの事です。

その他、食事や水、運動、呼吸、睡眠などなど生活習慣全般にわたって具体的に述べられています。新谷先生がこの3人の中では一番最近注目されていると思いますので、書籍等はすぐに見つかるでしょう。

私がこの3人に共感できる事は、病気は他人任せではなく、自己責任で治すという所と、難しい方法や特殊なくすり、食べ物などを使わずに、誰でも今日から安価に実践できる事を提唱されているところです。

今の日本人は、世界一の長寿を手に入れましたが、そこに「健康で」という頭文字が入りにくいのが実態です。ぜひ、この3名の先生方の提唱される健康法を(多少相反するところもありますので、そこが自分で判断してみて下さい)日常生活に取り入れてみて下さい。必ず何かが変ります。

 

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2007年5月11日 (金)

虫歯は「遺伝」とあきらめますか?

前回の記事と関連しますが、どれだけみがいても、虫歯になる人と、あまりみがかなくても全然虫歯にならない人がいます。この結果だけを見ると、虫歯になりやすいのは、遺伝とあきらめがちです。

外国に次に様な例があります。ある国に、1卵生双生児の姉妹が生まれました。当然ですが、遺伝子も全く一緒ですので、同じ体質といえます。家庭の事情によって、幼児期を過ぎたあたりから1人は母親に、もう1人は祖母に育てられました。

一般的に言って、母親は厳しく育てる(現代は、あてはまらない親も多いようですが)のに対して、祖母は孫を溺愛しがちです。この姉妹も例に漏れず、その様な環境で育てられました。二人が成人した時に、口腔内の状況を比較したところ、母親に育てられた子供はほとんど虫歯が無かったのに対して、祖母に育てられた子供は多くの歯に虫歯や詰め物がありました。さて、この結果は何を意味するのでしょうか?

虫歯を防ぐためには、いくつかの要素があります。その中で、歯の酸に対する強さや唾液の質は、確かに遺伝的要素が大きいと思います。しかし、それをカバーできるほかの要素があります。

例えばブラッシングです。日本人は世界でも有数の歯をよくみがく国民です。では、虫歯の状況はというと、残念ながら上位に位置するとは言えません。ここで大切なのは、「みがいている」と「みがけている」とは似ていますがまったく違うということです。これに関して書くと、長くなりますので、また後日あらためます。

フッ素に虫歯予防の効果がある事は、ほとんどの方が知っていると思います。適切に使用すれば(歯磨き粉に含まれていても、4,5回うがいすれば、そのほとんどは無くなってしまいます)高い効果が得られます。

また、その他に食事回数や甘いものの摂取量、歯科での定期的なメンテナンスなどでも遺伝的に仮に弱かったとしても、それを充分補う事ができます。要はその知識をもっているか、それを実行しているかということです。

前述した双子の姉妹は、遺伝的には全く同じであり、しばらくは同じ生活環境で過ごしていたはずです。しかし、環境が変ったとたん、2人には大きな差が出てしまいました。

結論を言うと、仮に遺伝的に劣っていても、他の要素をカバーすれば虫歯予防は充分にできるということです。

何を隠そう、私自身がその証人です。私は乳歯の頃は結構表彰されるくらいきれいな歯をしていたのですが、永久歯に生え変わる頃からブラッシングの不手際や食事の乱れ、甘いものの摂取などでどんどん虫歯ができ始めました。高校の時には前歯の感染から根っこの先に膿がたまって顔の半分が激痛を伴って腫れあがったような経験もしております。もし歯科医師になっていなかったら今ごろはボロボロになっていたと思います。

大学で歯学部に入って虫歯の事を勉強して、在学中に先輩に全てただで治していただいてからは、この約20年間、詰めていた銀歯がはずれてやり変えたのが2,3本ある以外は、新たな虫歯は全く発生しておりません。つまり、虫歯予防の知識と技術(決して難しいものではありません)があれば、体質にかかわらず防ぐ事ができるという証明です。

私が特殊なくすりを使っているわけでもなく、何十分とみがいているわけでもありません。酒を飲んで帰った日は、磨かずに寝てしまう事も多々あります。こんな状況の私でもできる事ですので、皆様も必ずできます。

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2007年5月 9日 (水)

「子供だけは・・」という親心に待った

子供の歯の治療をしていると、よく付き添いのお母さんやお父さんが言われる言葉が「私が歯が悪いので、子供だけはきちんとしてあげたいと思います」というものです。

私も3人の子供を持つ親として、その心情はものすごく良くわかります。しかし、そこでちょっと考えていただきたい事があります。

次の様な実験があります。

ねずみの子供を帝王切開で取り出して、無菌状態で育てます。そのネズミにどれだけ甘いものを与えても、虫歯になる事はありませんでした。しかし、そのネズミの口の中に歯垢(プラーク)をちょっと付着させると、たちまち虫歯が発生しました。

この実験は、何を物語っているのでしょうか?

歯科の2大疾患である虫歯と歯周病は、どちらも細菌感染症です。原因となる菌がいなければ、決して病気になる事はありません。

赤ちゃんは、お母さんのおなかの中にいるときは、完全な無菌状態です。では、虫歯や歯周病の原因となる菌はどこから来るのでしょうか?それは、誕生後に身近に接する家族からです。特に一番接する機会が多いのは、お母さんでしょう。

爪楊枝の先に時々白い歯垢が付いてくる事があると思います。その中に、大体1億の細菌が含まれています。だとすれば、口の中全体で考えると、天文学的な数の細菌が存在する事になります。

子供に可愛さのあまりキスをしたり、口移しで食べ物をあげたりすると、一体どれだけの細菌を子供に感染させてしまうのでしょうか?

子供を一生懸命治療しても、周りにいる家族が虫歯や歯周病を放置していれば、何かの機会に再感染する可能性がぐっと高まります。例えば、お母さんが料理をしていて、ちょっとセキやくしゃみをしたとします。汚い話で恐縮ですが、その時に多少なりとも唾液が飛びます。それが料理中の食べ物に付いてしまったらどうなるでしょうか?

全ての料理を再加熱する事は現実にありえないと思いますので、細菌はそのまま家族の口の中に入ってしまいます。お母さんが自分の口の中をきれいに保っている場合と、虫歯や歯周病、歯石などを放置している場合とでは、雲泥の差がある事は、容易に想像がつくと思います。

当医院では、妊婦さんが来院されると、無料でカウンセリングを行います。その時に強調する事が、この母親から子供への感染の話です。子供の虫歯予防は、実はまだお母さんのおなかの中にいるときから始まっています。子供のために、まずはお母さんかきちんと自分の口の中を治療、管理してくださいと、念を押して申し上げます。

ご父兄方に申し上げたい事は、子供の事を思うならば、まずは子供と接する自分の口の中をきれいな状態に維持管理されて下さい。それが、これからの長い人生の中で、子供が歯で苦労するかどうかの分かれ道です。

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