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2011年11月30日 (水)

歯にも遊びが大事?

車のハンドルにも、わざと遊びが設けてあります。

これがないと、ものすごく運転しづらいそうです。

我々の歯にも、実はこの遊びが大切なんです。

歯科医師や、歯科技工士は学生の頃、石膏の棒を一生懸命削って歯の形を再現します。歯型彫刻と言い、私の学校では、通称「いもほり」と呼んでいました。

この時参考にするのは、生えたてのきれいな歯です。咬合面(かみ合わせる面)が山谷はっきりしていて、いかにも「咬めそうだな」と思ってしまいます。

日常の歯科診療の中で、自分で歯を作る歯科医師はほとんどいないと思いますので、通常は歯科技工士さんに作っていただきます。

歯科技工士さんは、職人的な気質を持った方が多く、美的センスからか、見た目も重要視されるので、格好よく作らないと納得がいかないみたいで、生えたての「一見格好の良い」歯をよく作られます。

実は、これがトラブルの元になることがあります。

人間の歯は、生えた時から「咀嚼」という機能を果たします。その結果、歯はその人の機能に合うように、咬耗(すり減る)していきます。

咀嚼運動を細かく見ると、「せん断」「圧断」「臼磨」という行程に分かれます。

せん断とは物をかみ切る動作、圧断とは物をつぶす動作、臼磨とはものをすりつぶす動作です。これを繰り返すことによって食べ物はだんだん小さくなって、最後は嚥下で飲み込みます。例えると、すりこぎみたいなものです。

生えたての歯がずらっと並ぶと、上下の歯ががっちりロックして「臼磨」ができません。例えると、すりこぎ棒で物を上下にたたいているだけで、ギュッとすりつぶすことができない状態です。

このような人は、ある程度食べ物を噛んで柔らかくなったら、飲み込んでしまいます。そのため早食いになり、肥満等にもつながることがあります。

歯の治療をしていて、かみ合わせの調整をするときに「ギリギリと歯ぎしりしてみてください」と言っても、下あごがまったくロックして動かない人がいます。歯を見ると、山谷がはっきりしていて、一見格好の良い歯です。

しかし、我々の仲間からすると、「食べにくそうだな」「首や肩が凝りそうだな」などという様々な想像をかきたてられます。

歯にも人生にも適度な遊びは大切なのでしょう。あくまで「適度な」という形容動詞は付きますが(笑)

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2011年11月18日 (金)

下顎の大事な働き その3

歯科医師会では「8020運動」(ハチマルニイマルウンドウ)というものをずっと提唱しています。

これは読んで字のごとく、80歳までに20本自分の歯を残そうというもので、20本あれば自分の歯でしっかり噛んで食事を楽しむことができ、またそれが健康につながるというものです。

少し前までは、日本人の平均は80歳で4~5本という寂しい数字でしたが、最新の統計では10本を超えてきたと聞きます。

8020運動の話はまた後日にでも行うとして、今は下顎の話ですね。

20本以上歯が残っている人で、自分のかみ合わせが悪いと思っている人は、そう多くはないと思います。本当にあなたの今のかみ合わせは正しいのでしょうか???

ここで実験

あごの力を抜いてリラックスして、頭を前屈して軽く噛んでみましょう、次に頭を後屈して同じように軽く噛んでみましょう。次は頭を右に傾けて同じように。次は頭を左に傾けて同じように。

さて、歯の当たり具合はどうでしたか?多分、当たる感じが全て違ったのではないでしょうか。そうそう、それで正解です。ちょっとした頭の傾きで、歯の当たりは変わるんです。

では、どの当たりが正解なんでしょうか?

全部正解なんです。

ただ、我々歯科医師が歯を作るときは、全体のバランスを考えないといけませんので、一応すべての歯が最大接触するかみ合わせを基準に作ります。

ただ、この位置は、あくまで歯が最大接触する位置というだけで、そこが正しいとは限りません。

歯並びが綺麗でも、ずれている人は結構多いものです。

下手な矯正後も・・・

そこに気付いた我々の仲間が、顎の動きを考えたかみ合わせというものを研究し、実践し始めました。すると、すごいことが起こりだしました。歯とは関係のない全身の色々な病気や症状が改善し始めたのです。

このような顎の動き(従来の歯科で言われている動きとは全く違います)の中でかみ合わせを考えているのは、多分日本中で我々の仲間だけでしょう。(ちょっと自慢)

そのあたりの話は、また今度・・・

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2011年11月15日 (火)

下顎の大事な働き その2

日本は地震大国です。

言うまでもなく、3月の東北大震災や阪神淡路大震災、古くは関東大震災のように、大きな被害をもたらしたものもあります。

九州に住む私は、たまに地震があると「おっ」と驚いてしまいますが、関東の方では震度3程度の地震は日常茶飯事だとも聞きます。

そのため、日本の建物は揺れに対する何らかの対策を打ってあるものがほとんどです。まして、高層ビルともなると、ほとんど全てでしょう。

揺れに対する構造として、免震構造、制震構造、耐震構造などがあります。詳しくは専門のホームページ等をご参照ください。

実は、下顎にこの制震構造があると言ったら驚かれるでしょうか?下の写真は台湾にある「台北101」という超高層ビルにある構造物です。このビルは少し前までは世界1の高さを誇っていました。

200px101_de_tmd

台湾は、ご存じの様に、台風の通り道です。しょっちゅう強力な台風に見舞われて、建物は激しく揺らされます。その揺れを軽減するためにこの装置があります。

これは何かというと、660トンのおもりが建物の最上階に近い所にぶら下げてあります。これによって、建物の揺れが、かなり制御できるそうです。

これとまったく同じ構造が、人間の下顎です。

下顎は約1キロの重さがあり、両方の顎関節によって頭にぶら下がっています。決してがっちり固定されているわけではありません。

下顎が揺れることができる自由度を持っていうことによって、あまたのぶれが抑えられます。

脳は揺らされることを嫌います。激しく揺らされると、脳震盪を起こして気を失ってしまいます。

これは、実はすごい構造なんです。

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2011年11月 7日 (月)

下顎の大事な働き その1

「下顎の大事な働きは何?」と聞かれたら、ほとんどの方が「もちろん食べ物を咀嚼すること」と答えられるでしょう。

それは当然大正解です。

では他に?と尋ねられるとどうでしょうか?

実は、咀嚼に匹敵する大切な働きが隠されています。また、それを知っている人(認めている人?)が、残念ながら、まだごく少数であることも事実です。

では、その働きは・・・

「体のバランスをとる」

ということです。

「なんだそんなことか」という声が聞こえてきそうですね。でも、これがどれだけ重要で、万病のもとになっているのかを、何回かに分けて解説していきたいと思います。

この考えは、残念ながら医療の最先端をいかれていると思われる、お医者さんにも持っておられる方がほとんどいません。

日本の医療費は、毎年1兆円ずつ増加しており(歯科は悲しいかなずっと横ばいです)一方で赤字国債は1000兆円を超えたとも言われています。

今のままでは確実に破たんするのが見えている国民皆保険制度を維持するためにも、今後必ずクローズアップされていく理論だと思っております。

全国の仲間で地道に広げる活動を、日々行っております。

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