歯周病の話(1)
昔は歯槽膿漏と言っていました。最近は歯周病と言います。
そういえば、抗生物質というのも昔の呼び方で、今は抗菌剤と呼びます。
歯周病に関しては、テレビのCMや、様々な媒体で報道されていますように、歯周病菌が存在し、それが出す毒素によって、歯肉が炎症を起こし、その下にある歯槽骨という歯を支える骨を溶かし、最終的には歯の動揺が大きくなり、歯がなくなるという病気です。
糖尿病などを持っていると、体の抵抗力が落ちますので、より歯周病菌の影響を受けやすくなり、歯周病が進行しやすくなります。
また、多くのクスリにはその副作用として、唾液の分泌を悪くする働きがあります。日頃、患者さんを診ていると、驚くほど多くの方が、何らかの薬を常用されています。唾液には殺菌作用や、洗浄作用がありますので、これが減ると、虫歯や歯周病が進みやすくなります。
ちなみに、細菌の塊をプラークと呼びます。歯のすきまを爪楊枝でこすると付いてくる、白くねばねばした塊です。ちなみに、爪楊枝の先に付いているくらいの量で、その中に含まれている細菌の数は約1億個とも言われています。
だとすれば、口の中には天文学的な数の細菌がいることになります。
歯周病の治療は、基本的にその細菌を減らすという前提に行われていきます。一番代表的なのが、「歯石とり」です。
実は歯石そのものは、そんなに悪さをしません。しかし、表面がでこぼこしているので、そこに細菌が繁殖しやすくなりますので、その場を取り除く意味で歯石除去を行います。
他には、薬を用いて細菌を減らすというものです。抗菌剤を内服して行うやり方と、うがい薬や患部に直接注入して、歯周病菌を殺菌するやり方があります。
これらを組み合わせて、治療が行われていきますが、残念ながら、完治に導くのは至難の業です。というよりは、歯周病に完治はなく、うまくコントロールしていくという考え方の方が正しいでしょう。
事実、厚生労働省の見解でも、歯周病は糖尿病や高血圧などと同じ生活習慣病に分類されています。
では、定期的にメンテナンスを行っていけば歯周病の進行を止められるかというと、残念ながらそうはいきません。
ものすごくきれいに手入れされていても進行する人もいれば、清掃が不十分で汚れが残っていても、進行しない人もいます。
この違いは何なのでしょうか・・・?ここを考えないと、根本解決にはならない気がします。
続きは次回・・・
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